――今回の撮影の中で、"アフレコ"があることも大きな違いだと思うのですが、実際にやってみて、いかがでしたか。

アフレコはきついですね。犬飼くん、赤楚くんともしゃべっていたんですけど、彼らも「きつい」って言ってましたから。声を張ることが多いので、声を枯らしてしまうことがよくあるそうです。監督は、CGも含めてまだできあがっていませんが、イメージをはっきりと伝えてくださって、「ここはもうちょっと声を張ってほしい」とか、いろんな細かい要求があります。それに彼らは本当にちゃんと応えていました。戦いのシーンは、声を張るシーンばかりで、タイミングも含めて大変でした。

――伊能は初登場の人物でありながら、実はこれまでのエピソードの裏で糸を引いており、エボルトや戦兎たちとの関係性がすでに存在しています。勝村さんの中で、その埋めていく部分をどのように解釈して演じられましたか?

すべての黒幕ですからね。みなさんがこれまで長い期間やってらっしゃったドラマの話にズンっと入ってきて、見事にリンクしていく。その肝となる役ですから、失礼のないように、世界観を壊さないようにということを心がけました。あとは背負った物語が大きいので、あまり生活感が出ないように。知事という設定も含め、人々から熱狂的に支持される魅力も必要です。そのへんが大変でした。

――「仮面ライダー」作品に出演してみて、あらためて「仮面ライダー」シリーズの魅力はどんなところにあると感じられましたか?

子どもから大人まで、男の子の心をいつまでも揺らしてくれる作品なのだと思います。僕も一番最初に『仮面ライダー』を見た世代なんですけれど、50になっても60になっても、心のどこかに男の子っているじゃないですか。そういう心をいまだにくすぐってくれるんだなと。

僕はもう55歳で、人生が80年だとしたら、あと20年くらいで死んでしまいますが、「仮面ライダー」はずっと残る。子どもたちに夢を見せ続けてくれます。『仮面ライダー』で本郷猛を演じた藤岡弘、さんはスーパーレジェンド、藤岡さんや当時のスタッフのみなさまが繋いでくださった奇跡のような作品ですよね。どのくらいシリーズが続くかはわかりませんが、もしかしたら永遠に続くかもしれないわけです。だからこの作品は日本の文化の一つです。作品に関わっているみなさんの深い"ライダー愛"が、作品を文化に押し上げたのでしょう。

――その歴史の中でも仮面ライダーブラッドは唯一勝村さん演じる伊能だけが変身するですからね。

史上最強ですからね。もう一度いいます、史上最強です(笑)。本当に光栄です。

――初代のライダーから見られていたということなのですが、あえて一番好きなライダーを挙げるとしたら?

やっぱり最初の藤岡さんの仮面ライダー1号がインパクトありましたね。あとは『仮面ライダーV3』です。いきなり色味が変わって、すごいカッコよかった。怪人も今の言葉で"ハイブリッド"でした。「テレビバエ」も「カメバズーカ」も、今でも鮮明に覚えています。数十年経って、これだけ時間が流れてもこんなに覚えているんですから、作品の力の証明ですね。"ライダー力"とでもいうんでしょうか。

――久しぶりに帰ってきて、「仮面ライダー」のここが変わったなと思ったところはありましたか?

スケール感が違いますね(笑)。登場するライダーの数もすごいし。「殲滅」とか、なかなか言わないセリフを楽しませていただきました。

――制作発表会見では変身ポーズをつけなかったことを後悔している……とお話されていましたが、こういうのやってみたかったなというものはありますか?

シンプルな「変身!」でももちろんいいんですけど、せっかくですからエレガントなものでもよかったのかな。クラシックな感じの変身ポーズを一度くらいはやってみてもよかったのかなっていう。欲張ってしまいますね(笑)。

――『仮面ライダー』で胸をアツくした勝村さんの同世代のファンの方に、この作品をおススメするとしたらどんなところでしょう。

これがずっと繋がってきているってことですよね。「仮面ライダー」は、男の子で嫌いな人はいないと思います。どの世代でも影響受けている作品です。それに、「仮面ライダー」は風車でしたけど、「仮面ライダービルド」はフルボトルを使って変身するという、まったく違う変身アイテムが登場します。そこも世代世代で楽しめるものですよね。作っている方たちも、様々なアイデアを創造し続けるところもすごい。そういうグッズも含めて繋がっています。そんな作品はなかなかありませんからね。

――仮面ライダーブラッドのビジュアルを見た印象はいかがでしたか?

もしかしたら今までで一番かっこいいんじゃないかなと思っています(笑)。で、本当は見せちゃいけないんですけど、こっそり何人かに見せちゃいました。「写真は送れないけど、コレ見て! スゲーだろ」って。男の子たちはみんな「ウワァ!」ってすごく驚いてましたよ。"男の子たち"っていっても、みんな50手前なんですけど(笑)。みんなやっぱり男の子なんですね、おじさん、おじいさんになっても。

――あらためて映画の見どころをお願いします。

伊能たち「ブラッド族」がどういう行動を起こすのか、そしてどんな戦い方をするのか、が見どころです。ビルドたちとは格が違うんだぞという。そんな強大な敵に対してビルドたちがどのように立ち向かっていくのか、楽しみにしていただきたいですね。

劇場版「ビルド・ルパパト」製作委員会 (C)石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映