ビジネスメールなどで使うことが多い「頂く」「戴く」という言葉。両者の正しい使い方をご存知でしょうか。そこで今回は、「頂く」と「戴く」の違いや例文に加え、ひらがなの「いただく」の使い方についても調べてみました。

  • 「頂く」と「戴く」の意味と使い方とは?

■「頂く」「戴く」の意味

「頂く」を辞書で調べてみると、「頂く/戴く」というように表記されていることが多く、両者がほぼ同じ意味であることがわかります。主な意味としては、「頭の上にのせる」「もらうの謙譲語(目上の人から金品をもらうことや恩恵となるような動作を受けることを、受け手を低めていう言い方)」「食べる・飲むの謙譲語」などです。また、補助動詞として使う場合には、「動作を受ける意(ほめて-)」「動作をしてもらう意(お待ち-)」「動作についての許しを願う謙譲表現(待たせて-)」として用いられます。

■「頂く」と「戴く」の違い

両者の違いは、「頂」が常用漢字であるのに対し、「戴」は常用外漢字であるということにあります。よって、常用漢字を用いるとされている教科書や公文書などで、「戴く」が使われることはありません。ビジネスシーンにおける文書などでも、常用漢字である「頂く」を使うようにし、基本的には「戴く」は使わないようにしましょう。

では、「戴く」はどんな時に使うのか。「戴」という漢字一文字について調べてみたところ、「頭の上にのせる」「うやうやしく上にささげて持つ」という意味を持っており、即位する際に王冠を頭にのせる「戴冠」や、つつしんでいただく「奉戴」といった言葉に使われています。一方「頂」は、「物の一番高いところ」という意味を持ち、「山頂」「頂点」などの言葉に使われています。このことから、「頂く」よりも「戴く」の方がより重々しく、うやうやしいニュアンスがあるのが分かります。

よって、相手が自分よりも非常に上でかしこまるような場合には、"あえて「戴く」を使う"ことで敬意を強調するという使い方が好ましいと考えられます。とは言え、「戴く」は常用外漢字ですから、あくまでも個人的なメールやお礼状などでの使用にとどめた方が良いでしょう。

ひらがな表記の「いただく」

「頂く」「戴く」の意味には、補助動詞としての役割も記載されていましたが、具体的な例文をあげると、「先輩に仕事を教えていただいた」「ご足労いただきまして」となります。この例文を見て「いただく」がひらがな表記になっていることにお気づきでしょうか。内閣告示の「常用漢字表」では、「いただく」の使い方について以下のとおり示されています。

  • 頂く 「物をもらう」という意味で用いるとき
  • いただく 「~していただく」のような用法のとき

このように、補助動詞の場合には「ひらがな」で表記するのが好ましいとされていますので、覚えておきましょう。

ひらがな表記の「いただく」には、もうひとつの使い方があります。補助動詞に限らず、文章の中で漢字ばかりが並んでしまう場合や、文章が硬くなるのを避けたい場合には、このひらがな表記の「いただく」をあえて用いると良いでしょう。文章を見やすくしたり、柔らかいイメージにすることができますので、状況にあわせて使い分けましょう。

■「頂く」「戴く」「いただく」の例文

頂く

  • 「先輩からお土産を頂いた」
  • 「課長に夕食をご馳走して頂いた」

戴く(ありがたく受けるイメージ)

  • 「社長賞を戴き、光栄に存じます」
  • 「著名人からサインを戴きました」

いただく(補助動詞)

  • 「総会に出席いただきまして、誠にありがとうございます」
  • 「お褒めの言葉をいただき、大変うれしく思います」

今回は、「頂く」「戴く」の使い方に加え、ひらがな表記の「いただく」についてもご紹介しました。相手との関係性や状況に合わせて、上手に使い分けるようにしましょう。