皆さんは給与が振り込まれた時「えっ、少ない!」と思ったことはありませんか? それは、年収からいろいろ引かれた金額が振り込まれているからなのです。では、「いろいろ」って一体何? 実際に計算をしながら一緒に考えていきましょう。

年収と手取り金額はどう違うの?

「年収」は1年間に会社から支払われる総支給額のことをいいます。額面金額とも呼ばれ、毎月の支給額合計にボーナスも含んだ金額です。年末にもらう源泉徴収票の「支払金額」に記載されている金額が年収に当たります。

一方で「手取り金額」とは、言葉の通り手元に入ってくる金額といいます。給与支給額から健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険、介護保険(40歳以上)と所得税、住民税を引いた金額です。

給料日にATMで通帳記入をしたら記載される金額が毎月の手取り金額です。給与明細では「差引支給額」という欄に載っている金額です。毎月の手取り金額を1年間合計したら、年間の手取り金額がわかりますね。ざっくりとした計算では、年収の約75~80%が手取り金額と言われています。

何がどれくらい引かれるの?

まず、社会保険料の本人の負担部分は、年収に対して以下の通りです。

・健康保険料……5%前後(都道府県によって異なる)
・厚生年金保険料……9.15%
・雇用保険料……0.3%(一般事業の場合)
・介護保険料……0.825%(40歳以上)

このように、社会保険料だけで年収の約15%と考えておけばいいでしょう。

次に税金です。課税所得に対して以下の通りです。

・所得税……5~45%
・住民税……10%

さきほど、税金は「課税所得」に対してかかってくるとお伝えしました。この「課税所得」と収入は異なります。では、課税所得はどのようにして計算するのでしょうか。

年収から会社員の必要経費に当たる「給与所得控除」をまず差し引きます。さらに、毎月引かれている社会保険料控除や基礎控除、人によっては配偶者控除や扶養控除、生命保険料控除などの所得控除を差し引いたものが「課税所得」になります。

また、1年間で医療費を一定額以上支払った場合など会社では把握できない控除がある場合は、自分で還付申告をすることで納め過ぎた税金が返ってきます。

住宅ローン控除については、初年度は自分で確定申告する必要がありますが、2年目からは会社の年末調整で控除することができます。

このように、できるだけ多くの所得控除を差し引くことで課税所得が少なくなり、納める税金が少なくなる、というのはこの仕組みからなのですね。

ちなみに、所得税は「累進課税」といって年収が高くなるにつれて税率が高くなる仕組みになっているため、年収が上がるにつれて手取り額の割合が少なくなります。

私の年収だと手取り金額はいくら?

では、実際にそれぞれの年収でざっくり計算をしていきましょう。ここでは計算をわかりやすくするために、所得控除を生命保険控除が上限の12万円、配偶者控除38万円として考えます。皆さんの年収に近い金額の所を見てくださいね。

計算の順番は、

1.年収-給与所得控除=給与所得
2.給与所得-所得控除=課税所得
3.課税所得×税率
4.年収×15.275%=社会保険料(上記の社会保険料率で計算)
5.年収-社会保険料-税金=手取り

※給与所得控除、所得税は下記の速算表に当てはめて計算

  • 給与所得控除速算表

  • 所得税速算表

(1)年収400万円の場合
1.400万円-134万円=266万円
2.266万円-(38万円+38万円+12万円)=178万円
3.所得税:178万円×5%=8万9,000円
住民税:178万円×10%=17万8,000円
4.400万円×15.275%=61万1,000円
5.400万円-8万9,000円-17万8,000円-61万1,000円=312万2,000円

(2)年収600万円の場合
1.600万円-174万円=426万円
2.426万円-(38万円+38万円+12万円)=338万円
3. 所得税:338万円×20%-42万7,500円=24万8,500円
住民税:338万円×10%=33万8,000円
4.600万円×15.275%=91万6,500円
5.600万円-24万8,500円-33万8,000円-91万6,500円=449万7,000円

(3)年収1,000万円の場合
1.1,000万円-220万円=780万円
2. 780万円-(38万円+38万円+12万円)=692万円
3. 所得税:692万円×20%-42万7,500円=95万6,500円
住民税:692万円×10%=69万2,000円
4.1,000万円×15.275%=152万7,500円
5.1,000万円-95万6,500円-69万2,000円-152万7,500円=682万4,000円

同じ条件で計算した結果を年収別に表にまとめました。

  • 年収と手取り金額(所得控除を生命保険控除が上限の12万円、配偶者控除38万円として考えた場合)

ざっくりとした計算ですが、だいたいのイメージはつかんでいただけたでしょうか。実際には、家族構成などによって変わることもありますが、このように年収が高くなればなるほど、手取りの割合が少なくなってきます。

自分の手取り収入を正しく把握して、上手に貯蓄していってくださいね。

※画像と本文は関係ありません

著者プロフィール: 安部智香(あべ ちか)

エフピーウーマン認定ライターファイナンシャルプランナー。安部智香ファイナンシャルプランニングオフィス代表。短大卒業後、証券会社に勤務。在職中は、資産運用を担当。結婚退職後は「もっとお金のこと、家計のこと、資産運用のことを伝えたい」という思いで、個人事務所を立ち上げ、個別相談、執筆業務、セミナー、マネーセミナー講師として活動中。