円安トレンドへの転換?

年内に米利上げの可能性が高まったことを受け、日米の金利差拡大が予想されることから、125円台まで円安が進みました。この水準は12年ぶりの安値圏になります。これにより米ドル・円レートは長期のトレンドラインを上抜け、長期的な円安局面に転換した可能性があります。

米ドル・円の為替レート推移(日次、期間:1982年1月1日~2015年5月29日)

ポイントは貿易収支

短期的には、当局からの円安けん制発言などでスピード調整も考えられますが、中長期では今後も円安が進む可能性があります。その背景のひとつが貿易収支の悪化です。

過去、貿易収支の黒字が増加している間は円高傾向となり、黒字が減少している間は円安傾向でした。この関係は2008年のリーマン・ショック時の欧米の大規模な金融緩和で崩れ、両者は大きく乖離しています。今後も貿易収支の大幅な黒字化が期待できないため、この乖離は円安の進行で解消されることが考えられます。

他にも日銀の金融緩和など、様々な円安要因があり、今後も為替レートの動きから目が離せません。

米ドル・円と日本の貿易収支の推移(月次、期間:[貿易収支]1986年3月~2015年3月、[為替]1987年3月~2015年5月)

(出所:ピクテ・グループのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成)

●ピクテ投信投資顧問が提供する、「ボンジュール」からの転載です。