日本語には、同じ発音でありながら別の意味を持つ"同音異義語"というものが多数存在します。いざ漢字に変換しようとする際に、迷う人も多いのではないだろうか。そこで今回は、「表記」と「標記」という同音異義語についてご紹介したいと思います。

  • 「表記」と「標記」の違いは?

■「表記」と「標記」の意味

「表記」の意味を調べてみると、「おもてに書き記すこと。また、その文字。おもて書き」「文字や記号で書き表すこと」とあります。

一方「標記」は、「目印としてしるすこと。また、その目印」「標題として書くこと。また、その題」と記載されています。

■「表記」と「標記」の違い

それぞれの意味を改めて見てみると、「表記」はおもて書きのことですから、はがきや封筒に宛て名などを書くことや、おもて書きの文字そのものを指します。また、「英語表記」「ローマ字表記」など文字や記号で書き表すことも「表記」と言います。

「標記」の方は、「標題」という言葉が記載されていることがポイントです。メールや文書を作成する際、必ず「件名」や「タイトル」を付けると思いますが、その件名やタイトルのことを「標題」と言います。

つまり、「表記」はおもて書き、「標記」は標題(件名やタイトル)ということになります。

■「表記」と「標記」の使い方と例文

表記

  • 「名前はカタカナ表記でお願いします」
  • 「明日必着で、表記の住所に郵送願います」

標記

  • 「では、標記の議題について討議したいと思います」
  • 「標記の件ですが、会場の都合により金曜日に変更致します」

ここで、「標記の件」という表現に注目してみましょう。例えば、ビジネスメールなどの件名に「新作メニュー試食会の日程変更の件」と書いてあるとします。続けて本文でも、「新作メニュー試食会の日程変更の件ですが、会場の都合により……」と書かれていたとするとどうでしょうか。忙しい中で目を通す場合には、文章が重複しているとイラッとしてしまう人も多いのでは? とりわけ簡潔さが求められるビジネスメールには、ふさわしくない表現と言えるでしょう。

そこで、「標記の件」の出番です。文中で件名に書いたことを再度書き記す代わりに「標記の件ですが、会場の都合により……」とすることで、簡潔かつスムーズに本題に入ることが出来ます。便利な表現なので、覚えておくと良いでしょう。


今回は、「表記」と「標記」の違いについてお話ししました。同音異義語は、使い方があやふやになりがちですが、漢字一つひとつが持つ意味を正しく理解していれば間違えることはありません。しかしながら、パソコンやスマホの普及で文字を書かなくなり、英語やカタカナのビジネス用語が多用されるようになった近年、私たち日本人は、日本語にうとくなっているように感じられます。外国語の習得も重要なスキルですが、日本人として、まずは正しい日本語の使い方を身に付けておきたいものですね。