昨今の自動車業界のトレンドのひとつがSUVだ。2017年もマツダ「CX-8」など数多くの新型SUVが登場し、日本カー・オブ・ザ・イヤーにはボルボ「XC60」が輝いた。このブームは2018年も続くのだろうか。直近の状況から整理すると、3つの流れに注目が集まりそうだ。

  • マツダ「CX-8」の画像

    マツダ「CX-8」(画像)など数多くの新型SUVが登場した2017年

SUVブームの背景は

2017年12月、筆者はまずスペインに行ってボルボの新型車「XC40」をドライブし、続いてフランスに渡ってDSブランドの新作「DS7クロスバック」に試乗した。日本に戻ると今度は北海道に向かい、同月発売されたばかりのマツダ「CX-8」に乗った。その間、「2017-2018日本カー・オブ・ザ・イヤー」(COTY)が発表され、ボルボ「XC60」が受賞した。

考えてみたら、すべてSUVである。今の自動車のトレンドのひとつがSUVであることを、あらためて教えられた。

  • ボルボ「CX60」の画像

    COTYを受賞したボルボ「XC60」

なぜSUVがここまでブームになったのか。理由のひとつにカジュアルでアクティブな雰囲気があるだろう。セダンも昔に比べればスポーティな車種が増えたが、フォーマルなイメージは依然として残っている。そのセダンからファミリーカーの主役の座を奪ったミニバンは、どうしても生活感が抜けない。

ファッションセンスの良いアスリートのような立ち位置が、多くの人をSUVに引き付けているのではないかと思っている。

自動車の低速化もSUV興隆の一因に

もうひとつ、交通事故や環境対策を背景にした自動車の低速化も関係しているだろう。これは特に欧州で顕著で、スピード違反の取り締まりは日本よりはるかに厳しくなっている。そんな中で、空力性能に優れた低いフォルムへのこだわりが薄れてきたことも関係しているはずだ。

しかも最近のSUVは、オフロード走行を念頭に置いた車種はわずかであり、床はそれほど高くない。それでいて、ルーフはセダンやハッチバックより高く、ドライバーの目線も上になる。乗り降りしやすく運転しやすい。これも流行の理由だと思っている。

  • 三菱自動車「エクリプス クロス」の画像

    最近のSUVでオフロード走行を念頭に置いた車種はわずかだ(画像は2018年3月に発売予定の三菱自動車「エクリプス クロス」)

では、2018年のSUVブームはどこへ向かうのか。ヒントのひとつは最初に紹介したマツダ「CX-8」にある。CX-8はミニバンの自社開発を止めたマツダが、それに代わる車種として送り出した3列シートSUVだ。これが発売前の約3カ月で月間販売計画台数の約6倍の予約受注台数を記録した。