「リボ払い」と聞くと、「やっちゃいけない支払い方法」という認識がここ何年かで随分と浸透してきたような気がします。そうは言っても、実際に何がどういけないのか、分割払いとの違いなど、まだまだ疑問に思っている人は多いと思います。そこで、リボ払いの仕組みをわかりやすく解説したいと思います。これを知っておけば、クレジットカードと賢く付き合っていけますよ!

クレジットカードの一括払い・分割払いとは?

まずは、基本の支払い方法をおさらいしておきましょう。

一括払いとは

一括払いとは、その名の通り「1回で払う」ことです。現金払いと違うのは、その支払いが後日になるということです。

クレジットカード会社によって違いはありますが、翌月の10日の引き落としが多いようです。つまり、その日の現金の持ち合わせがなくても、後払いで商品を購入できることが一括払いのメリットです。

そして最大のメリットは、"手数料がかからない"ことです。そのため、現金を持っていても、クレジットカードのポイント目的でカード払いを選択する人は多くいます。

ちなみに2回払いでも手数料はかかりません。「来月まとめて払うのはちょっと不安」という人は利用してみるとよいでしょう。

分割払いとは

商品の代金を分割して払う方法で、支払い回数によって手数料が変わってきます。 クレジットカードの分割払いは、支払い回数が決まっています。

3回・5回・6回・10回・12回・15回・18回・20回・24回
(三井住友VISAカードの例)
※カード会社によって違いがあります。

当然、支払い回数が増えると、金利がアップし手数料が増えていきます。この金利(利率)はクレジットカード会社によって異なるので、利用の際は確認しておきましょう。

だいたい3回払いで12%、24回払いで15%程度が多いようです。ここでよく勘違いをするのが、「3回払いで12%は多い」と思ってしまうことです。12%は年利なので、3カ月で返済すれば、最後の支払いでも3%です。わかりにくい場合は、クレジットカード会社のHPに支払い回数ごとの100円あたりの手数料が明記されているので、それを元に計算してみてください。

クレジットカードのリボ払いとは?

さて、ここで本題に入ります。

リボ払いはなんとなく"分割払いに近いもの"ということは知っていると思います。では一般的な分割払いとどう違うのか見てみましょう。

分割払いは買い物ごとに、支払い回数を決めて払っていくのに対し、リボ払いはカードの利用額に対して、月の支払額を決めて払っていくものです。

例をあげると、分割払いは10万円のバッグをカードで買って、それを10回払いで支払う方法であり、リボ払いは6万円のバッグと4万円の服をカードで買って、毎月1万円ずつ支払っていく方法です。

分割払いは10回で必ず完済しますが、リボ払いは利息分の残高があるので10回では完済しません(※)。

※元利均等返済(月の返済額に利息を含む)の場合。リボ払いでもカード会社によって、元金均等返済(月の返済額+利息)のところもあります。

また、分割払いは元金+手数料となるため、月々の支払いは一定ではありません。さらに、分割の回数によって、支払額が多くなったり少なくなったりします。対してリボ払いは利用限度額内であれば、使った金額に関係なく、毎月の支払額は一定です。そのため、月によって偏りがないことがメリットとなりますが、実はそれが大きな罠ともなるのです。

リボ払いに潜む危険

分割払いであれば、買えば買うほど、月の支払額は積み重なってくるので、危機感が出てきます。しかし、リボ払いの場合、使った金額に関係なく、月の支払額は一定なので、実際の支出と月々の出費の感覚に隔たりが生じ、だんだんと麻痺してくることが考えられます。

リボ払いには、カード会社が設定した利用限度額があり、それによって、月々の最低支払額も決まってきます。利用限度額ぎりぎりまで買い物をして、最低支払額で返済をしていると、返済期間が延びて、支払額に対する手数料の割合が増えていき、大半が手数料となってしまう可能性もあります。そうなると払っても払っても支払いが終わらないという状況に陥ってしまいます。

クレジットカードと賢く付き合っていくための3つのコツ

支払い回数は少なめに

一概にリボ払いを悪者にするわけではありません。リボ払いも上手に使えば、月々の返済を楽にしてくれるなどのメリットがあります。

残高をきちんと管理して、余裕がある時は月々の支払額を上げるなど、残高が増え過ぎないようにコントロールが出来る人であれば、リボ払いは便利なものとなり得ます。

しかし、そうできない人は、リボ払いは避けましょう。どうしても、一括払い、2回払いで払う自信がない人は、分割払いを検討しましょう。その際も、なるべく支払い回数は少なめにしておきましょう。

クレジットカードの利用限度額に注意

どのクレジットカードにも利用限度額というものがあります。クレジットカードを作る際にカード会社の審査によって設定します。利用限度額を超えるとエラーとなり、カードが使用できなくなります。また、限度額を超えていなくても、引き落とし口座から請求金額が引き落としできない場合も、使用が停止されます。

この利用限度額のほかに"割賦利用可能枠"というものもあります。これは1回払い以外の支払いができる枠のことです。利用限度額の範囲内だったのに、分割での支払いが出来なかった場合は、この割賦利用可能枠を超えている可能性があります。

明細書を必ず確認する

いくら利用したのかを把握することがクレジットカードを使う上で最も重要なことです。クレジットカード会社から送られてくる明細書には必ず目を通すようにしましょう。

最近では、Web明細が主流となっていますが、Web上で確認するには、その都度ログインする必要があります。これが面倒に思う人は、紙の明細を希望しましょう。

クレジットカードを作る際に、Web明細にすると次年度の年会費が安くなるなどの特典があるため、Web明細を勧められますが、希望しなければ明細書は基本書面で送られてくるようになっています。

明細書のチェックは単に使い過ぎを自覚するためだけでなく、カードの不正利用の発見にもつながるので、必ずチェックするようにしましょう。

ルールを守って、計画的に利用すれば、クレジットカードはメリットいっぱいです。

※画像と本文は関係ありません

著者プロフィール: 石倉 博子

女性ファイナンシャルプランナーによるお金の総合クリニック「エフピーウーマン」認定ライター/1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP認定者。"お金について無知であることはリスクとなる"という自身の経験と信念から、子育て期間中にFP資格を取得。実生活における"お金の教養"の重要性を感じ、生活者目線で、分かりやすく伝えることを目的として記事を執筆中。