箱根登山鉄道の新型車両3000形「アレグラ号」が1日、営業運転を開始した。強羅駅にて出発式が開催され、30組60名を招待してのデビュー運行も行われた。

強羅駅に停車中の新型車両3000形「アレグラ号」

新型車両3000形の製造は川崎重工、デザイン設計は岡部憲明アーキテクチャーネットワークが担当。車体はステンレス製で、1両あたり全長14.66m、幅2.57m、高さ3.97mとされた。箱根の自然を体感できるよう、車体前面・側面の窓ガラスを大型化し、「バーミリオンはこね」と命名された車体色も外観における特徴となっている。

車内は先頭展望ゾーンと中央のクロスシートゾーンに分けられ、急勾配やスイッチバック、車窓に広がる箱根の自然など、箱根登山鉄道の特色を生かせる座席レイアウトに。愛称「アレグラ号」は、同社の姉妹提携鉄道であるレーティッシュ鉄道が走るスイス・グラウビュンデン州の希少言語、レート・ロマンシュ語の挨拶言葉に由来しているという。

1日は営業運転開始に先立ち、出発式とデビュー運行が行われた。来賓や招待客らが見守る中、「アレグラ号」は9時30分すぎ、2両編成(3001・3002)で強羅駅に到着。出発式では箱根登山鉄道取締役社長、府川光夫氏が、「当社25年ぶりの新造車両がいよいよ営業開始します。素敵な車両に仕上がっており、環境にも配慮しています。箱根の山にふさわしい、箱根の魅力向上に貢献する車両と自負しています。安全最優先に、これからアレグラ号を運行してまいります」と挨拶した。

強羅駅にて出発式も開催された

その後、テープカットが行われ、ホームに設置されたカウベルの音とともに、「アレグラ号」は強羅駅を発車。デビュー運行の特別列車には一般招待客30組60名が乗車し、箱根湯本駅到着までのひとときを楽しんだ様子だった。途中、車掌から新型車両の概要や箱根登山鉄道の歴史、沿線の名所をはじめ、「いま走行している区間の運転士と車掌の高低差は240cm」「出山の鉄橋はもともと天竜川に架けられていた」などの情報も紹介されていた。

箱根登山鉄道の新型車両3000形「アレグラ号」は今後、従来車両2両に「アレグラ号」1両を連結した3両編成、または「アレグラ号」2両を連結した編成で、箱根湯本~強羅間を走行する予定。運行スケジュールは箱根登山鉄道ホームページにて、約3日前から確定次第掲載していくとのこと。