JALは4月3日、羽田空港格納庫にて2017年度入社式を実施した。JALが経営破たん後に初めて自ら計画したJALグループ中期経営計画の節目を終え、新たなJALが始まる今年、JALグループ36社約1,672人の新入社員は、「JALグループを選んだことを決して後悔させません」という植木義晴代表取締役社長からの激励で迎えられた。

1,672人一人ひとりの夢がJALの夢につながる

JALがこれから目指す"新しい成長"の意味

JALは2010年1月に会社更生法適用を申請し、その約2年半後となる2012年9月、東京証券取引所に再上場を果たした。2012年に発表したJALグループ中期経営計画は、株主や世間一般に対する"新生JALの初めてのお約束"と植木社長は話す。

計画を完遂した今、植木社長は「5年間、素晴らしい業績を残して末日を迎えました。そして、この計画を完走し、全員でゴールテープを切ることができました。今こそ、新しい成長に向かって歩みだす時が来ました」と述べ、その"成長"の真意について新入社員に語りかけた。

植木義晴代表取締役社長

「ただ、成長というものをみなさんに誤解してもらいたくはありません。一般的に成長と言うと、規模や売上高を競うようなものと思われていますが、われわれが目指すものはあくまでも企業理念の達成であり、世界で一番に選ばれ、愛される航空会社になることです。選ばれ、愛されるためには、みなさまにとって価値のある会社でなければなりません。その、社会的価値をともなう会社、これこそがわれわれが目指す成長であることを、みなさんの肝に銘じていただきたい。

入社した時でないと気付けないものがあります。それを必ず、声に出してもらいたい。われわれはそのみなさんの声に耳を傾けることをお約束します。今、みなさんがもっているうぶな心、旺盛な好奇心、そして、燃えたぎるような情熱。これが、JALグループにとって一番大切なものです。そのためにも、みなさん一人ひとりがもつ個性、夢を忘れず、そして、いつまでも今日のきらきらとした目の輝きを絶やさないでいただきたい。私はその夢の達成のために、必ず先頭に立つことを約束します。私が後ろを振り向いた時に、みなさんが後ろについてきてくれていることを信じています。

最後に、みなさんがJALグループを選んだことを決して後悔させません。なぜなら、私の後ろには夢を共有する多くの社員が多くの社員がついてきてくれているからです。今のJALグループの一番の財産は社員そのものだと思っています」。

全社員からの想いを紙ヒコーキで伝える

植木社長の挨拶に続き、新入社員を代表して、JAL 業務企画職の松本誠也氏が登壇。「JALグループが破たんしてからこれまでの間、先輩方のたゆまぬ努力により、一から築き上げてきた信頼や実績は多大なものです。私たち新入社員は、与えられた環境を当たり前と思わず、常に支えてくださった方々やお客さまへの感謝の気持ちを忘れず、社会に貢献していく義務があります。一人ひとりがJALという気持ちを一日たりとも忘れることなく、全社員一丸となり、謙虚に、素直な心で、地道な努力を積み重ねていきます」と、宣誓の言葉を述べた。

JAL 業務企画職の松本誠也氏が新入社員を代表して宣誓

入社式では、1,672人の新入社員に植木社長や役員も一緒になり、鶴丸を描いた人文字コレオグラフィーを展開。これは、JALグループ全員が一丸となること、また、一人ひとりの絆を具体化させたものとのこと。また、JAL入社式の恒例となっている折り紙ヒコーキには、今年も全国のJALスタッフが新入社員に向けたメッセージが添えられていた。この紙ヒコーキは、「明日の空へ」「TAKE OFF」という掛け声とともに、一斉に空へと羽ばたいた。

1,672人の新入社員に植木社長や役員も一緒となり、鶴丸を描いた人文字コレオグラフィーを展開

全員で折り紙ヒコーキを飛ばす

「3万人いれば3万人の破たんがあった」

植木社長にとって、今回は6回目の入社式であり、「本当にきてくれるだけでうれしくて、初めての時は声が詰まってしまったことをよく覚えています。その気持ちはこれからも忘れないでいきたい」とコメント。2016年度までのJALグループ中期経営計画を振り返り、「みんな自信がついたと思う。今度は新しい成長に向かって一丸となっていきたい」と、新しいJALについて想いを語った。

新しい成長に向け、新入社員の力に期待している

JALは現在、役員や部長等300人規模で構成された、破たんを語り継ぐ会議というもの設けているが、今後、この会の中に新入社員を加えていくという。「3万人いれば3万人の破たんがあった。それを正直に話し、感じてもらうということは、これからもやっていく。それとは別に、新しく入社した人は、入社した時の無垢な心の中にJALフィロソフィーが浸透していく。そのため、素直にJALフィロソフィーを実践できる人たちなのではと思っており、ある意味、その前からいた社員以上に、新入社員に期待をしている」と述べた。

新入社員とともに

入社式の後は、それぞれの会社が辞令式を実施。これからの想いを込めたものか、格納庫に響き渡るほどの声を上げるグループも見受けられ、いつもとはまた違う活気が格納庫に満ちていた。入社式の夕方には、新入社員と植木社長をはじめ、各グループ会社社長も交えての大人数の懇親会が行われる。「40程度のグループに分かれて座るようになると思うんですが、私は必ず全席に行って全員と話をするようにしています」と語る、植木社長のうれしそうな顔が印象的だった。

人文字の色紙と紙ヒコーキはそのまま一人ひとりにプレゼントされた