総合不動産サービスを展開するジョーンズ ラング ラサール(以下、JLL)は5日、2013年の世界の不動産投資についてまとめた投資分析レポートを発表した。それによると、2013年通年の世界の商業用不動産投資額は前年比21%増の5,630億ドルとなり、4年連続で増加した。

総投資額5,630億ドルは、2007年のピーク時における取引額7,580億ドルの74%に当たる。地域別に見ると、アメリカ大陸は前年比18%増の2,410億ドル、EMEA(Europe,the Middle East and Africa)は同21%増の1,950億ドル、アジア太平洋地域は同29%増の1,270億ドルとなり、全地域で前年を上回った。

四半期別に見た場合、2013年第4四半期の世界の投資額は前期比41%増、前年同期比22%増の1,980億ドルと、2,000億ドル超だった2007年第2、第3四半期に次ぐ高水準を記録した。

アジア太平洋地域の2013年通年の投資額は前年比29%増の1,270億ドルで、過去最高を記録。これまでのピークである2007年の1,210億ドルを上回った。主な牽引役としては、アベノミクスにより市場が活発化した日本、過去最高取引額を記録した中国、中国資本により取引が活発化したオーストラリアおよびシンガポールを挙げている。

2013年通年の日本の投資額は、ドル建てで410億ドルとなり、2012年通年の投資額(252億ドル)を63%上回った。一方、円建てでは3兆9,890億円となり、2012年通年の投資額(1兆9,850億円)を101%上回った。

日本の2013年第4四半期の不動産投資額は、前年同期比49%増の115億ドル、円建てでは同84%増の1兆1,460億円。イオンリート投資法人とSIA不動産投資法人の2銘柄が新規上場したことや、1,000億円を超える大型物件の取引はなかったものの、100億円~300億円の比較的大きな物件の取引が多く見受けられたことなどが重なり、年間で投資額が最も多い四半期になったという。

2013年通年で最も取引が活発だった都市は、前年同様ロンドン(357億ドル)、2位も前年同様ニューヨーク(314億ドル)。3位に東京(184億ドル)が入り、前年3位のパリを上回った。

投資活動が最も活発な世界10都市

2014年の見通しについては、取引活動が好調だった2013年の勢いを維持し、通年の取引額は前年比15%増の6,500億ドルと予想している。

JLLリサーチ事業部長赤城威志氏は「更なる景気回復期待、低金利継続に加え、東京オリンピック開催決定により、私募ファンドや海外投資家も国内不動産に対する積極的な姿勢を見せています。2014年第1四半期においては、ヒューリックリートの新規上場や高島屋によるタイムズスクエアの取得など、すでに予定されている大型取引も見受けられます。このような状況の中で2014年においても更なる市場の活発化が期待されます」と予測している。