小田急箱根ホールディングスは14日、都内で記者発表会を行い、箱根エリアのさらなる魅力向上に向け、総額約35億円規模の大型投資を実施すると発表した。この一環で2014年春、箱根登山鉄道に17年ぶりの新型車両が誕生する。

箱根登山電車の新型車両イメージ

新型車両「3000形(仮)」は単車2両を製造予定で、総製作費は約8億円。通常は2000形2両固定編成と連結し、3両編成で運転されるが、新型車両同士の2両編成での運転も可能だ。VVVFインバータ制御、回生ブレーキ、LED照明の採用で環境に優しい車両をめざし、バリアフリー化も行う。竣工は来年10月、営業開始は2014年4月中旬を予定している。

デザイン設計は小田急ロマンスカーVSE(50000形)、MSE(60000形)にも参加した岡部憲明氏が代表を務める岡部憲明アーキテクチャーネットワークが担当。箱根の自然にマッチした車体デザインとし、側面ガラスを大型化。また、車内を先頭展望ゾーンとクロスシートゾーンに分け、先頭展望ゾーンに展望窓を配置するなど、車窓風景を存分に楽しめる車内レイアウトになるという。

先頭展望ゾーンとクロスシートゾーンに分かれる

通常は2000形と連結し、3両編成で運転

先頭展望ゾーンでは、床上から天井付近まで側面窓を拡大。箱根の自然を存分に楽しめる

小田急箱根ホールディングス取締役社長、和田雅邦氏は、箱根登山電車の新型車両について、「鉄道を愛するお客様の希望をかなえることと、輸送力増強が挙げられます。これまで、繁忙期でも2両編成で運転する列車がありましたが、新型車両投入で、繁忙期もすべて3両編成で運転できると考えています」と製造目的を説明した。

新型車両の外観に関してはスケッチを公開するのみにとどまったが、開発にあたっては岡部憲明アーキテクチャーネットワーク、車両メーカー、各機器メーカーとともに検討を進めており、詳細は決まり次第発表するとのこと。「箱根の魅力は(都心から)至近距離にありながら、グレードの高いサービスを提供していることにあると思います。鉄道にしてもブルーリボンを受賞できるような、いいものをつくっていきたい」と和田氏は付け加えた。

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小田急箱根グループでは箱根登山電車新型車両のほか、「箱根海賊船 新型海賊船の建造」「箱根ロープウェイ 大涌谷駅舎の建て替え」「箱根湯本温泉 日帰り温泉施設の新設」を決定しており、いずれも来春完成予定。これらの設備投資により、箱根エリア戦略「わかりやすい箱根 まわりやすい箱根」のさらなる実現と、温泉地箱根の魅力向上・マーケット拡大を図る。