広島市のホテル密集地区は、広島駅周辺と繁華街である流川・八丁堀界隈、平和大通り周辺に大別できる。中国地方随一の大都市ゆえ、もちろん全国チェーンのビジネスホテルも各地区に出店しているが、経年感のある建物、さらには旧態型ビジネスホテルの建物をリニューアルしリブランドしたケースも散見され、他の大都市で見られるような「ピカピカの新しいホテルが駅の周りに林立」というイメージはない。そんな広島のビジネスホテル無料朝食をみていくことにしよう。

全国トップクラス級のバリエーション(写真は「ホテルアクティブ広島」)

なお、全国チェーンのビジネスホテルの無料朝食は、同一チェーンの店舗間で多少の差異は見られるが、全国的にほぼ同じクオリティー・内容となっている。そのため、ここでは各都市での独立系・小規模チェーンのビジネスホテルで無料朝食サービスを展開しているホテルに注目したい。もちろん「無料朝食」といっても宿泊料金に転嫁されているわけだが、別途料金が発生する「有料朝食」との対比で無料という表現を各ホテルが用いているので、本文でも便宜的に「無料朝食」と表現させてもらう。

予約が取れないビジネスホテル

広島のビジネスホテル事情で、全国チェーンの人気ビジネスホテルを凌駕するのが、広島・山口・福岡に展開する小規模チェーンである「ホテルアクティブ」だ。「ホテルアクティブ広島」は、流川の繁華街から近い立地で路面電車の電停からも至近。

このホテルチェーンの人気はすさまじい。満室の日も多く、筆者が宿泊取材を試みようにも予約に悩まされるホテルチェーンでもある。人気の理由はその徹底した利用者目線はもちろん、全国チェーンのビジネスホテルに足りない点を徹底追及し、付加価値をもたらしていることである。

無料朝食も折り紙付き。ホットミールはソーセージやスクランブルエッグをはじめ、鶏つくね、中華春雨、里芋の鶏そぼろなど書ききれないほどの充実度だ。パンも8種類、プリンをはじめとした各種デザートなど、ビジネスホテルの無料朝食としては全国トップクラスではないかと思われる。

「ホテルアクティブ広島」の朝食。パンも含めて種類は豊富

新幹線口そばのホテルもバリエーション◎

一方、ビジネス色が強い広島駅新幹線口には、駅徒歩3分に位置する「アーバイン広島エグゼクティブ」がある。スタイリッシュな外観と客室が人気のホテルだ。無料モーニングも大人気で、特に目を引くのがちらし寿司。その他、アジのマリネや焼きうどん、一瞬ハンバーグ!? と思わせる肉団子などバラエティーに富む。

「アーバイン広島エグゼクティブ」の朝食。ちらし寿司までそろっていた

同じく新幹線口でいえば、アーバインから近い「ホテルクリスタル広島」も、ミニおにぎりやパン、ベーコンにサラダなど無料朝食が人気のホテルだ。いずれも新幹線口から近いこともあり、ビジネスユースにも利便性が高そうである。

広島は川の多い都市で河岸に位置するホテルも多い。そのような中で「ホテルフレックス」の無料朝食は川岸に面したオシャレなオープンテラスでのモーニング。バラエティーに富むサンドイッチのラインナップから選べて女性にも人気だ。慌ただしく騒々しいビュッフェではなくゆったり時間の無料朝食もうれしいものだ。

「ホテルフレックス」の朝食。選べるサンドイッチがスタイリッシュ

※記事中の価格・情報は2014年8月取材時のもの

筆者プロフィール : 瀧澤 信秋(たきざわ のぶあき)

ホテル評論家、旅行作家。オールアバウト公式ホテルガイド、ホテル情報専門メディアホテラーズ編集長、日本旅行作家協会正会員。ホテル評論家として宿泊者・利用者の立場から徹底した現場取材によりホテルや旅館を評論し、ホテルや旅に関するエッセイなども多数発表。テレビやラジオへの出演や雑誌などへの寄稿・連載など多数手がけている。2014年は365日365泊、全て異なるホテルを利用するという企画も実践。著書に『365日365ホテル 上』(マガジンハウス)、『ホテルに騙されるな! プロが選ぶ絶対失敗しない選び方』(光文社新書)などがある。

「ホテル評論家 瀧澤信秋 オフィシャルサイト」