声優ユニット・StylipSの一員として活動するほか、声優、アーティスト、ラジオパーソナリティ、舞台をはじめ、モーションアクターや振り付けなど、幅広いシーンで活躍する"のっち"こと能登有沙が、2017年2月14日(火)に、ミニアルバム『Dynamis World』(デュナミスワールド)をリリースした。

能登有沙『Dynamis World』のジャケットイメージ

新しい能登有沙の"可能性"を示す最新作としてリリースされる本作は、サウンドプロデュースを有木竜郎氏が一手に手掛ける一方、同じく2月14日にミニアルバム『いじっぱりマーメイド』をリリースする実力派シンガソングライター・SAWAとのコラボを実現している。

前回紹介したSAWAとの対談に引き続き、今回は、能登有沙と松野プロデューサーの2人に、『Dynamis World』の魅力について語ってもらった。

能登有沙、ミニアルバム『Dynamis World』を2/14リリース

――2月14日にミニアルバム『Dynamis World』が発売されます

能登有沙

能登有沙「今回のアルバムは、松野さんのプロデュースで、有木(竜郎)さんがサウンドプロデュースをしてくれたのですが、そこに私が、パーソナリティを持ちつつも乗っかっていく感じになっていて、これまでに出した能登のミニアルバムとはちょっと違う感じになっています」

――「おやすみ星」から始まった今回の音楽プロジェクトにおける、ひとつの集大成という感じですね

松野プロデューサー「『おやすみ星』から始まって、その後の方向性では少し悩むところもあったのですが、アーティスティックな感じを出しつつも、声優というカテゴリからはブレない範囲でできたのではないかと思っています」

――タイトルの『Dynamis World』はどういった意味合いでしょうか?

能登「タイトルは松野さんがつけてくれました」

松野P「"Dynamis"というのは、アリストテレスという哲学者がつけた"可能態"みたいな意味の言葉で、"種"と"花"だったら"種"みたいな、名前が変わって次のものに進化する……そんな意味のある言葉なのですが、能登さんが音楽的に成長していくことで、能登有沙なんだけど今までの能登有沙とは違うものになる……そんな世界観、成長の過程を描くのにふさわしい言葉だと思いました。あえて哲学の言葉を使うことで、ちゃんと意味があってつけた言葉であること、適当につけたのではなく、ちゃんと考えてつけたタイトルであることを、なんとなくでも感じてもらえればいいなと思いました」

――能登さんの成長の過程を描くアルバムということですね

能登「実は、『pieces』の歌詞が出来上がったころ、本当にこれでいいのだろうか? という悩みが発生しまして……」

――それは方向性的なものでしょうか?

能登「そうですね。いろいろな事をやらせていただいている中、特に音楽面に関しては、ここ半年くらいで大きく変わってしまったため、ちょっとついていけない感じで、少し不安になっていたんですよ。そんなときに『pieces』の歌詞を読んだとき、当時の私の気持ちとすごくシンクロして、思わず泣いてしまいました。『想像していたものとちがうリアルがある』という歌詞が、特に自分の中に響いて……。すごく頑張っているのに、結果に全然繋がらないというのは、誰にでもあることじゃないですか。ちょうどその頃の私にもそれがあったのですが、そこで泣いたことによって、人の話が素直に聞けるようになりました」

――迷うことがなくなった?

能登「たとえば松野さんに何か言われても、能登有沙はこうでなくちゃいけない、みたいな頑なな気持ちが自分の中にあって、素直に聞くことができなかったのですが、一度すべてを松野さんに預けて、その中で泳いでみるのもいいんじゃないかって思えるようになりました。そこからスタートしたアルバム作りだったので、少し気が楽になり、新鮮な気持ちで、作業を進めることができました」

――そんな「pieces」は歌ってみていかがでしたか?

能登「スッキリした気持ちで、青空の下、伸び伸びと歌えたような気がしました。『pieces』では、ミュージックビデオも撮っているのですが、キービジュアルを描いていただいたTOKIYA先生のマンガとコラボになっていて、すごく面白いものになっています」

――ミュージックビデオの撮影はいかがでしたか?

能登「今回、spoon+のあこちゅあさんに監督をしていただいたのですが、あこさんのアイデアで、黒髪で前髪パッツンにして、衣装も今までに着たことがない感じになっています。今回のミュージックビデオは、最初が白黒で、曲の最後の方でドンドン色が足されていくのですが、撮影の際、4回くらいに分けて、服に着色していったのも新鮮な感じでした」

松野P「今回のミュージックビデオでは、事前にマンガの部分だけを切り出し、『pieces of pieces』というタイトルで、Twitterに公開しました。15秒ずつくらいに分けると、歌詞の細かいところや絵の細かいところにも気づいてもらえますし。ただ、MVがカラーになる手前までしか公開しておらず、『未来を変えたいけどどうするか? それはアナタ次第ですよ』みたいな感じで終わっています。未来に向かって成長していきながらも、途中で壁にぶつかる。そこを越えてさらに成長してもまた壁がある。その繰り返し、ループ感をまず見せたくて公開したのが『pieces of pieces』なんです。ミュージックビデオでは、さらにその先のハッピーエンドに向かうのですが、そこから映像もカラーになっていますので、ぜひそのあたりにも注目してほしいですね」