舞台『サメと泳ぐ』の公開ゲネプロが31日、東京・世田谷パブリックシアターで行われ、田中哲司、田中圭、野波麻帆、千葉哲也らがコメントを寄せた。

  • 左から田中哲司、田中圭

    左から田中哲司、田中圭

同作は1994年にケヴィン・スペイシー主演でハリウッドにて映画化(邦題『ザ・プロデューサー』)され、2007年にはロンドン・ウェストエンドにて舞台化された。ハリウッドの大手映画製作会社の大物プロデューサーであるバディ・アッカーマン(田中哲司)の元で働くこととなった脚本家志望のガイ(田中圭)は、フリーの映画プロデューサーのドーン(野波)と恋人関係になるが、バディがドーンの企画を利用しよう企み、歯車が狂い始める。

劇中では、田中哲司が大物プロデューサーとして迫力を出し、時にコミカルに周囲を振り回す。また田中圭と野波のキスシーンや、映画界の中での女性の扱いに切り込む台詞も見所となっている。東京公演は世田谷パブリックシアターにて9月1日〜9日。他、仙台公演、兵庫公演、福岡公演、愛媛公演、広島公演を予定している。

千葉哲也(演出・サイラス役)コメント

硬質な芝居というより、柔らかい中に毒のある作品になっていればいいと思います。僕はどこか力の抜けた演劇が好きなんだな、と改めて実感しました。出演者もスタッフもとてもいいチームで、穏やかに稽古に取り組めました。ハリウッドが舞台ではありますが、人生の中では誰しもに起こりうる、集団社会で大きなものに潰される軋轢、不確かなものを確かだと思ってしまう人間の姿が描かれていると思います。「人生は映画じゃない」という台詞が出てきますが、観ている皆さんにどう響くのか? 共感できる人、できない人、感じ方はそれぞれですが、何か持ち帰ってもらうものがあれば嬉しいですね。

田中哲司コメント

緊張や不安はもちろんありますが、初めてご一緒した演出の千葉さんが自由を許してくれるので、余白をもって、力を抜いて、固まりすぎずに舞台上で起こることを楽しみたいと思います。最初に台本を読んだ時から面白いと思っていたラストシーンは、実際に演じてみてもやっぱり面白い。圭くんのガイは物語の中でどんどんカッコ良く成長していくし、野波さんのドーンは彼女にしか出せない雰囲気を放っているので、自分も一瞬も気を抜くことができないですね。僕自身は大人が楽しめるブラックコメディだと捉えているので、真面目な作品だと構えることなく、肩の力を抜いて観に来てください。

田中圭コメント

今は幕が開いたらどうなるんだろう、やってみるしかない! という気持ちです。単純なストーリーにみえて、中で渦巻いているものが多く、何が本当か嘘か分からなくなる。自分でも日々作品の見え方が変わって行きます。演出の千葉さん、哲司さんや野波さんとの関係性を信じて、周りからもらうものを大切にしたいです。いい意味でハプニングもたくさん起きそうです(笑)。作品のテーマ性がとても好きなので、僕自身響く台詞が多く、今この作品に出演する意味を感じます。この舞台を観た後に、僕たちのような作り手側に対して見え方が少し変わる、そんな部分があればいいなと思います。

野波麻帆コメント

千葉さんが役者に対して絶対に否定しない演出をされるので、稽古の中でいろいろな角度からドーンという役を探せる時間を過ごせたことをとても感謝しています。哲司さんも圭さんも日々変化しているし、自分も毎日新鮮でありたいですね。本番でもみんなで変わっていけるのではと思えることが幸せです。この作品の登場人物はみんなが必死に戦っているけれど、お互いの情熱がうまくかみ合わない。誰が悪いということではなく、それぞれの歯車が狂ってしまう気持ち悪さを是非観てもらえたらと思います。