非常時の対策として、自宅やオフィスに何らかの防災グッズを準備しているという人は一体どれほどいるだろうか。災害は予期せぬタイミングで突然やってくるもの。本格的な防災グッズを持っているに越したことはないが、いざというときのために身近な日用品で簡単に手作りできる防災グッズを知っておくこともひとつの備えになるだろう。そこで今回は、災害と危機管理のノウハウや最新情報を発信する総合防災情報サイト「備える.jp」を運営している防災の専門家・高荷智也氏に話を伺った。

  • これらの日用品が防災グッズへと変身する。乞うご期待

非常食の備蓄も兼ねたツナ缶ランプ

まず紹介するのは、災害時の停電対策と非常食の備蓄を兼ねられる「ツナ缶ランプ」。ツナ缶が1時間燃え続けるランプに変身し、燃焼後はおいしく食べることもできるのだ。油漬けやオイルサーディン系の缶詰ならば、ツナ缶以外でもランプは作ることが可能。ただし、ツナ缶でも油漬けではない水煮はランプには使えないため注意しよう。

  • 用意するのは、ツナ缶1個、ティッシュ1枚、缶に穴を開けるための器具のみ

  • ランプの芯を作るため、ティッシュを半分に裂く。芯として使うのは半分だけなので、残りの半分はオイルの汚れを拭き取るなどの場面で活用しよう

  • 半分に裂いたティッシュを細くたたみ、こよりを作るように指でねじってヒモ状にしていく。必要な長さは、ツナ缶の高さの約2.5倍。ハサミがあれば、余計な部分を切ってもOK

  • ツナ缶に芯が刺さる程度の大きさの穴を開ける。穴開け器付の缶切りもしくは、釘とカナヅチ、キリなど、使用する器具は穴が開けられればなんでもかまわないとのこと。手を怪我しないように、軍手などがあるとより安全だ

  • 開けた穴に芯を刺せば、ツナ缶ランプの完成。芯は頭が1cm出るぐらいまで押し込み、数分経過して芯の先端まで油が染み込めば火がつけられる。もし穴を開けられるような道具が手元になかった場合は、プルタブを少しだけ開けて芯を差し込むという方法でも対応できる

  • 火をつけてみると、数秒でこんな具合に。コンビニでも売っている標準的なサイズのツナ缶を使用した場合、燃焼時間の目安はおおよそ1時間前後。燃焼中のニオイも特に気にならず、燃焼後のツナ缶の味もほんのりスモーキーな程度

停電時の明かりの確保としてツナ缶ランプを紹介したが、地震の直後にツナ缶ランプは絶対に使用しないこと。余震による揺れが危険であるのはもちろんのこと、地震の直後は周囲に粉塵や木くずが飛散しているケースも多く、火気は厳禁だ。

そこで、火を使わない方法として、懐中電灯にひと工夫加えるアイデアも提案しておこう。

  • 手順は至ってシンプル。懐中電灯のライト部分に半透明(乳白色)のビニール袋を被せるだけで完成。ビニール袋はそのまま口を縛ってもよし、輪ゴムやテープで留めてもよし。懐中電灯の強い明かりが、ビニール袋を被せることでやわらかい光となり、広い範囲をランタンのように照らしてくれる。LEDなどのように、熱をあまり持たないタイプの懐中電灯をオススメする