先日人事部から、「リファラル採用にご協力ください」という文書が回ってきた。「俺も友人から紹介されたリファラルなんだよね」って先輩が言ってたけど、それってコネ採用では? そこで今回は、企業が用いる採用方法「リファラル採用」と「コネ採用」について解説します。
■「リファラル採用」とは
リファラルとは、英語で「referral」と書き、「紹介。推薦」という意味になります。
「リファラル採用」とは、企業が用いる採用方法のひとつで、会社と関わりの深い人物や社員から、企業に適していると思われる人材を紹介・推薦してもらうものです。日本ではまだ定着していませんが、欧米では主流となっています。
■「コネ採用」とは
「コネ採用」は、「縁故採用」とも言われます。「コネ」は、英語の「connection(コネクション)」の略で、「連絡。関係。つながり」という意味があり、「縁故」は、「血縁・姻戚(いんせき)などによるつながり」を意味します。
つまり「縁故採用」とは、社内で一定の地位にある人間の親族や、大口取引先の血縁者など、企業に関係する有力者からの紹介によって採用する方式のことです。
■「リファラル採用」と「コネ採用」の違い
両者の違いは、紹介者の権力の有無にあります。「コネ採用」は、社内の有力者、OB、有力クライアント、政治家など、その企業に対し何らかの影響力を持っている人からの紹介です。ゆえに、採用試験や面接は形式的なものであり、万が一その人物に適切な業務能力がなくとも、紹介者との関係性を優先して採用することが多いようです。
一方、「リファラル採用」の紹介者に権力の有無は関係ありません。社員の誰もが紹介することができるのは勿論のこと、企業のことをよく知る人物であれば可能です。また、通常の採用試験や面接を得て公平に採用され、必ずしも採用しなければならないというわけではありません。
■「リファラル採用」のメリット・デメリット
「リファラル採用」のメリットとしては、まず、採用コスト削減が挙げられます。通常であれば、求人メディアの掲載コスト、新卒向け企業説明会や転職セミナーへの参加費、人材紹介会社への紹介依頼費用などがかかりますが、「リファラル採用」の場合では、大幅に費用を抑えることができます。
また、企業の業務内容や社風などを良く知る人物から紹介されるため、その企業が求めるスキルを有した人材であることが期待できます。さらに、採用される側にとっても、社内に知人がいることの安心感、入社前に企業に関する確かな情報が得られることができ、それらは、定着率の高さに繋がります。
その一方で、万が一不採用となった場合には、紹介者と企業側だけでなく、紹介者と候補者の関係を悪化させる恐れがあります。「リファラル採用」を利用する場合には、そのことを十分に理解しておきましょう。
■「コネ採用」のメリット・デメリット
企業側としては、明確な紹介者がいることから、身元のはっきりとした人材を採用することができます。また、予め合格が決まっているわけですから、採用試験や面接などを省くこともでき、時間やコストを削減することができます。もちろん、紹介者である有力者の心象も良くなります。
採用される側にとっては、採用試験を受けるにあたって非常に有利であることは間違いありません。そんな有利なコネで就職できるなんて羨ましい限りですが、実はそうでもありません。確かに簡単に就職はできますが、問題は入社後です。
特に、自分の能力以上の企業に就職した場合には大変な思いをしたり、「あいつはコネ入社だから使えない」などと陰口を叩かれることもあるでしょう。また、たとえ実力で何らかの成果を上げたとしても、周囲からは「コネ入社はいいよなぁ」と思われることも。コネで就職した場合には、周囲から文句を言われないような働きぶりを示す必要があるかもしれません。
コネ入社であっても"仕事がデキる"人もいれば、採用試験をトップで通過し期待されながらも、入社後"期待ほどは仕事がデキない"という人もいるでしょう。
重要なのは入社後の働きです。どんな方法で採用するにしても、事前に得た情報や成績だけに頼ることはできません。自社にとって必要な人材の採用基準を、担当者には持っていてほしいですね。