能力がないのか。段取り下手なのか。常に仕事に追われる毎日だ。ライターという職業では致命的な遅筆もさることながら、インタビュー前の資料や書籍の読み込みにとにかく時間がかかる。

この悩みは、わたしだけでなく、ビジネスパーソンなら誰しもが感じる悩みではないだろうか?そこで 解決策を色々探してたどり着いたのが「速読術」。

ほんとに役立つのか、半信半疑な所もあるが、大型書店に行くと、たくさんの速読本を見るし、ネットで検索するとセミナーの数も多い。ただ、多いゆえにどの速読法がいいのか、皆目わからない状況だ。

どうしようか思い悩んでいると、「日本唯一の速読芸人」というワードが目に留まった。

ルサンチマン浅川

最近は、お掃除芸人、占い芸人、料理芸人など、芸人さんの中にもプロ顔負けの達人がいる。初めて聞く名前だが、この人に聞けば、速読のことがわかるのではないか。早速話をうかがった。

浅川さんが語る速読のコツとは

「ルサンチマン浅川」さんは思った以上にキャリアを感じる風貌だった。というか、所属事務所のプロフィール画像との落差が大きすぎだろ! というのが第一印象。

公式プロフィール

  • オフィス北野HPより

実際

ベンチャー企業で見かける、スピード出世して「若手社員→いきなり事業部長」になった感。

速読芸人の経歴

わたし:速読芸人って、初めて聞きました。

浅川さん:唯一の速読芸人ですから。

わたし:(どれくらいニーズがあるんだろう)芸歴は長いんですか?

浅川さん:14年目です。

わたし:じゃあ、速読歴もそのくらい。

浅川さん:速読はもっと長いです。中学生のときからなので20年以上です。

速読に目覚める中学生。いろんな意味で、その学生時代に興味がわく。

わたし:何がきっかけだったんですか?

浅川さん:たまたま本屋さんで速読の本を見つけて。そこからハマってしまって、今ではいろんな速読の本を買い集めて、研究するのが楽しくなってきて。

わたし:速読が趣味に?

浅川さん:そうです。今ではいろんな速読本を買い漁っていて。今日も持ってきました。

  • 浅川さんのコレクション。いまは絶版の貴重な書籍も多数

持参したバッグからは、何十冊もの速読の書籍。種類は本当に豊富で、「SP式速読」「フォトリーディング」など、よく目にするものから、一度も見たこともないマイナーなものまで、さまざまだ。

クソ暑い中、重い書籍をこれだけ持ってきてくれたことに感動する。浅川さんは間違いなく良い人だ。

わたし:これで全部ですか?

浅川さん:一部ですね。家には、まだまだありますよ。全部で100冊、いや200冊ぐらいはあるでしょうね。

わたし:そんなに!? 

それは、想像以上である。というか、そこまで速読に違いがあるのだろうか?

浅川さん:動体視力をあげるやり方とか、潜在意識を活性化して読む方法など、いろんなやり方があって、流派も違うんです。

華道や茶道のように、流派もあるのか。これじゃあ、なかなか決められないな。 浅川さんのオススメを聞くのが手っ取り早そうか。

わたし:浅川さんのオススメは、どれですか?

浅川さん:新日本速読協会の「ジョイント式速読法」(※)ですね。中学時代に書店で買った、この速読法が載っている「決定版 速読トレーニング」を読んだのがきっかけで、ハマりました。「高速ページめくりトレーニング」「視幅・識幅拡大トレーニング」「ブロック読みトレーニング」などのきわめてスタンダードな速読法が学べます。

本当に効果あるの?

本当に速く読めるようになるのだろうか。ぶっちゃけて聞いてみた。

わたし:こんなこと聞くのは失礼だとは思うんですが、本当に速読法って効くんですかね?

浅川さん:かなり速くなりますよ。

即答だ。自信があるようだ。

わたし:そうなんですね!? もちろん理解も深められると?

少し突っ込んで聞いてみる。

浅川さん:もちろんです。結局、何をもって読めたとするかですが、よく言われるのが「速読」といえば、何ページの何行目に何が書いてあったか分かることだと思っている人が多いんですが、それはできません。

わたし:普通に読んで無理なことは、できないということですね。

浅川さん:そうです。もちろん速読を通じて、理解を深め、要約することはできます。

言われてみれば、わたしも、話を聞きながら速読に現実離れした力を期待していたところがある。でも速く読めて、要約もできるようになるなら願ったり叶ったりだ。具体的にどんなことに活かせるのだろうか。

速読ができれば、無駄な本を買わなくてすむ!?

わたし:これまで、どんなことに“速読”を活かしてきたんですか? やっぱり受験ですか?

浅川さん:そうですね。短期間で複数冊の参考書を読むとか、簡単にできますから。ビジネス書でもできるので、西谷さんが言っていた悩みも解消できますよ。

そういえば、浅川さんは早稲田大学卒業。受験勉強では実証している。ビジネスシーンならどんなときに役立つのだろうか。

浅川さん:一番は読まなくていい本をはじけるようになることですね。

わたし:どういうことですか?

浅川さん:たとえば、気になる本があれば、数秒あれば内容がある程度わかるので……本当に必要な本だけ購入することができます。

わたし:なるほど、取捨選択ができると!

浅川さん:そうです。

それは効率的だ。無駄に時間やお金を使わなくてすむ。それって、いろんな書籍に有効なのだろうか?

浅川さん:目的が明確なビジネス書(もちろん企画書なども)が最適ですね。登場人物が多く、文体も独特な、小説は少し難しいですね。今までよりは速く読めますが……。あとハードカバーよりもソフトカバーの方がいいですね。ページがめくりやすいので。

本のジャンルや本の体裁によっても速読の向き不向きがあるのか。 なんとなく頭では理解できたが、正しい速読法って、どのようにするのだろう?

わたし:僕でもできますかね。

浅川さん:できますよ。やってみます。

わたし:簡単に、効果が出るやり方ってありますか?

ここぞとばかりに無茶なオーダーをしてみた。

本当に速く読めるのか!? 特訓した

そこで教えてくれたのが、「高速ページめくりトレーニング」。

浅川さん:簡単に言えば、ページをめくるスピードを上げていくトレーニングです。やる前に、自分の中で文字を認識しようと意識することが大切。そして、ページを高速でめくっていく。

その場で、手本を見せてもらうと、ほんとに一瞬だ。

本当に読み取れてるのか? にわかに信じがたい速度だが……

浅川さん:最初は読み取れなくていいんです。読み続けていると、次第に脳が順応してくれるので。

なんとなく、分かったような、わからないような。

わたし:それをやり続けるんですかね。

浅川さん:最初は児童書などの大きな活字から初めて、それで印刷されている文字が認識できるように感じたら、次はビジネス書などの小さな活字にチャレンジします。そのとき、2段階で練習します。

わたし:ははあ、2段階。どういうステップでしょう。

浅川さん:まずは数百ページを2秒前後で読む「高速」と、もうひとつは10~20秒前後で読む「低速」です。1日10分のトレーニングを2週間もすれば、読む速度は全然変わってくると思いますよ。

2週間の速読特訓成果

浅川さんの教えのもと、次の日から寝る前に時間をとって、トレーニングを開始した。最初の1週間は、大きな活字で書かれた児童書を毎日読んでいると、文字全てを認識できるわけではないが、少しずつ単語(キーワード)が目に留まるようになってきた。

次の1週間は、小さな活字で書かれたビジネス書に挑戦。初めは手こずるが、次第に単語が飛び込んでくるようになる。

トレーニングを終えて、感覚的には読むスピードが速くなったように思えるが、実際どのくらい変わったのか。その変化を調べるために、読書スピードを自己診断できる「読書速度 ハカルくん」(日本速脳速読協会)で活用した。

トレーニング前の私の速度は「タートル級」(最も遅い)だった。

そして、トレーニング後は、「紙飛行機級」にレベルアップ。 ようやく平均的な読書速度に。

この結果を浅川さんに報告すると、「まずまずじゃないですか。もっとやれば、もっとできるようになりますよ」とのこと。

でも個人的には、いまだにこれだ! という実感はない。 多分、キチンと身体に付けるまで至っていないからだ。

本格的にやるなら、イチから教わるべきなのだろうというのが、やってみての個人的な感想だ。

最後に、記念に速読唯一芸人としての芸を見せてほしいとお願いした。すると、「速読は私の趣味なので、芸ではやっていないんですよ」の答え。

まさかの事実。本は速く読めるようになっても、この展開は読み切れなかった。

※「ジョイント式速読法」: 今では「川村式ジョイント速読術」と名称を変え、任天堂DSソフトでも有名。特許取得もされている。ちなみに今回教えてもらった具体的な速読法は、ルサンチマン浅川さんが独自解釈したもの。

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