10月26日公開の映画『あいあい傘』の試写会が15日、都内で行われ、倉科カナ、立川談春、宅間孝行監督が出席した。

映画『あいあい傘』の試写会に出席した宅間孝行監督、倉科カナ、立川談春(左から)

本作は、宅間孝行が主宰する劇団「東京セレソンデラックス」の2007年に初演された舞台劇を映画化したもの。生き別れてしまった父と娘の切なくも心に沁みる5日間の物語を感動的に描く。

映画の主演を務めるのは5年ぶりとなる倉科カナ。本作では25年ぶりに父親と再会を果たすヒロインを熱演している。「役者としてイチから役を生むことも価値はありますが、私はさつきちゃんと近い境遇でした。自分の中にある痛みを力に変えて演じれる役だと思い、ご縁みたいなものを感じましたね。運命じゃないかなと。見終わって、私自身も救われました」と本作で演じたさつきとの共通点も多かったという。

倉科が演じるさつきの父親・六郎を演じたのが立川談春。2014年に放送されたTBS系『下町ロケット』の立川を見たプロデューサーが熱烈オファーしたという。これ対して1年以上出演を断り続けたという立川は「そのせいで公開が遅れました。本当なら2~3年前に世の中に出ていないといけないんですが、僕のせいでどうもすみませんでした」と謝罪の言葉を口にしながら、「この映画はワンテーマ。映画でワンテーマって恐らくないんです。父と会うとか、家族ってなんだ? っていう地味なことなんですが、ものすごい賭けだと思います。それぞれの立場の人がそれぞれの思いや賭け、決心をして作った映画。これから楽しんで見ていただければありがたいです」とアピールした。

父と娘が再会を果たしたシーンが見どころの一つであり、倉科は「談春さんとの距離感をとても大切にしていて、ほとんど現場でお話をしていません。そこだけは距離感が大切だったので、あのシーンに持っていました」と同シーンを収録するまで意識的に立川との接触を控えていたという。対する立川は「その思いを知らないからさ、しばらく俺嫌わているのかと思ったよ。目も合わせてくれないんだから。呼ばれてこの仕打かと」と笑いを誘うも、「撮り終わった後にポツリポツリとそういうお話をしてくださり、こんなに気さくでこんなにいい人なんだと思いました。そのシーンに持っていくまでの倉科カナはすごいんですよ! 最後の最後で最初のセリフを皮膚で聞くんです。その時にゾゾっとして、あとは連れてってもらっているところを一緒に歩いている感じでしたね」と褒めていた。映画『あいあい傘』は、10月26日より全国公開。