JR東日本は列車運転規制の対象となる突風検知にドップラーレーダーを用いる新技術の実用化に成功し、12月19日から稼働させると発表した。

  • 特急「いなほ」

ドップラーレーダーは、雨などの細かい粒子からの反射波を用い、上空の風を観測する装置。観測できるのはレーダーに近づく風と遠ざかる風のみだが、この2つが隣り合うペアとして観測された場合はそこに渦が発生していることがわかる。

JR東日本は2005年12月に発生した羽越本線砂越~北余目間での列車事故の対策として、2007年、余目駅にドップラーレーダーを設置し、突風探知についての研究開発を進めてきた。2016年11月には、余目駅のレーダーに代わる、より高性能なレーダーを酒田市内に設置。1年余りをかけて実用化に至った。

稼働後は、ドップラーレーダーで渦(突風)が線路に近づくと予想される場合に指令員が無線で運転士に列車の運転中止を指示。強い積乱雲から間接的に突風をとらえる従来の手法と異なり、直接渦を探知するため、さらなる安全性の向上が図れるという。ドップラーレーダーで渦を探知し、列車運転規制を実施するのは世界初となる。

ドップラーレーダーの観測可能範囲は半径60kmに及ぶが、今回このレーダーを用いた列車運転規制の実施範囲となるのは、このうち半径約30kmの範囲にある羽越本線五十川~女鹿間、陸羽西線余目~清川間にとどまる。今後は観測可能範囲内でのデータを蓄積するとともに、列車運転規制エリア拡大の可否についても検討していくという。