いつの時代も、将来に備えての「節約」は永遠のテーマです。中でも食費の節約は「節約」の本質を含んでいて、これを上手に節約できたら、人生も上手にやり繰りできそうな気がします。
平均的な食費はいくらくらい?
総務省では毎年家計調査を行っています。下記の表はそれを元に作製したものです。食費の25%、その他の21%、交通・通信費の14%、教養娯楽の10%が上位を占めています。
食料費は3人家族とすると、お昼代のほかに外食もそれなりにありそうです。通信費はスマホやインターネットが含まれていて、実質娯楽の要素が多いと予測されます。先々不安と言いつつも、一昔から比較すると贅沢で、見直す余地はあります。今回は最も支出の多い食費の節約について考えて見ましょう。
外食が食費アップの第一の理由
つい外食してしまう原因は何があるでしょうか。仕事で疲れて帰宅後に夕食を作る気力がなく、つい外食したりお弁当や惣菜を買ったりすることになりがちです。また、残業等でおなかがすきすぎていて、一刻も早く食事がしたいということもあると思います。こんな時に、「家に帰ればおいしい食事がある」と思えば、節約につながります。つまり、食費の節約は「おいしい!」であり、決して素材等の節約だけではないのです。
節約は支出のどの項目を取り上げても、単純なカットでは長続きしないものです。暮らしを見直し、楽しみながら節約してこそ長続きし、効果があるものです。それが最も顕著なのが食費ではないでしょうか。健康面への配慮が必要である点も単純なカットとはいきません。
「食」は重要! でも意外に工夫次第でとことん節約できる
生きていく上で、健全な食生活は基本中の基本で、食費の節約というと懐疑的になるかもしれません。しかし食費は外食でないかぎり素材から自ら作り出すもので、素材の工夫次第ではかなりの節約できるものです。
■皮も利用……大根は皮をむいて利用します。皮は捨ててしまう事が多いと思いますが、キンピラ等に利用できます。下記に常備菜について記述していますが、栄養面でもおすすめです。
■捨てる部分を利用……皆さんの近くでは大根はどのように売られているでしょうか。葉がついたままでしょうか。それとも葉はカットされている状態でしょうか。葉がついていると、白い部分の痛みが早いのでカットされているケースもあります。わが家の近くの農家から直送の八百屋では白い部分より長い青々とした葉がついています。新鮮ですので、葉も加工して利用します。
■根のある野菜は再利用……小松菜などの葉物野菜は根がついて売られているものが少なくありません。小松菜は根がしっかりしていて自家栽培に適しています。料理した時に根をカットしたら、そのままプランターに挿します。やがて再び葉が伸びてきて収穫できます。
上記の写真はそうして育てたセリです。生長点をしっかり残すように、通常よりもいくらか茎の部分を長めに残してカットしてください。何本かは花を咲かせて種を収穫すれば、来年も楽しめます。特に少しの量で食卓が楽しくなる香味野菜などがおすすめで、買うとそれなりの値段がしますが、一度にたくさん使うものでもなく、余ってしまうことも少なくありません。
刻んで冷凍することもできますが、風味は落ちますので、自家栽培がおすすめです。節約といっても食卓は楽しく豊かにしながら行うのが効果を挙げるポイントです。
■器次第でおいしさアップ……食卓の見た目を楽しくすることも重要です。とにかく食卓を豊かにして楽しんで節約が長続きのコツです。
働く女性のための時短・節約レシピ
■作り置き惣菜を工夫する
1.大目の汁付き煮物をたくさんストック
そのまま煮物に
応用編→魚介や肉・豆腐を入れて主菜に
→けんちん汁・かす汁・とん汁などに
2.ポトフをストック
そのまま暖めて
応用編→ボルシチ風やクリームシチュー・カレーなどに
☆一口アドバイス
最後に香味野菜やさやえんどうなどをあしらって彩り豊かにすると一段と引き立ちます。魚介や肉のストックは一口サイズにカットし、それぞれラップに包んで冷凍し、当日の手間を徹底して省く事がコツです。肉は必要に応じて下味をつけて保存します。安い鳥胸肉も下味とかたくり粉で柔らかくおいしく調理できます。
■まぜご飯の素をストック
1.菜めしの素……カブや大根の葉をきざんでカラ炒りする(塩・油は不使用)。水分が飛んだらチリメンジャコと炒りゴマを加えて、冷めたらパックに入れて平らにして冷凍。ご飯と一緒に解凍すればおいしい菜飯ができます。
2.キンピラ……キンピラとして食べてもよし、少しいろいろな具も加えて、かやくご飯の素に。
■薬味や香味野菜の活用
1.万能葱、パセリ、大葉等を刻んで冷凍しておきます。贅沢ですが、わさび(根のままのもの)も冷凍できます。それなりに香りはします。
2.おにぎり用味付け海苔のパック……サイズが小さいので千切り等が簡単
■缶詰も一手間加えて満足度向上
1.鯖の水煮……そのまましゃれた器に入れ、わさびを載せ、酢を掛けまわす。
2.いわしの水煮またはしょうゆ味……いわしを汁ごと鍋に入れて、みじん切りの玉葱と一緒に暖める。玉葱が汁を吸っておいしいソースに!
☆一口アドバイス
缶詰を利用するのにいろいろ手を掛けては意味がありません。ほんの一手間でおいしくなるものを見つけてください。
食費のほかに交通・通信費や娯楽費についても同じような視点で見直してみてください。高度成長時代の昔はなかった支出が多いのに気付くと思います。何かが増えたら何かを減らさなくてはなりません。低成長時代で先行き不安と言いつつも、消費生活は広がったままでよいはずはありません。
<著者プロフィール>
佐藤 章子
一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。
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