お笑い芸人のビビる大木と、おぎやはぎの矢作兼がメインを務めるバラエティ番組『家、ついて行ってイイですか?』(テレビ東京)が、イギリスの敏腕プロデューサーに見初められ、世界展開バージョンとして本格的に売り出された。

そして、関西発の長寿番組『探偵!ナイトスクープ』(朝日放送)と『鳥人間コンテスト』(読売テレビ)も、世界ヒットを狙ってセールスされたのが、10月にフランス・カンヌで開催された世界最大級の映像コンテンツ見本市「MIPCOM」(ミプコム)だ。現地では、往年の『夕焼けニャンニャン』を彷彿(ほうふつ)とさせるアイドル番組を、フジテレビが中国と共同制作し、高視聴率を獲得しているという情報も入手。「MIPCOM」レポート後編では、日本のバラエティ番組のセールス動向を紹介する。

英語版タイトルは『Can I follow you home?』

日本版『家、ついて行ってイイですか?』に出演する(左から) ビビる大木、矢作兼、鷲見玲奈アナ=テレビ東京提供

英語版『Can I follow you home?』ビジュアル

『家、ついて行ってイイですか?』は、終電を逃した人に声をかけ、タクシー代を払う代わりに家の中を覗かせてもらうと、その人の人生ドラマが見えてくるという内容で人気を集めるドキュメントバラエティ。海外では素人さんが出演する「リアリティーショー」と呼ぶガチドキュメンタリーの人気が高く、『家、ついて行ってイイですか?』も世界ヒットを狙った番組のひとつとして、MIPCOMで2年前から売り出された。

世界のバイヤーを前に行われた公開プレゼンテーションイベントでは、番組映像が流れた時から会場の反応は高く、「家について行った先で、人生ドラマを垣間見ることができるシンプルな展開が、リアリティショーとして面白い」と、好印象ぶりを話すバイヤーが多かったのが印象的だった。

その後、早くも中国版が制作。この思わぬ運びに、番組を企画したテレビ東京の高橋弘樹プロデューサーが驚いている様子もあったが、同番組の海外進出の勢いは、これだけに収まらない気配がある。

ティム・クレセンティ氏

というのも、『\マネーの虎』(日本テレビ)を英・BBCで成功させ、アメリカを含む世界27の国と地域で長期にわたって制作・放送するまでに仕掛けた、イギリスのスモール・ワールド社代表、ティム・クレセンティ氏(元ソニー・ピクチャーズ)が、『家、ついて行ってイイですか?』の世界展開をプロデュースすることが決まったからだ。ヒットメーカーの手によって、先月開催のMIPCOMで本格的に世界展開のセールス活動が開始されたところだ。

現地でティム氏に直接会う機会が作れたので、『家、ついて行ってイイですか?』を選んだ理由を聞くと、「この番組は、わかりやすい3つのステップがある。はじめは声をかけたタイミング、次にタクシーの中、最後に家という段階を追うプロセスに、まずはひかれた。それから家を覗くと、そこにはリアル感ある生活があり、決してそれがパーフェクトな人生でないところがいい。ソーシャルメディア全盛の時代は番組に求められるのはリアルライフを見せることだ」と答えてくれた。

『\マネーの虎』が『ドラゴンズ・デン』というタイトルでヒットさせたように、こちらもタイトル付けにこだわったという。『家、ついて行ってイイですか?』の英語版は『Can I follow you home?』。ビジュアルポスターも、まるで映画のワンシーンのような印象を持たせる。今後の展開に注目である。