野村総合研究所は4日、国内を中心とするICT(情報通信技術)関連の主要5市場について、2020年度までの動向分析と規模予測を発表した。それによると、一部既存市場が衰退する一方、M2M(マシン・トゥ・マシン)やMVNOなど新たな市場が成長することで、構造変化が起きると見込んでいる。

デバイス市場については、次世代テレビ、ウェアラブル端末、3Dプリンターが大きな成長市場と予想。各種端末からスマートフォンへの集約が進む一方、機能を特化させた専用デバイスが登場しており、「入力デバイス」の多様化を超え、新たに「出力デバイス」の時代へ移行すると見ている。

ネットワーク市場については、政府の政策等により、市場構造が急激に変化しつつあるとし、設備競争だけでなくサービス競争が加熱し、異業種との市場共創が必須になると見込んでいる。また、移動通信分野では、MVNOや公衆無線LAN市場が大きく成長するとしている。

国内のICT市場規模予測(一部世界市場を含む)(出典:野村総合研究所Webサイト)

プラットフォーム市場については、携帯端末のスマートフォンへの移行に伴い、B2C EC(消費者向け電子商取引)市場、携帯向けインターネット広告市場は一層拡大するほか、東京オリンピック・パラリンピックに向けてスマートペイメントが普及すると予測している。

コンテンツ配信市場については、スマートフォンへの一極集中が進む一方、それ以外のコンテンツ配信市場は衰退期に向かうとし、「ユーザーエクスペリエンス(利用体験)」を中心とした戦略により、新たな市場を生み出すことが求められるとしている。

ソリューション市場については、データセンターと法人ネットワーク市場は大きな成長を見込めないのに対し、情報セキュリティ関連市場は堅調な見通し。また、M2M市場が急成長することで、全体としては高い成長性を示すと予想している。