インテリアは高級車「Sクラス」を思わせるほど先進的で、メーターは横長の大型液晶パネルに映し出される。今回、メルセデスがこだわったのは「MBUX」(メルセデス・ベンツ ユーザーエクスペリエンス)というユーザーインターフェースだ。デジタル技術を駆使した操作系だけでなく、AIを使った音声認識も実用化している。

  • メルセデス・ベンツの新型「Aクラス」

    インテリアは「Sクラス」を思わせるほど先進的

「AI」はバズワード化し、言葉の意味があいまいになっている側面もあるが、メルセデスの場合はドライビング中に必要な用途に特化している。音声認識は全世界の23カ国語に対応。もちろん日本語で話しかけても大丈夫だ。試乗では実際にMBUXを使ってみた。

AI搭載のMUBX、協力サプライヤーも多彩

「ヘイ、メルセデス」と語りかけることからMBUXは始まる。従来の認識とは異なり、AIが搭載されているので使い方はロボットのよう。例えば「明日どこどこに行くけど傘は必要?」と聞けば、天気予報を調べて「傘は要りませんよ」と答えてくれる。あるいは渋滞に巻き込まれたとき、「会議に送れるのでボスにメールして」と指示すると、MBUXはメールを作成し、送信してくれる。まるで夢のようなことが可能となる。

MBUXは交通や運転環境に特化したデータベースを持つので日常的な会話はできないが、ドライバーのアシスタントとしては良きパートナーになりそうだと思った。そんな素敵なシステムが、メルセデスのエントリーモデルから実用化されたわけだ。

  • メルセデス・ベンツの新型「Aクラス」

    AI搭載のMUBXはドライバーの良きパートナーとなりそうだ

MBUXが使う音声認識技術は米国のニュアンス(Nuance)という企業が提供している。カーナビはドイツのヒア(HERE)、天気(米国)のソースは「Foreca」「Autonavi」を使うが、データベースはIBMを使用している。 インフォテイメントのOSはリナックス(Linux)、車載用コンピュータはエヌビディア(NVIDIA)と多彩なサプライヤーが協力している。

このように、車内での体験にも新味のあるメルセデス・ベンツの新型Aクラス。日本上陸は秋以降になりそうだが、高級車はFRという固定概念は捨てたほうがよいかもしれない。