男性ホルモンの減少が原因となる「LOH症候群」。今回は「男性更年期」とも呼ばれるこの病気のセルフチェック術と治療法について、メンズヘルスクリニック東京の院長の小林一広医師にうかがった。
テストステロンの減少を知るためのチェック項目
男性は加齢によって、「テストステロン」と呼ばれる男性ホルモンが減少する。テストステロンが減るとLOH症候群に陥り、「疲れやすい」「体がだるい」「やる気がでない」など、肉体面と精神面においてさまざまな変化が現れる。場合によってはメタボや骨粗しょう症、うつなどにつながるケースも出てくる。
LOH症候群の患者は40代、50代がメインとなるが、いち早く自分が病気であると気付くためには自身の健康状態を把握しておくことが大切だ。そこで、男性ホルモンの低下具合を調べるためのチェック項目をまとめたので参考にしてほしい。
(1)性欲の低下を感じる
(2)なんとなく元気がなくなってきた
(3)体力が低下してきた
(4)身長が低くなった
(5)毎日の楽しみが少なくなった
(6)悲しい気持ちや怒りの気持ちを感じやすい
(7)勃起する力が衰えてきた
(8)運動能力が低下してきた
(9)夕食後にうたたねをすることがある
(10)仕事の能力が衰えてきた
(1)と(7)が当てはまる、またはそれ以外の項目で3つ以上が当てはまる男性は、テストステロンが減少している可能性が高い。実際、患者も増加傾向にあるようだ。同クリニックのLOH症候群外来の患者数は、初診と再診を含め月間250名(2015年10月実績)ほどで、昨年に比べ2倍以上になっている。
食事や運動でテストステロン値は改善する
LOH症候群の治療にあたっては、注射によるホルモン補充療法でテストステロン値の改善を図る。
「まずはテストステロン値を検査し、値が低ければホルモンを投与します。注射をすると体内のホルモン濃度は上昇しますが、3日ほどで下がってしまいます。濃度を維持するため、外用剤としてジェルタイプの塗り薬も使用すると治療がしやすいですね」。
ただ、補充療法は最終手段的な意味合いが強く、まずは生活習慣の見直しによって改善を図るべきだと小林医師は指摘する。
「テストステロン値は環境要因を受ける部分も多分にあるため、普段の食事や運動習慣の改善などでまた上がってきます。すなわち、自分の中での調節が可能ということで、いかに下げないような日常生活をするかしないかで差がついてきます」。
ランニングなどの有酸素運動をややきつめにすれば、テストステロンの分泌に好影響をおよぼすことが既にわかっている。食事面では、生がきや豚レバーなどに含まれる「亜鉛」、にんにくやたまねぎ、ショウガなどに含まれる「アリシン」がテストステロン増加に欠かせない栄養素とされている。
「自分もなんとなくLOH症候群のような気がする」と感じる男性は、まずは生活習慣を改善し、それでも変化が見られなければ医師の力を借りてみてはいかがだろうか。
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記事監修: 小林一広(こばやし かずひろ)
医療法人社団ウェルエイジング メンズヘルスクリニック東京院長。精神保健指定医、日本臨床精神神経薬理学会専門医、特定非営利活動法人アンチエイジングネットワーク理事、特定非営利活動法人フューチャー・メディカル・ラボラトリー理事。北里大学医学部卒業後、同大学病院でメンタルヘルスケア中心の医療に従事。1999年新宿に城西クリニックを開院。精神科医として皮膚科医、形成外科医と共に心身両面からの頭髪治療に力を注ぐ。2014年東京・丸の内に移転し、メンズヘルスクリニック東京と名称を変え、男性の外見と内面を医療によってサポートするクリニックを立ちあげる。