東京商工リサーチは5月21日、2017年決算「上場2,681社の平均年間給与」調査の結果を発表した。2017年決算(1月-12月)の全証券取引所の上場企業を対象に有価証券報告書で平均年間給与を抽出したもの。対象は、2011年から2017年決算まで連続比較が可能な2,681社(持株会社、変則決算企業は除く)。

2017年決算の上場2,681社の平均年間給与は、599万1,000円(中央値586万3,000円)で、前年の595万3,000円から3万8,000円(0.6%)増えた。

平均給与は2011年に調査を開始以来、6年連続で前年を上回った。ただ、増加率は2年連続で前年を下回り、縮小。これは2,681社のうち、1,622社(60.4%)で従業員数が増えており、積極的な人材採用も平均給与の伸び率鈍化につながった一因とみられる。

業種別1位は建設業

業種別の平均給与では、 最高が建設業の695万3,000円(中央値694万9,000円、前年比2.7%増)で、2年ぶりにトップに返り咲いた。一方、最下位は7年連続の小売業で475万円(同463万8,000円、同0.8%増)だったが、4年連続で前年を上回った。

個別企業1位はGCA

個別企業の平均給与は、トップがM&A助言会社のGCAで1,559万円。前年(2,139万6,000円)より580万6,000円減少したが、4年連続でトップを守った。2位は不動産業のヒューリックで1,530万6,000円。都心の駅近に多くのオフィスビルや賃貸マンションを保有し、高収益を反映して前年(6位、1,418万4,000円)から4ランクアップ。3位は朝日放送で1,515万8,000円。2015年以来、2年ぶりに平均給与が1,500万円台に回復し、前年(4位、1,498万円)から1ランクアップした。

トップ10のうち、総合商社が5社ランクインし平均給与の高さが際立った。また、中小企業の事業承継問題や上場企業の投資拡大を受け、M&A関連も2社ランクインした。

平均年収1,000万円以上の上場企業は1.0%

平均給与の社数の最多レンジは、500万円以上600万円未満で820社(構成比30.5%)。次いで、600万円以上700万円未満が685社(同25.5%)だった。500万円以上700万円未満を合算すると1,505社(同56.1%)で半数を超えた。500万円未満は631社(同23.5%)と、前年(649社、構成比24.2%)よりも18社減少し、調査を開始した2011年以降、社数の減少が続いている。

平均給与1,000万円以上は29社(構成比1.0%)で前年より1社減少。平均給与2,000万円超は、前年はGCAの1社あったが、2017年は2014年以来、3年ぶりにゼロだった。

増加率トップは、通販事業のパス(800万2,000円)で前年比76.6%増。経営再建中で、事業再編などにより給与が低い社員が辞め、平均給与が前年より1.7倍増と大幅にアップした。

2位のゴールドウイン(638万円)は前年比47.2%増。前年まで算出方法に販売員を含めていたが、2017年は販売員を除いたため前年より1.4倍に拡大した。3位の日本伸銅(575万8,000円)は前年比43.9%増。人材確保のために賞与が増えたことで平均給与が大幅に増加した。

民間企業の平均給与は421万円

国税庁の「平成28年分民間給与実態統計調査結果」によると、2016年の民間企業の平均給与は421万6,000円(正規486万9,000円、非正規172万1,000円)で、2017年の上場企業の平均給与と比べ、正規社員で1.2倍(112万2,000円)、非正規では3.4倍(427万円)の格差があった。