「黄色いりんご」はどんな味がするか、みなさんは知っているだろうか。りんごといえば赤色のイメージが強いが、近年黄色も出荷量が増えつつあるそうだ。全国のりんごの半分以上を生産する青森県で、黄色いりんごを食べてきた。

黄色いりんごを手にする「ミスりんご」の藤井なつきさん(「板柳町ふるさとセンター」で撮影)

イチオシの黄色いりんご「トキ」

青森りんごの振興発展を目的に組織されている「一般社団法人 青森県りんご対策協議会」(以下りん対協)によると、今年イチオシのりんごの品種は「トキ」。

今年イチオシの黄色いりんご「トキ」

トキは、りんごの王様「ふじ」を父親に、黄色いりんごでおなじみの「王林」を母親にして開発され、2004年に品種登録された。甘味が突出しており、ふじの糖度を超えながら、酸味もあり、王林のような豊富な果汁をもつ。近年まれに見る成功品種、また生産量が少ないことから希少品種、入手困難なりんごといわれているのだとか。

黄色いりんごは甘かった

「青森県産業技術センターりんご研究所」

りんごの新品種の開発などを行っている「青森県産業技術センターりんご研究所」(青森県黒石市)で、トキを試食させていただいた。さわやかな香りに、シャクシャクと気持ちのいいかみごたえ、そしゃくすると口の中にじゅわわわわっと果汁の甘みが広がる。思わず「甘いですね」と研究所の方に声をかけてしまった。ほどよい酸味もあり、後味はさっぱりとしている。

「トキ」を食べてみた

食べてみて意外だったのは、「すっぱくない」ということ。りん対協の調査によると、黄色いりんごについて食べたことのない人の67%が「すっぱい(と思う)」、食べたことのある人の87%が「甘い・ジューシー」と答えているという。実は筆者も「青りんご」味のイメージからか、「すっぱいのではないか」と思っていた。実際食べてみたら、これほど甘いとは。

「1日、1個のりんごで医者いらず」という言葉もあるように、健康によいことでも知られるりんご。もちろん黄色いりんごにも、赤色のりんごと同様に「食物繊維(ペクチン)」「カリウム」「ビタミンC」「りんごポリフェノール」などが含まれているそう。

近年黄色いりんごも出荷量が増えつつある(写真は「弘果弘前中央青果」の様子)

青森県では、全生産量43万トンのうち6割を赤いりんご「ふじ」が占めているが、今年の「トキ」は2010年の1,900トンから1万トン程度へと大幅に増加予定。黄色いりんごはトキの他にも、5万トン近くを出荷する「王林」、「きおう」「シナノゴールド」、希少品種「星の金貨」などがある。りん対協では、東京都などのスーパーで黄色りんごのキャンペーンも企画中という。

黄色いりんごの収穫時期の見極めに使う「カラーチャートつき手袋」

トキの収穫のピークは10月上旬~末までで、まさに今が旬。お店で黄色いりんごの姿を見かけたら、ぜひ手にとってみてほしい。