自分の居場所があれば、幸せになれる


他者目線で考えられるというのは、これまでの見方を変えることでもあります。前編の最初にいった「短所は長所でもある」というのも考え方と同じ。これができるようになれば、今までの自分のポジションを変えることができて、自分なりの居場所も見つけやすくなります。コミュニケーションで悩んでいる人は、結局自分の居場所がなくて困っている人だと思うんです。


居場所がない? またまたまたまた、戸惑いますよー、私。


居場所があるというのは、他者(人)から求められる存在(立場)にあるということですよね。うまくコミュニケーションができるようになりたいと切望するのは、周りから求められる(あるいは頼りにされる)立場になりたいと思っているからなんですよ。



つまり、「居場所がある=役割がある」という考え方でしょうか?



そう。だから、もし喋りが上手くないなら徹底的に聞き役としてのスキルを磨けば、話しやすい人(話を聞いてもらいたい人)というポジションを築くことができます。そういう人の元には、新しい人のつながりもできるはず。そうなれば企業内においても、人と人をつなぐ、新たな役回りを任される可能性だってあるわけです。


  • 居場所をみつけましょう


他者目線をもって、視点を変え、ポジションを築く。新しい発想ですね。なんだかワクワクします!


「他者目線」を学ぶには、落語がオススメ!?<


それともう1つ、ぜひ身に付けてほしいのは「ツッコミ目線」です。



やっぱり笑いを取れ! ということですか。



笑いまでは期待していません。


安心しました。笑いをとるなんで、絶対無理ですー。


取れるに越したことはないですが、西谷さんには難易度が高いと思います。それよりも、まず自分がいろんなところから聞いた話は、「まず疑ってみろ」ということです。立川談志は「新聞で正しいのは日付だけ」と言っていました。それは別の言い方をすれば、「流れてきた情報を真に受けるな。自分のセンスを信じて、疑ってみろ」ということです。落語も同じ。疑った見方をすることで、笑いや感動などの心を揺さぶることが生まれてくる訳ですから。



会話でも「ツッコミ目線」によって、変化が生じるということですか?



「ツッコミ目線」を持って相手とやりとりすることで、新たな気づきや発見を与えられる可能性は十分にあります。それこそ同じ会社でずっと勤めていると、会社の習慣習や文化が当たり前に思ってしまいますが、若い人なら会社に染まっていない分、おかしいところは気づけるはず。そういう感性を大切にすべきだと思います。


なるほどねー、確かに同じ組織に長年いると、その組織文化に慣れて疑問を持たなくなるとよく言いますよね。常にツッコミを意識すると、それが防げるということだ!


最後に読者へアドバイスをいただけませんか。



前座の修業をしている頃はしくじってばかりで、不幸な時代でした。しかし今となっては、その経験をもとに、本を出したり、企業から講演のお話をいただいたりして、ハッピーな時間を過ごしています。そう考えると、正直何が失敗で、何が成功かは分からない。だからこそいろんな経験をして、悩みなれする(悩み上手になる)ことをオススメします。



それと落語をぜひ聴いてください。全てが人間の弱さに立脚して描かれていて、人間のシステムエラーが集まっているので、他者目線を知る上では、かっこうの材料になると思います。隔月でネタ下ろしの会などもやっていますのでHPなどをご覧になり、ぜひお越しください。


プロフィール : 立川談慶

落語家
生年月日:1965年
出身地:長野県上田市(旧丸子町)生まれ
趣味・特技:ウェイトトレーニング歴10年、ベンチプレス120kg
慶應義塾大学経済学部を卒業後、株式会社ワコールに入社。3年間のサラリーマン体験を経て、91年立川談志18番目の弟子として入門。 前座名は「立川ワコール」。2000年に二つ目昇進を機に、立川談志師匠に「立川談慶」と命名される。 05年、真打昇進。慶應大学卒業の初めての真打となる。

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