アース製薬はこのほど、蚊の繁殖が活発な時期に「蚊」から身を守る正しい知識と刺される前にできる対処法について明らかにした。

蚊の生態

近年、蚊を媒介としたデング熱やジカ熱の感染が世界で拡大している。蚊にさされたことが原因で命を落としたり、おなかの赤ちゃんに障害が残ったりする可能性のある病気として認知されるようになってきている。

蚊は気温が高くなってくると気になり始めることが多いが、繁殖が活発になるのは、5月頃からであるという。卵は梅雨時期にできる水たまりや下水付近などに産み付けられ、1.5日程度で「ボウフラ」と呼ばれる幼虫になる。

ボウフラは少量の水のみで成長し、7~10日で「オニボウフラ」と呼ばれるサナギになり、その後2~3日で成虫となる。蚊の平均寿命は成虫になってからおよそ2週間と言われているが、その間に4回産卵すると考えられているとのこと。1回に産卵する卵の数は約100~200個なので、少量の水分さえあれば、短期間で爆発的に繁殖する可能性がある。

成虫となった蚊は、その種類によって生態は異なるが、全体的に直射日光を嫌い、長距離の飛行は苦手であるとのこと。日中の気温が高い時間は餌となる花の蜜や、水の多い植え込みや木陰などに隠れている。人間が近づいてきたときに狙いを定めて飛び移ったり、服に付いたりして移動して血を吸うタイミングを見計らう性質を持っているという。

蚊は人間の発する二酸化炭素や体臭、温度を感知して近寄ってくる。人間の体臭や温度を感知する蚊の感覚器を麻痺させる成分が「ディート」と呼ばれる成分。それを人間が塗ると、蚊は人間が近くにいることを認識できなくなるという。世界中で発売されている虫除け剤のおよそ9割には、ディートが含まれているとのこと。

人間の肌に塗布し、蚊にさされなくする有効成分は「ディート」と「イカリジン」の2種類しかないという。一方、天然ハーブやアロマ由来など天然成分を使った虫よけスプレーも多くあるが、それらの虫よけは虫の嫌いな香りをまとっているだけで、人間の肌に直接使用するものでなく、蚊を忌避するとは言えないという。

同社によると、「商品パッケージに利用制限や注意事項が大きく明記されているからディートは危険な成分なのでは」という意見もあるという。しかし、使用制限・注意事項の記載は消費者庁の規定が要因で、実際に日本国内でディートが原因で体調に悪影響があったという事例はないとのこと。

「ディートは蚊に対する効果はもちろん、肌に塗った場合の安全性も審査され厚生労働省から認可を受けている成分です」と同社。成分の特徴と注意点を理解し、利用シーンや対象者ごとに商品を選択することが大切であるという。

同社で虫よけ剤を担当するブランドマーケティング部の係長・中辻雄司さんによると、虫刺され対策としては、夏場は汗で虫よけ剤が肌に残りにくくなるため、「虫よけ剤はこまめに塗り直す」ことが大切とのこと。女性は、メイクと日焼け止めを塗り終わったあとに、まんべんなく虫よけ剤を振りかけるとよいという。

また、特にスプレータイプはムラになりやすいため、スプレー後に手で塗り広げることが大切とのこと。顔周りや首元は塗るのを忘れがちな部分だが、足や腕と比べると温度が高く、蚊が感知する人間のニオイが強く出ている箇所であるため、しっかり塗ったほうがよいとのこと。

蚊に刺されやすい人は、「体温が高い」「二酸化炭素を多く発している(お酒を飲んでいる)」「汗のニオイが強い」「黒っぽい服装を好む」という傾向があるという。そのため、虫よけ剤を使うほかにも、こまめに汗を拭いたり、明るい系統の服を選んだりするなどの工夫で、より蚊を遠ざけることができるという。

なお同社では、自身がどのくらい蚊にさされやすいかを点数とコメントで評価するコンテンツ「蚊に刺され指数」を『この星と★楽しもう。プロジェクトスペシャルサイト』で公開している。体質指数、体調指数、蚊活動指数についての16個の質問に回答するだけで、蚊の刺されやすさがわかるという。