りんごに含まれるポリフェノール成分が人間の酸化ストレス因子を低減する効果があることが、このほどアサヒグループホールディングスらの研究で明らかになった。6月6~8日に大阪市で開催される「第14回日本抗加齢学会総会」で発表される。

75年以上前からりんごの研究を行っているアサヒグループ。25年前からは、本格的にりんご未熟果に含まれるポリフェノールに着目し研究を続け、これまでにりんご未熟果から精製したりんごポリフェノールが、抗アレルギー活性をはじめ、脂肪蓄積抑制作用、マウスでの寿命延長効果等を持つことを報告してきた。同成分は、高い抗酸化力を持つ“プロシアニジン”を主成分とし、この抗酸化力から様々な健康機能を発揮していると考えられている。今回、この抗酸化力の効果を確認するため、酸化ストレスが高い40~60代の健常な男女に対し、りんごポリフェノールを含む抗酸化物質配合処方による酸化ストレス低減効果の検証を、順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座の白澤教授監修のもと行った。

実験内容は、1日あたりりんごポリフェノール(AP)200mg、ビタミンE100mg、ビタミンC30mg、トコトリエノール3mgを有効成分として配合したカプセルを配布したAP群と、有効成分を入れないカプセルを配布したプラセボ群で比較。摂取前と摂取12週間後に、体調の問診や身体計測、生理学的検査、血液生化学的検査、尿検査、抗酸化関連検査、疲労・行動アンケート検査を行って有効性を評価した。

その結果、過酸化脂質と酸化ストレスメーカー(d-ROM:体内の酸化ストレス状態を見る指標の1つ)の値がAP群で明らかに有意な改善差が認められた。また、AP群のほうが酸化ストレス等が起因と考えられる疲れや睡眠状態がよくなったとする意識調査の結果も得られた。

このことから、りんごポリフェノールを含む抗酸化物質配合処方が、酸化ストレスの高い人に酸化ストレス低減効果を発揮し、疲れや持久力、寝つきなどを改善する効果があると結論。酸化ストレスは老化を促進する1つの因子としても知られており、りんごポリフェノールが加齢により発生する疲れや体力低下等の症状にも有効である可能性があるとしている。アサヒグループでは、今後もりんごポリフェノールを活用して酸化ストレス蓄積を防ぎ、QOL(生活の質)の低下を抑えるための研究を続けていきたいとしている。