二十歳の頃、当時勤めていた会社の編集長に夜な夜な街に連れて行かれ、"全力で女を口説け"と言われた。飲み会やコンパはもちろん、路上で声をかけさせられることもしばしば。大型書店で「おい、あの哲学書コーナーにいる子に声をかけてこい」と言われたときには、思わず「勘弁してください」と言って激怒されたこともある。

  • 今回、潜入取材した街コンイベント「ニッポンクラフトビアフェスティバルinすみだ」

その編集長は「女も口説けないヤツは、クライアントも口説けない」というのがモットー。パワハラだし、セクハラだし、モラハラだし……今、訴えれば100%勝てると思う。でも、あれから10年以上たつと、あの鬼編集長はペーペーで頼りない僕を育てようと思ってやってくれていたのかなぁ……なんて、少しばかり思ったりもする。

なぜかというと、"しゃべりのスキルは確実に上達した"から。僕は、イケメンじゃない、お金がない、ガキ、文化系……女の子を口説こうにも武器がひとつもなかった。それでも目の前の女子に立ち向かわないといけない。丸腰の自分にできることはただひとつ、"しゃべる"しかなかったのだ。

  • 街コン潜入前、緊張の面持ちで川面を見つめる、後輩・おやまん

……と、ちょっと前置きが長くなったが、今の編集部には、自称・彼女いない歴10年のコミュ障な後輩がいる。この男のコミュ力を上げるには、そう、"女を口説くしかない!"。しかも今の時代、コンパやナンパよりも手っ取り早いものがある。それが"街コン"だ。ということで、今回は後輩のコミュ力を上げるべく、街コンに潜入してみた

コミュ障の後輩・おやまん

まずは、コミュ障の後輩・おやまんのプロフィールを紹介しておきたい。

  • コミュ障の後輩・おやまん

「編集部員 おやまん」
年齢:28歳
彼女いない歴:自称10年
出身:宮城県
趣味:アウトドア、音楽鑑賞
好きなタイプ:優香
身長/体重:168cm/60kg
街コンへの意気込み: 「はっきり言って女性はめちゃくちゃ好きですが、めちゃくちゃ苦手です。"街コン"なんて、想像しただけで口の中がカラッカラに乾いてしまいます。しかし、自称・体育会系な自分にとって、パイセンの命令は絶対。『パワプロ』のサクセスでは『逆境○』を狙いがちだった俺の28年分の人生をここにぶつけます」

「ちなみに今日のファッションポイントは、ともにヴィンテージの時計と靴です。女性にまず見られるのは時計と靴→『どっちもパッと見はなんかボロいけど、モノを大切にする人なのかもしれない! 一途であることを暗示している!!』という印象を与えられる→連絡先ゲット。そんなタクティカルな夢を先週見ました。これは勝った」

  • ファッションポイントの時計と靴よりも、主張が強いピザ柄のソックスにどうしても目がいく

とまぁこのように、話が長いのもモテない原因だ。

今回、潜入した街コンは「ビアコン in すみだ」という、日本各地のクラフトビールを味わいながら異性とコンパが楽しめるという、夢のようなイベント。これまで23回も実施されているロングランの"モンスター街コン"であり、毎回100名もの参加者が集う。相手にとって不足はなし。「いやぁ、あんまり女の子がいなかったからしゃべれなくて……」なんて言い訳はできない。

  • ものすごく楽し気なイベントのイメージ写真

ちなみに、先ほどからたびたび"潜入"という言葉を使っているが、僕は常にスタッフパスを身に付けて会場の写真を撮影するカメラマンに扮し、おやまんは一般客とまったく同じように参加している。"潜入"の言葉に偽りなく、手助けナシ、やらせナシで思いっきりガチで挑んでみた

いざ、街コンへ潜入!

まず、街コン参加の手順はというと、事前にネットやスマホで予約し、当日は会場に向かうだけ。会場に着いて受付を済ませれば、あとは開始の合図を待つのみ。会場のルールは、1テーブルに男女4人ずつがランダムで配置×8。各テーブルでの持ち時間は約30分で、時間経過ごとに男性のみ2つ隣のテーブルへ席替え。席替えは2回行われ、男性は計3つのテーブルを回る。そのため、少なくとも4人×3テーブル=12人の女性と強制的に会話する機会が設けられる

  • 会場に到着したら、まずは受付を済ませる

  • 続いては自己紹介カードを記入

  • ビジネスで言うならば"名刺"とも言える自己紹介カード。参加者は皆、真剣な表情で筆を動かす

開始直前の会場は、和気あいあいとした雰囲気……ではなく、場の空気は完全に凍り付いていた。同性と軽く自己紹介を交わす人はまだいい、メニュー表をひたすら見つめる人、絶対に何も探していないのにずっとカバンを漁っている人も。あきらかに気まずいムードで満ち満ちている。まさに嵐の前の静けさって感じ。

  • まだ参加者が集まっていないこともあり、かなり気まづい雰囲気の開始前。ここで仲間になり得る同性との距離を縮めておきたい

これ以降は、今回の潜入取材に全力で協力してくださった、街コンを主催するリンクバルのスタッフさん(スタッフ実況)と僕(パイセン)で、おやまんの様子を実況していく。ちなみにスタッフさん(めちゃくちゃ美人)は、これまでウン百もの街コンイベントを見守ってきた、この道のプロ。その切れ味抜群のアドバイスは、街コンや恋愛ならず"ビジネス"にも役立つものなので、注目してみてほしい

  • ビールコーナーでは、50種ものクラフトビールが飲み放題

コミュ障ぶり、遺憾なく発揮

【1stテーブル】
乾杯が終わると、和やかな雰囲気で自己紹介タイムに。その後は、序盤ということもありペアではなく、グループで会話が繰り広げられる。しかし、初参戦のおやまんは、なかなか会話に入れずにいた。

  • スタート直後の様子。おやまん、明らかに表情が引きつっている

スタッフ実況
「あぁーおやまんさん、完全にポジションをミスっていますね。ここは勇気を出して、女性の隣を確保すべきでした。あと、こうやって女性の隣をキープできなくても、テーブルの方にもう一歩踏み出して、会話の輪に入り込みたいところです。スタートは、かなり出遅れてしまった印象を受けますね」

パイセン実況
「遠目に見てもわかるぐらい、激しくテンパっていますね。完全に笑顔が引きつっています。"女子苦手感"&"コミュ障ぶり"が、早くも女性に伝わってしまっているのではないでしょうか。時間が限られている分、第一印象はキメておきたいところでした」

【おかわりタイム】
ちなみに、ビールは飲み放題。食べ物はフードチケットと交換で1品無料。それぞれテーブルを離れないとゲットできない位置にあるので、複数で参加している女性を崩すうえでこのおかわりタイムがけっこう重要なカギとなる。しかし、おやまんは、開始20分の間に3度もひとりでビールを注ぎに行くという、孤高の荒業を繰り出す

  • とにかくビールを飲みまくる、おやまん

スタッフ実況
「あ、また行った、もぅ……。おやまんさん、開始わずかにもかかわらず、もう何度もビールのおかわりに行っていますね。緊張のあまり酔っぱって、女性とのトークに支障が出ないといいのですが……」

パイセン実況
「これは居づらさのあまり、とりあえず場をやり過ごすために"飲みに徹する"という、コミュ障の常套テクニックですね。女性との飲み会における典型的なNGパターンに陥っていると言えるでしょう。ここは一度、冷静に場の空気を読むことが必要だと思われます」