――2曲目に収録されている「おやすみ星(2017ver.)」は、「おやすみ星」のアレンジ違いですか?

能登「アレンジも少しいじっていますが、歌も再録になっています」

松野P「逆に、歌が成長した分にあわせて、アレンジも少し変えたという感じです」

――あらためて歌った「おやすみ星」はいかがでしたか?

能登「『おやすみ星』は、松野さんと一緒に作った最初の曲なので、それまでの能登で歌った部分が大きかったのですが、今回は成長した『おやすみ星』なので、声の感じも歌い方もまったく違っていて、私自身もビックリしています」

――以前の「おやすみ星」と聴き比べてほしいですか? それとも以前のものは封印したいですか?

能登「ぜひ聴き比べて、褒めてほしいです! 褒められることがあまりないので(笑)」

――それは続く「ほしのわ(album ver.)」も同じですか?

能登「こちらはアレンジも大きく変わっていて、ちょっと豪華な、オーケストラっぽい感じになっています。『ほしのわ』の場合、最初のレコーディングからそれほど時間が経っているわけではないのですが、それでもやはり歌が全然違っています。なので、こちらも聴き比べて、能登の成長を感じていただきたいです」

――短い期間で成長できた要因は何だと思いますか?

能登「超リアルなことを言いますと、『ほしのわ』は、リリイベを10回くらいやっているのですが、その1回1回が試験みたいな感じだったんですよ。毎回毎回ダメ出しされて(笑)。本当にトライアンドエラーの繰り返しだったので、それが成長に繋がったんだと思います」

松野P「今回の『ほしのわ』は本当に良くなっています。単純に声ひとつとっても、ニュアンスが前よりも柔らかい印象になっています。曲のアレンジも、前回よりもさらにポップにふっているのですが、そのアレンジと能登さんの成長が相まって、より違う見せ方ができるようになったと思います」

――そして、さらなる成長の可能性も秘めているという感じでしょうか?

松野P「実は4月29日にワンマンライブをやる予定なのですが、そのタイトルが『NEXT WORLD』という名前になっているので、そこでもまた"新しい世界"がお見せできるのではないかと思っています」

能登「もっと成長しなければいけないんです(笑)」

――「greed city」も新録になっているわけですね

能登「『greed city』くらいから、いわゆる"松野式"がはじまったのですが、そのときは何もわからず、ただ言われたとおりに歌っただけでした。だから、今あらためて聴いてみると、100%のチカラで大太鼓を叩き続けている感じなんですよ。でも、新しく録ったものは、世界観などを考える余裕もあって、かなり良い感じに仕上がっています」

松野P「たぶんこの曲が一番、劇的に違っていると思います」

能登「なので、この曲に関しては、以前のものはそっとしまっておいてほしいかな(笑)」

――「melody」は新曲ですね

能登「『melody』はsaiさんに作詞・作曲していただいた、超バラードのしっとりとした曲です。これまでに歌ったことがない曲だったので、どうやって歌えばいいのかわからず、レコーディングの前日、松野さんに電話しました。『正解がわかりません』って(笑)。このままだとレコーディングに行けないって相談したら、『やっていることはずっと同じだから、そのとおりにやればいいよ』ってアドバイスをいただいたんですけど、そう言われたとき、どうすれば正解ですかと聞いている時点で、私は何かを演じようとしていたんだって気づいたんですよ。能登有沙ではなく、『melody』を歌う人を演じようとしていたんだなって」

松野P「もちろん、その時その時で、何らかの正解はあると思うんですよ。でもそれで終わりじゃない。その正解に到達したら、また次の正解が現れる。そうやって、成長していくんだと思っています」

能登「そうして、しっとりとした超バラードを、誕生日(12月26日)の夜にレコーディングしました(笑)」

――「uscita (ウシータ)」も、これまであまり歌ったことがないタイプの歌ですよね

松野P「『uscita』は、イタリア語で『出口』という意味なんですけど、一応、アルバムの流れも物語にしていて、『greed city』は元気な曲で、勢いはあるけど、ニュアンス的にはちょっと迷い始めている感じ。そして、バラードでちょっとマイナー系の『melody』があって、そこからジャジーで、マイナーチックな『uscita』が来ることで、その迷いの中にも"出口"は存在する。アルバムのラストに向けての糸口を見つけていく……そんな曲になっています」

能登「『uscita』は本当に難しい曲なんですよ。三拍子で、ポップスじゃない……みたいな。ただ、詳しいことがわからないがゆえに、曲を聴いて感じたままを歌にしました。ちょっとファンタジックな曲で、間奏ぐらいからはRPGのボス戦に突入するみたいな感じなんですよ。そこのコーラスは、レコーディング当日に有木さんに作っていただいたんですけど、5声とか6声で録っています。そこまでのコーラスは、これまでに録ったことがなかったので、単純に面白かったし、実際に聴いてみても、全然変な感じじゃなかった。素直に入ってくる感じなので、"大人のっち"が垣間見えるのではないかと思います。もうそこそこ大人なんですけどね(笑)」

――「uscita」は、聴けば聴くほど良さが見えてくる曲じゃないでしょうか?

松野P「僕もそう思います。今回のアルバムを作る際、『uscita』は、有木君から最初に上がってきた曲だったのですが、これでアルバムの方向性が決まったと思いました。これはアルバムだからこそ入れられる曲だと思っています」