業務効率化のため、クラウド名刺管理サービスのSansanを利用する人が増えている。便利な機能により、生産性の向上を実感した人も少なくないのではないだろうか。そんなSansanが、また新たな機能を追加する。AIがオススメの人材を提案する「スマートレコメンデーション」など、ビジネスパーソン注目の内容となっているようだ。

  • Sansanは16日、2020年に向けた新しい働き方を紹介する法人向けイベント「Sansan Innovation Project 働き方2020」において5つの新サービスを発表した

7,000社がサービスを導入

Sansan 取締役の富岡圭氏、およびSansan事業部の藤倉成太氏が説明した。個人向けには「Eight」を、法人向けには「Sansan」提供する同社。名刺がとりもつ人の縁により「営業のチャンスを拡げ」「社員の生産性を向上させ」「組織のコミュニケーションを進化させる」サービスの実現を目指している。富岡氏によれば現在、スタートアップから大手企業まで、業界業種を問わず7,000社が同社のサービスを導入しているという。

  • Sansan 取締役 Sansan事業部長の富岡圭氏(左)と、同事業部 プロダクト開発部 部長の藤倉成太氏(右)

AIが人を紹介してくれる!?

新機能のうち最もユニークなのが、ビジネスパーソンとの出会いをAIが取り持つ「スマートレコメンデーション」だろう。同機能は、ユーザーの名刺交換のトレンドを地域・業種・交換先部署といった項目から分析し、次に会うべき人を自動選出するもの。企業内の誰かが、過去にその相手と名刺交換していることが必須条件となる。SansanのテレビCMでは、俳優の岩松了さんが「それさ、もっと早く言ってよ」と嘆くシーンがあるが、スマートレコメンデーションなら、そういった事態は避けられそうだ。

  • ビジネスパーソンとの出会いをAIが取り持つ「スマートレコメンデーション」機能。なおAIが傾向を学習することで、より会いたい人をレコメンドできるようになるという

便利な機能がたくさん

このほかの機能についても、簡単に紹介していこう。「メッセージ」はSansanを導入した企業内で、その名刺情報を介した社員同士のメッセージチャットが可能になるもの。藤倉氏は「これまでなら、ファイルの束から紙の名刺を取り出し、同僚に見せながら会話をするか、内線電話やメールを使っていた。それがSansanだけで完結する」とアピールする。

  • 名刺情報を介して社員同士のメッセージチャットが可能になる「メッセージ」

大量の名刺を一括で取り込むには、これまでスキャナーを利用するしかなかった。しかし「一括取り込み / 即時データ化」により、スマートフォンアプリ版でも一度で複数の名刺を取り込めるようになった。藤倉氏は「スキャナのない出張先などで役立ててもらえば」と説明する。

  • スマートフォンアプリ版も、一度で複数の名刺の取り込める「一括取り込み / 即時データ化」に対応した

「Sansan Customer Intelligence」は、統合できていない顧客データを統合するカスタマープラットフォーム。企業内のデータは、ときに情報の重複があったり、不完全だったりする。それらをSansanの名寄せの技術により整理・統合するという。

  • 統合できていない顧客データを統合する「Sansan Customer Intelligence」

ベータ版を体験できる!

Sansanでは、今後も便利で使いやすい機能を出し続けていきたい考えだ。そのアイデアの源となるのが「Sansan Labs」。ここでは、正式版に至らないベータ版をいち早く試すことができる。富岡氏は「新しいプロジェクトの中から、ベータ版として提供可能な機能を利用できる。実験的な取り組みもあるが、ここでいま20以上の新しいプロジェクトが生まれている。働き方の新しい可能性を体感してもらえたら」と説明する。なお、いま利用できるベータ版には「人を知り他人を知り企業を知る」「企業間距離の変遷」「バーチャル組織図」「社内キーパーソンを探せ」がある。

  • 「Sansan Labs」では、ベータ版のサービスをいち早く試すことができる

Sansanでは、名刺のデータ化を専門とするDSOC(Data Strategy & Operation Center)と呼ばれる部門がある。ここでは、年間数億にのぼる名刺の情報を正確にデータ変換しているという。また、専門的な研究を行うR&Dチームでは画像処理・機械学習を研究・開発している。新機能の「スマートレコメンデーション」は、そうしたチームとの連携により生まれたものだという。

富岡氏は「企業には、名刺を交換したのに活かされていない、というケースがまだまだ存在する。Sansanでは、出会いの価値を最大化するプラットフォームを目指している。ビジネスにおける人脈を通じて、これからも働き方改革を後押ししていきたい」と意気込んでいた。