第26回東京国際映画祭(以下、TIFF)が25日に閉幕し、東京・六本木のTOHOシネマズで行われたクロージングイベントにてコンペティション部門のグランプリ作品などが発表された。

グランプリ作品『ウィ・アー・ザ・ベスト!』のルーカス・ムーディソン監督

TIFFは毎年10月に東京で開催される映画祭。今年は10月17日から25日までの9日間にわたって開催された。9日間での上映作品は97本、劇場動員数は3万5,139人を記録した。最終日となる25日に行われたクロージング・セレモニーには、今回のフェスティバルミューズを務めた女優 栗山千明らが出席し、コンペティション部門の東京サクラグランプリをはじめ、最優秀監督賞、最優秀女優賞、最優秀男優賞などが発表された。

93カ国1,463本のエントリーが集まったコンペティション部門で、東京サクラグランプリを受賞したのはスウェーデンの青春映画『ウィ・アー・ザ・ベスト!』。監督のルーカス・ムーディソンは「今、本当に驚いています。実は今晩原宿におもちゃでも買いにいこうと話していたんです。それくらい私の映画が賞を獲得するとは思ってもいませんでした」と受賞の驚きを語り、「映画関係者や審査員、観客の皆さんにお礼も申し上げたいと思います。また、この映画は妻が原作を書いており、それは彼女の青春時代を描いたものです。なので、彼女の青春時代にも感謝したいと思います」と語った。また最優秀女優賞を獲得したユージン・ドミンゴ(フィリピン映画『ある理髪師の物語』)は「フィリピンを性別で表すと女性だと思います。美しく、とても強いんです。そしてインスピレーションを与えてくれる国です」と母国を紹介。続けて「実は私、普段はコメディー女優なんです。今回が日本に来る最後の機会ではないです。私は何度も何度も日本に戻ってきます。というのもドン・キホーテでショッピングをしなきゃいけないからです」とコメディアンヌらしく会場の笑いを誘った。

コンペティション部門の審査員を務めた寺島しのぶは「審査員の皆さんと楽しいディスカッションをすることができて、映画というものを改めて見つめ直した時間でもありました。個人的には日本の映画が評価されなかったことがとても残念で、自分としては今度コンペティションに選ばれるような映画に出演させてもらいたいと思いました」と、日本の作品が無冠に終わったことを嘆きつつ、次回は女優として同映画祭に参加したい胸のうちを明かした。すると審査委員長を務めたチェン・カイコーは「映画を作ることだけでも大変なこと。そういった意味では、コンペティション作品すべてを評価したいと考えています。そして願わくば来年の東京国際映画祭では日本の映画にサクラグランプリをとってもらいたい」と日本映画に対する期待を口にした。

ほか、審査員特別賞は『ルールを曲げろ』、最優秀監督賞はベネディクト・エルリングソン(『馬々と人間たち』)、最優秀男優賞はワン・ジンチュン(『オルドス警察日記』)、最優秀芸術貢献賞は『エンプティ・アワーズ』、観客賞は『レッド・ファミリー』、アジアの未来 作品賞は『今日から明日へ』、アジアの未来 スペシャルメンションは『祖谷物語 -おくりひと-』、日本映画スプラッシュ 作品賞は『Forma』がそれぞれ受賞した。

第26回東京国際映画祭の受賞者と審査員一同

第26回東京国際映画祭 受賞作品一覧

東京サクラグランプリ 『ウィ・アー・ザ・ベスト!』
審査員特別賞 『ルールを曲げろ』
最優秀監督賞 ベネディクト・エルリングソン(『馬々と人間たち』)
最優秀女優賞 ユージン・ドミンゴ(『ある理髪師の物語』)
最優秀男優賞 ワン・ジンチュン(『オルドス警察日記』)
最優秀芸術貢献賞 『エンプティ・アワーズ』
観客賞 『レッド・ファミリー』
アジアの未来 作品賞 『今日から明日へ』
アジアの未来 スペシャルメンション 『祖谷物語 -おくりひと-』
日本映画スプラッシュ 作品賞 『Forma』