2015年10月16日曇り時々雨。東京・スカイツリータウンで「秋田まるごと市 in 東京ソラマチ」(18日まで開催)のオープニングセレモニーが行われた。ゲストとして招かれたのは、秋田県出身のタレント・壇蜜(34)。背中に「秋田」の文字があしらわれた半被を羽織って登場し、思い出エピソードを織り交ぜながら同県をアピールした。

タレントで女優の壇蜜

"壇蜜"としてデビューしてから5年。グラビア界を席巻した後、女優業や文筆業にも活動の場を広げながら今現在も進化し続けている。傍から見れば順風満帆。しかし、並の覚悟では決して生き残ることのできない業界ということが、今年9月に発売された文庫本『壇蜜日記2』(文藝春秋)で知ることができる。日記書き下ろしとなる著書で、その第2弾は「2014年8月17日晴れ」から「2015年7月15日晴れ」まで、彼女の心の声が生々しく刻まれている。

イベント取材を兼ねて本人インタビューを申し込んだところ、次の予定までのわずかな時間をもらうことができた。取材時間は約7分。聞きたいことは山ほどあったが、彼女の魅力に触れるには充分な時間だった。そして、『壇蜜日記2』で抱いていた"ある誤解"を解く貴重な機会にも。2015年10月16日。次の『壇蜜日記』には、どのようなことが書かれるのだろうか。お辞儀をして送り出してくれた壇蜜を思い出し、そんなことが頭をよぎった。

――お忙しい中、ありがとうございます。イベント中もおっしゃっていましたが、出身地にこのような形で貢献できるというのは、やはり芸能人としての喜びを感じますか。

そうですね。芸能界の出方がちょっとアレなタレントが、ここまで呼ばれるようになったというのは「ありがたい」の一言に尽きます。その上、秋田の南側には、出身の芸能人の方々がたくさんいらっしゃるので、そんな中で呼んでいただけて「本当にありがとうございます」という気持ちです。

――――"壇蜜"という芸名でデビューされて5年が経ちました。いつごろからこのようなイベントに呼ばれるようになったんですか。

3年ぐらい前です。NHKで初めて出させてもらったのがNHK秋田で、それから秋田で行われるイベントなどにも呼んでいただけるようになりましたが、そういうことはこちらから営業しづらいことなんです。こういう身の上なので(笑)。だからこそ、秋田を応援するとか、秋田のために何かを話すとか、「顔を貸せ」ということでも呼んでいただけるのであれば「はい!」という感じです(笑)。

――――秋田に行くと、地元の方々はどのような反応ですか。

『壇蜜日記2』(文藝春秋)

両親は東京に住んでいますが、年に2、3回ぐらいは墓参りのために帰っています。皆さんの反応は変わりません(笑)。あの頃の支靜加ちゃん(本名)のままです。(出身地の)十文字界隈の反応は何一つ変わっていません(笑)。若干、ザワっとするぐらいで。変わったことを挙げるとすれば、祖母の家にテレビ局の人が来るようになったことぐらいでしょうか

――――最近の壇蜜さんといえば、『壇蜜日記2』が発売されましたね。売れ行きも好調のようですが、反響はいかがですか。

「日記読んだよ」と言っていただけることは増えました。日記は今も書き続けていますし、いろんな意味での生活の一部。お金が発生しますからね(笑)。日記自体を書き始めたのは小学校ぐらいからです。時々休んで繰り返すという感じで。"お金を生む日記"は2年ぐらい前からです(笑)。

――――その"お金を生む日記"で心がけていることは?

商品の名称は書かないようにしています。例えば「赤い缶の黒めの炭酸」のように。いつも防水のタブレットをお風呂に持ち込んで、その日の余力で書いている日記です。

――――生活をしていて、「これは日記のネタになる!」という瞬間は?

感じたことないです。むしろ、そういうことはブログ用に使います。ブログはお金が発生しないので、誰が読んでも一律で平等に面白いとかつまらないと思えるような、そういう内容を提供しています。

――――なるほど。『壇蜜日記2』を読んで、前回より内容が濃くなっている印象を抱いたのですが、ご本人としてはいかがですか。

そうなんですよ。本人はそんなつもりはないんですが、内容が濃くなったことの延長にあるのは、老けたということだと思います。誰でも老けると、つらいことの1つや2つ、こぼしたくなります(笑)。

――――そういった本音の濃度が徐々に増していって、「ダンミツ消えた死んだと騒がれることもまた世間への貢献と思えば粥もすすむ」(『壇蜜日記2』"2014年11月26日 雨"より)など世間の声に敏感な一面を知ることができ、読んでいてこちらもつらくなる内容もありました。最近はマルチにご活躍です。そういう一部の少数意見は気にしなくてもいいのでは?

私が考える「タレント」は、見たことない人や会ったこともない人から好かれたり、嫌われたりする仕事。その「好かれること」と「嫌われること」はイーブンじゃないといけません。さらに言うと、「嫌われること」が0.5ゲーム差ぐらいで負けているぐらいがちょうどいいと思っています。

だからこそ、「好かれること」と「嫌われること」の声は敏感にキャッチしていないといけない。そこが疎かになると、タレントの寿命が短くなってしまうと考えています。これは芸能界デビューする前、最後に勤めていた会社の上司が教えてくれたことです。「好かれて嫌われないと人は頑張れない。それを支えにしないと、タレントという仕事はやっていけない」と。タレントじゃないのに、なぜそんなことを思えたのか不思議ですが(笑)、彼の言っていたことは今でも正しいと思います。

――――そういうことだったんですか。『壇蜜日記』の核となる部分が理解できたような気がします。お時間となりましたので、このあたりでまとめさせていただきます。

こんな小話で大丈夫ですか!? すみません。ありがとうございました。日記まで読んでいただいて。

――――いえ、またの機会にお話させてください。

ぜひ。ありがとうございました。

2015年10月16日に行われたイベントの模様

■プロフィール
壇蜜
1980年12月3日生まれ。秋田県出身。O型。身長158センチ。2010年に29歳でグラビアデビュー。2013年には映画『甘い鞭』で主演を務め、第37回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した。著書に『蜜の味』(小学館)、『エロスのお作法』(大和書房)、『はじしらず』(朝日新聞出版)、『壇蜜日記』『壇蜜日記2』(文藝春秋)など。