――そして「interlude ~帰還~」へと繋がります

松野P「"迷いの出口"から、この曲で何かを見つけて、続く『プライマル』でハッピーエンドを迎えるという流れになっています。短い曲なんですけど、すごく大事な曲で、言葉は入っていないんですけど、入ってないことに意味があるみたいな。超大事なことって、なかなか言葉にできないし、言葉にできるんだったらわざわざ音楽でやる必要がない。その大事なことを表現するために、何度も作り直しをしました」

能登「私は"うー"と"あー"と"はー"しか言ってないんですけど(笑)、本当にこれでいいのかなって思いつつも、レコーディングはとてもスムーズに終わりました。これも『melody』と同じく、誕生日の夜のレコーディングでした」

――誕生日ということは、100曲ライブのすぐ後になると思いますが、喉の調子は大丈夫だったのですか?

能登「レコーディングが決まっていたので、100曲ライブが終わってからは全然喋らずに、喉の調子を戻しました(笑)」

松野P「100曲ライブを乗り越えたことで、すごく良くなっていて、レコーディングもスルッと終わりました。逆に、これ以上のテイクを出してしまうと、先に録った曲との差が出来すぎると思ったくらい(笑)」

――そして、「プライマル」でハッピーエンドになるわけですね

能登「『プライマル』はすごく歌いやすい曲で、防具0の状態で突き進んでいくみたいな感じ。ふんどし一丁で行ってやる! みたいな(笑)。もちろんそんな歌詞の曲じゃないんですけど、そんなイメージで歌っています。そういう意味では、より能登有沙らしさも出ている曲で、ちょっと頑張っている自分、気持ちいい! みたいな部分もあったりします。以前出した曲の中に、自分で作詞した『NEXT STAGE』という曲があって、ファンのみんなありがとう、これから次のステップにいくからねって歌なんですけど、『プライマル』はその曲と近いポジションの大事な曲になるんじゃないかと思っています」

――今回のレコーディングを総括すると?

能登「音楽と向き合い、松野さんと向き合ってやっている分、ものすごくカロリー消費が激しくて、2曲録りの日は、途中でお昼寝させてもらったり(笑)。ハモも現場で作ってもらったりして、かなり密度の濃いレコーディングだったんですけど、あまり苦戦したというイメージはないです」

――「uscita」はかなり大変だったというお話でしたが

能登「難しかったです。難しかったんですけど、レコーディング自体はスルッとできた感じです」

松野P「『usita』はコーラスがすごく多いので、その分だけ、物理的に時間は掛かりましたけどね(笑)」

能登「やはりいちばん大変だったのは『pieces』かも」

松野P「録る順番が早かったこともありますし、一応メイン曲になるので、最初に設定したハードルが高かったんですよ。絶対にここは越えろ! みたいな。一度越えてしまうと、後は楽なんですけど」

能登「ちょっと悔しい気持ちが歌詞に入っているんですけど、それを意識したら、全部が全部、悔しいみたいな気持ちになってしまい、最初は『聴いていて辛い』みたいに言われました(笑)。saiさんの歌詞って、人間の触られたくない部分をすごく刺してくるんですよ。それが響くというか、歌っていても辛くなってきちゃって。最初に歌詞を読んで泣いたという話をしましたが、そこからはもうスポンジ状態で、良いことも悪いことも全部吸い取っちゃう感じでした」

――それがさらなる成長にも繋がったわけですね

能登「実際、レコーディングの期間はだいたい1カ月くらいだったんですけど、その期間も少しずつ成長できたのではないかと、自分でも感じています。だから、ここを終着点にせず、さらなる先に進めるように、頑張っていきたいと思っています」

――『Dynamis World』がさらなる成長を加速させるきっかけになった感じでしょうか

能登「どんな曲を歌っても、私が歌う以上、能登有沙というパーソナリティは絶対に出てしまうと思うのですが、だからといって、今までののっちを演じる必要ないと思っています。今回のレコーディングは、本当に音と遊んでいる感じだったんですよ。もちろん、最低限の決まりはありますが、ちょっと遊んでいるくらいのほうが、聞こえがいいというか、耳馴染みがいいというか。やはり、ちょっと大変だと思うことでも、それを楽しみに変えていけるような活動をしていきたいですし、そのほうが一歩成長できるのではないかと思いました」

――『Dynamis World』で始まる2017年はドコに向かって行きますか?

能登「2017年の目標が『燃焼』なんですよ。物事に向き合って、さらに深いところで、ひとつひとつを燃やしていくみたいな感じ。何か"火種"のようなものを仕込んでいく感じ、それが年末ごろに大きな火になっていたらいいなと思っています。せっかく成長させていただける環境がもらえているので、これを良い感じで続けていけたらなと思います」

――具体的には何かありますか?

能登「今は、いろいろなレッスンに通ってみたいと思っています。歌はもちろん、演技やダンスのレッスンにも通ってみたい。実際、去年くらいからぼちぼち通っていたりもします。特に音楽面に限ると、オタクの方だけじゃなく、万人が聴いても気持ちがいい感じの音楽をやってみたい。うちの母親が『ほしのわ』が好きで、お婆ちゃんも気に入ってくれているんですけど、ふだんあまり音楽を聴かない人にも響くような曲が歌えるといいなって思っています」

――4月にはワンマンライブが決まっています

能登「4月のワンマンは生バンドでやるのですが、それがすごく楽しみで。生バンドでのライブは、今までも経験はあるのですが、あくまでも歌う自分がいて、演奏するバンドの方がいるという感じだったのに対し、4月のワンマンはみんなで高めあっていくというカタチになると思います。私よりも音楽をやっていらっしゃる方ばかりなので、吸収することばかりになりそうですけど(笑)。まだ細かいことは決まっていないのですが、いろいろなことが吸収できそうで、今からワクワクしています」

――それでは最後にファンの方へのメッセージをお願いします

能登「『Dynamis World』は、その名の通り、私自身も見えていなかった"可能性"がいっぱい詰まった、ある意味、素っ裸の能登有沙が全部出ているアルバムになっていますので、ぜひたくさんの方に聴いていただきたいと思っています。インストアイベントでは、いろいろな地域を回ります。いろいろな地域の方とお喋りをしたいので、ぜひ遊びに来てください。あと、ミュージックビデオでは、珍しい黒髪ののっちが見られますので、こちらもお楽しみに! よろしくお願いします」

――ありがとうございました

能登有沙『Dynamis World』は、2017年2月14日(火)発売。リリースイベントなどの詳細は「Dynamis World」特設サイトにて。