現在、NHK BSプレミアムで放映中のドラマ『プリンセスメゾン』(毎週火曜11時15分~)は、居酒屋でアルバイトをしている20代独身女性がマンションを買うという、人気マンガを実写化した作品です。

では、実際に独身女性がマンションを購入する上で参考になる部分とは何でしょうか? ポイントを解説しましょう。

「マンションを買う」は手の届かない夢じゃない!

マンガ・ドラマ「プリンセスメゾン」の主人公、沼越幸(ドラマ版配役:森川葵さん)は26歳・独身女性。アパートで質素に暮らしながら、自分が住むための「マンション」を購入しようと計画しています。

作品の中では、幸を中心に不動産会社の営業社員や受付の女性などの人間模様が描かれていて、特に働いている女性には、胸に響くセリフがたくさん出てきます。加えて、マンガ・ドラマともに、丁寧に取材されて制作されているため、実際にマンションを買う上で、参考になるポイントも多いのです。今回は、そんなポイントをいくつかまとめてみましょう。

【ポイント1】マンション購入は、現実の手の届く目標だ

マンション購入を目指し、コツコツと仕事をして貯蓄に励む幸。そんな姿を見て、アルバイト仲間は、「マンション購入なんて、ムリに決まっている」と幸に向かって言うシーンがあります(ドラマ第1話「わたしのいえ」)。

ですが、ふだんは口数も少なく、とらえどころのない幸が、このときばかりはきっぱりと「努力すればできるかもしれないことをできないって想像だけで決めつけて、やってみもしないうちに卑屈になっちゃうのは駄目だよ」 と言うのです。

確かにアルバイトで20代女性、年収は250万円ちょっと(原作第1巻帯より)となれば、「住宅ローン購入」は夢のように見えます。ですが、ドラマでも描かれている通り、シングル女性向けの住宅ローンが登場していたり、女性向けマンション購入セミナーがあったりと、さまざまなサポートがあるのです。「私にはムリ」と卑屈になる前に、まずは現実的な目標として「マンションを買う」という強い意志が大切です。ドラマはそれを教えてくれています。

【ポイント2】借りられる金額と、返済できる金額は違う

コツコツと働き、貯蓄に励む幸が、タワーマンションに案内されて、その眺望に感動します。しかし、一方で「住宅ローンを組んで買ったとしても、カツカツになるのでは……」と若手営業担当者の奥田直人(ドラマ版配役:志尊淳さん)に心配されています(ドラマ第2話「身の丈に合った物件」)。

よく言われることですが、「住宅ローンを借りられる金額」と「返済していける金額」は違います。目一杯の予算で返済計画を組んでしまうと、余裕がなくなり、その後の暮らしがつらくなることも。ギリギリではなく、購入する物件が自分の暮らし方にあった住まいなのかどうかを背伸びせずに見極めることが大切です。

ちなみに作中では、案内されたタワーマンションを2回見学し、幸はきっぱりと「自分には不要です」と断っていました。たくさんの物件を見ながら、自分のしたい暮らし・できる暮らしを真剣に考えているのが、よくわかるシーンでした。

【ポイント3】賃貸住宅で必要な保証人。購入する場合はどうなる?

第3話の「女が1人で生きること」では、同棲していた彼と別れた阿久津マリエ(マンション販売センターの女性受付・派遣社員/ドラマ版配役:舞羽美海さん)が、新しい賃貸の物件を探すことになります。このとき、派遣社員であることを理由に保証会社を付けてほしいと言われて憤慨します。また、主人公の幸も、マンション購入にあたり、「保証人は必要ですか?」と尋ねるシーンがあります。そう、独身女性にとって、住まいを借りる際の保証人や保証会社は切実な問題なのです。

ただ、マンションを始め、住宅を購入する際には保証会社を使うため、実は保証人は不要。保証料は一括で支払うか、金利に保証分を上乗せして支払う方法があります。ちなみに、万一、住宅ローンが滞った場合、保証会社はその残額を立て替えて金融機関に支払うという仕組みになっています。

ドラマでも、営業担当者から保証人はいらないという説明を受け、ほっとしていた幸。ただ現実には、審査結果や職業によっては「連帯保証人」が必要になることもあります。心配な人は幸のように、担当者に率直に聞いてみるのがいいでしょう。

【ポイント4】「自分以外の誰の心もいらない」のはシングルの特権

同じく、第3話のストーリーの中で、幸は「(マンション購入には)自分以外の誰の心もいらない」と言い切ります。

確かに、住まいを購入する上で、シングル女性であれば自分の意思と気持ちがあれば、決断することができます。これが夫婦のようなカップルになってくれば、夫と妻の意思疎通はもちろん、予算配分やエリア決めまで、妥協や話し合いが必要になってくるのです。ときには双方の親が意見をしてくることだってあるかもしれません。加えて、子供ができればなおのこと、自分の意思以外の要素も大切になり、「自分が本当に欲しいもの」は二の次になってしまうこともあるかもしれません。

「自分の心や意思があれば、決められる」というのは、実は独身女性・独身男性が持つ、特権と言えるのかもしれません。

ちなみに、全8回のドラマも、今週(11月22日)で第5回となり、幸のマンション探しは佳境に入っていきます。果たして幸は理想の住まいと出会えるのでしょうか、どんな物件を選ぶのでしょうか、目が離せません。住まい探しの参考にしつつ、ドラマそのものも、ぜひ堪能してくださいね。

株式会社回遊舎


"金融"を専門とする編集・制作プロダクション。お金に関する記事を企画・取材から執筆、制作まで一手に引き受ける。マネー誌以外にも、育児雑誌や女性誌健康関連記事などのライフスタイル分野も幅広く手掛ける。近著に「貯められない人のための手取り『10分の1』貯金術」「J-REIT金メダル投資術」(株式会社秀和システム 著者酒井富士子)、「NISA120%活用術」(日本経済出版社)、「めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った世界で一番わかりやすいニッポンの論点10」(株式会社ダイヤモンド社)、「子育てで破産しないためのお金の本」(株式会社廣済堂出版)など。

※写真と本文は関係ありません