仕事上で、上司やクライアントなどにSNSで連絡しなければならないこともあるかもしれない。そのようなときに、知らないと評価や取引に影響する可能性があることをご存知だろうか。忘れず意識したい注意点について解説していきたい。

  • 手軽さゆえに、SNSの文章はトラブルが満載

SNSの文面は「メール風」を意識

LINEなどでは前置き抜きでいきなり用件が送れるので、とてもスピーディに連絡ができる。しかし、そのようにいきなり用件を送っていいのは友だちのみ。上司やクライアントなどから見ると、失礼と感じられてしまい、評価や取引に影響する危険性がある。

SNSでの連絡はどうしてもカジュアルになりやすいので、意識してメール的な文面で連絡するようにしよう。たとえば「挨拶、本文、結びの文」を意識して、礼儀正しい丁寧な文章を心がけてほしい。

<文例>
×「今日の打ち合わせ、3時からでお願いします」

〇「出先なので、LINEから失礼いたします。
いつもお世話になっております。◯◯社の△△です。
本日の打ち合わせですが、3時からでお願いできますでしょうか。ぎりぎりのご連絡になってしまい申し訳ありません。
ご検討いたければ幸いです。よろしくお願いいたします。」

また、スタンプは相手によってはやはり失礼と感じられる可能性がある。基本はスタンプなしで丁寧な文章を心がけよう。上司やクライアントがスタンプを多用する人の場合は、おとなしめなスタンプなら少々使っても良い。

相手は友だちではなく仕事相手ということを忘れないこと。メールに書いているつもりでSNSの文章を書くようにすれば、問題は起きづらいはずだ。

連絡時間帯、頻度にも注意

LINEやFacebookメッセンジャーなどは、プッシュ通知にしている人が多いだろう。リアルタイムで素早い連絡が可能となるのが利点だ。

しかし、送る時間帯や頻度には気をつける必要がある。夜中や早朝などに送ると相手に迷惑をかける可能性が高いので、なるべく会社の始業から終業時間までの間に連絡するようにしたい。

また、特にLINEは送る側は気楽に送ってしまいがちなので、今送る必要があることかどうか吟味してから送るようにしてほしい。LINEで休日など業務時間外に業務命令を送り、部下が労働した場合は、労働基準法により、会社は本来その分の賃金を支払わなければならないことは忘れてはならないだろう。

緊急時は連絡がすぐに取れるのでSNSは便利だが、通常の連絡は業務時間内に収まるようにすること。また、お互いにやり取りにはSNSが一番都合良いと合意を得ている場合以外は、なるべく会社のメールを使って連絡するようにしよう。

誤爆を避けるコツ

LINEで一番心配なのは、間違った相手に間違った内容を送ってしまう「誤爆」ではないか。うっかり上司に恋人に送るメッセージを間違って送ってしまったなどの悲劇はよく耳にする。

誤爆を避けるためには、間違いたくない相手、たとえば上司やクライアントなどの背景の色を変えておくと分かりやすい。相手とのトーク画面を開き、右上の「下向き矢印」をタップし、「設定」→「背景デザイン」をタップ。「デザインを選択」で背景デザインを選べば背景が変わる。写真なども選択できるので、分かりやすいものに変えておくのがオススメだ。

高橋暁子

ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、企業などのコンサルタント、講演、セミナーなどを手がける。SNSなどのウェブサービスや、情報リテラシー教育などについて詳しい。元小学校教員。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)、『Twitter広告運用ガイド』(翔泳社)など著作多数。テレビ・新聞・雑誌・ラジオ等メディア出演多数。Twitterは@akiakatsuki。自身のブログ「高橋暁子のソーシャルメディア教室」で情報発信も行っている。