シンプルさで魅せるデザイン
カジャーのボディサイズは全長4,455mm、全幅1,835mm、全高1,610mmで、輸入車ではフランスでもライバル関係にあるプジョー「3008」と同等。日本車ではアライアンスの仲間になった三菱自動車工業の「エクリプス クロス」が近い。
しかしエクステリアデザインからは、そのボリュームを感じない。フロントマスクやボディサイドの造形は、ひとまわり小柄なキャプチャーに似ているが、ルーフを塗り分けた2トーンカラーではないし、他のブランドの上級車種のように光り物で飾り立てたり線を増やしたりということがなく、シンプルにまとめているためだろう。
逆にいえば無駄な装飾に頼らず、このサイズを緊張感ある造形に仕上げたデザイン力に感心する。
インテリアも黒一色のカラーを含めてシンプルに感じる。これ見よがしの演出はない。そのおかげだろう、ストレートに広さが伝わってくる。特に横方向の広がりは驚くほどだ。前後方向も余裕があり、身長170cmの人間ならゆったり過ごすことができる。
荷室にも感心する。後席を立てた状態で527Lという容量もさることながら、前後2分割のフロアは上下2段階にセットでき、それぞれを立てることで空間の仕切りに使うことも可能。さらにトノカバーは床下にしまうこともできる。
「カジャー」に見るフランスと日本の融合
ルノーは日産とアライアンスを組む関係で、日本に滞在経験がある開発担当者が少なくない。フランス車伝統の優れたパッケージングと日本車のきめ細かい設計が融合したようなこの作りは、ルノーならでは仕上がりなのかもしれない。積極的に使いこなそうという気持ちにさせるクルマだ。
エンジンは1.2L直列4気筒ターボでキャプチャーと基本的に同じだが、205Nmの最大トルクはそのまま、最高出力を87kWから96kWに引き上げたほか、デュアルクラッチ・トランスミッションが6速から7速になり、車両重量は1,410kgとサイズのわりには軽いので、加速に不満はない。
力に余裕があると思ったのは、エンジン音がほとんど車内に届いてこなかったためもある。キャプチャーもこの面では優秀だけれど、カジャーはCセグメントのSUVとして考えても驚きのレベルだった。