交通系ICカードの全国相互利用がスタートしたのは2013年のこと。これでSuica一枚で、北海道から九州まで、スイスイ行けるようになったはずだった。しかし、あちこちにまだ様々な穴があるのが現状だ。Suicaの全国相互利用の注意点を、筆者が大阪で体験したこと踏まえて紹介したい。
全国の乗りものがSuicaでスイスイ
まず、交通系ICカードの全国相互利用とはどういうことなのか。交通系ICカードの全国相互利用は2013年にスタートしたサービスだが、下記に記した主な交通系ICカード(計10種類)のそれぞれのエリア内なら、SuicaやPASMOはもちろん、各エリアの交通系ICカードを使って、自在に電車・バスの乗降や買い物をすることができるというものだ。
JR北海道「Kitaca」
JR東日本「Suica」
首都圏の私鉄・バス「PASMO」
JR東海「TOICA」
名古屋市交通局/名古屋鉄道「manaca」
JR西日本「ICOCA」
関西の私鉄・バス「PiTaPa」
JR九州「SUGOCA」
福岡市交通局「はやかけん」
西日本鉄道「nimoca」
PiTaPa専用端末機にご注意を
筆者は東京においてモバイルSuicaを使い、買い物から電車、バスまで利用している。今回の大阪でも同じく、モバイルSuicaを使うことにした。大阪の地下鉄やモノレールで使えるPiTaPaはというと、2013年より相互利用を開始しているため、PiTaPaの代わりにSuicaを使うこともできるというわけだ。
実際、大阪の地下鉄やモノレールはSuicaを使ってスイスイと乗れた。ありがたいサービスである。だが、電車から降りて喉の渇きを潤そうと売店に寄ったところ、ひとつ目の"落とし穴"に遭遇した。端末機にSuicaをかざしても反応しない。この端末機はPiTaPa専用だったようだ。
PiTaPaは後払い方式で約1カ月後に利用金額が引き落とされる。他の交通系ICカードはみな前払いで、事前にチャージして使う方式だ。そのため、支払いのタイミングが異なり、PiTaPa専用端末機ではSuicaは使用できない。
オートチャージ対象外のエリアは広い
今度はJR西日本管轄(ICOCA)の環状線に乗って大阪城へ。いつものように改札でSuicaをタッチしたところ、残高不足を知らせる赤いランプがついてしまった。これが大阪で体験したふたつ目の落とし穴だ。
筆者のSuicaは1,000円未満の残高しかない場合、改札にタッチすると3,000円がオートチャージされるように設定している。しかし、ICOCAエリア内ではSuicaはオートチャージされないのだ。オートチャージに頼り切った生活を送っていると、ちょっとしたパニックになってしまうだろう。
PiTaPaやICOCAが運用されている大阪では、すでにSuicaと相互利用が可能になっているといっても、オートチャージまでは連携していない。Suicaのオートチャージは、首都圏・新潟・仙台の各Suica/PASMOエリアにて可能となっている(一部の簡易Suica改札機、私鉄との乗換改札機、新幹線自動改札機を除く)。なお、PASMOのオートチャージは、PASMOエリア、首都圏・仙台・新潟の各Suicaエリアでの改札機入場時に可能となっている。
今回の体験で筆者が感じたことだが、モバイルSuicaやApple Payの人はもう1枚、単純なSuicaの板カードを持っておくことをオススメしたい。いざという時に他に一枚、チャージ済みのSuicaカードを持っていれば、いつの間にか残金不足になっていたSuicaに行く手を阻まれてしまうということが回避できるはずだ。
Suicaと言えばこの4月1日から、JR東日本の新幹線もSuicaまたは全国相互利用対象の交通系ICカードで乗れるようになった。自由席だけではあるが、これで乗車券を買う手間が省け、よりスムーズに新幹線を利用できるようになったわけだ。次回はそのことについて触れたい。
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