BMWは新型車「X2」を日本で発売する。「X」から車名が始まるのはBMWのSUVシリーズに共通する点だが、同社は「X2」をSAC(スポーツ・アクティビティ・クーペ)と表現。40歳以下の“成功者”に最適のクルマとして訴求する。混戦の小型SUV市場に新たな選択肢の登場だ。

  • BMW「X2」

    BMWから“SAC”の新型車「X2」が登場。日本での受注受付を開始した

機械式駐車場にも収まるサイズ

BMWのSUVは「X」の後に数字がついて車名となる。世界的にSUVが流行しているが、BMWでは2017年の売り上げの3分の1が「X」シリーズだったそうだ。

「X2」の登場により、BMWのSUVラインアップは「X1」から「X6」までがそろった。「X2」の発表会に登壇したビー・エム・ダブリュー代表取締役社長のペーター・クロンシュナーブル氏によると、2018年には新型「X4」と「X7」も登場の予定。今年は「X」の年になると同氏は予言してみせた。

  • BMWのクロンシュナーブル社長
  • 香取慎吾さん
  • 「X2」の発表会に登壇したペーター・クロンシュナーブル社長(左)。BMWのブランド・フレンドに就任した香取慎吾さんも発表会に駆けつけた

X2の特徴は、その低い車高だろう。全高1,535mmは1つ下のモデルである「X1」よりも数十ミリ低い。これは一般的な機械式駐車場にも収まるボディサイズだ。「X2」は全幅こそ「X1」より5mm広い1825mmだが、全長は「X1」より80mm短い4,375mmなので、同じBMWのSUVカテゴリーで考えた場合、X2は最もコンパクトなモデルといえるのかもしれない。

  • BMW「X2」と香取慎吾さん

    香取さんは背の高い方なので分かりにくいかもしれないが、「X2」の車高はSUVにしてはかなり低い

デザインの特徴はというと、SUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)ではなくSACであるとBMWが表現するように、「X2」は横から見ると後部にかけて車高が低くなっていくクーペのシルエットを採用している。また、前から見ると一目でBMWと分かる「キドニーグリル」が末広がりになっているのも「X2」のユニークな部分だ。キドニーグリルは普通、下に行くにつれ幅が狭くなっていく。

  • BMW「X2」

    「キドニーグリル」(エンブレムの下にある左右対称の穴)も普通のBMW車とは異なるデザインだ

小型SUV市場は混戦模様、若き成功者は振り向くか

「X2」にはグレードが4つあり、価格は436万円~515万円(税込み)からとなる。さて、このクルマは誰向けの商品なのだろうか。

クロンシュナーブル社長は全ての年代、性別の顧客を歓迎するとしつつも、メインとなるターゲットは「40歳以下」(below 40)とし、「ミレニアル世代の成功者に最適なSAC」だと「X2」の出来栄えに自信を見せた。ちなみに、BMWオーナーの平均年齢は45~50歳だという。

  • BMW「X2」

    若い成功者がこのクルマに乗れば確かに格好良さそうだが…

最近は自動車メーカー各社がSUVの品ぞろえを充実させているが、特にコンパクトSUV分野では新規参入が増えているようだ。ここ最近で考えても、ジャガーからは「E-PACE」、ボルボからは「XC40」といった感じで新車発表があり、市場は混戦模様を呈している。

コンパクトSUVは大きなSUVに比べ扱いやすく、値段も安いので各ブランドの「エントリーモデル」になりうるとは思うが、それらのクルマが似たような客層に訴求しようとしているならば、それはパイを奪い合う状況を作り出しかねない。ミレニアル世代で都市に住む成功者というのが、果たして全世界にどのくらいいるのか分からないという疑問があるし、そういった成功者の中には、そもそもクルマを買うという考えを持たない人もいるだろう。プレミアムブランドから次々に登場するコンパクトSUVが、そんな若き成功者達に響くかどうかは見ものだ。