もはや説明不要の『半沢直樹』が話題をさらった夏ドラマ。今世紀最高の視聴率以上に、「続編を望む熱狂的な声」や「ロケ地をめぐるファン続出」など、いまだ盛り上がりを見せている。

今クールで大ヒットとなった『半沢直樹』を超す作品とは……。写真は半沢直樹役を演じた堺雅人

話題もつい『半沢直樹』に集中しがちだが、今クールは他にも質の高い作品が多かっただけに、改めて振り返ってみたい。ベストからワーストまで、「視聴率や俳優の人気は一切無視!!」の連ドラ評論家・木村隆志が探り、ガチ採点する。

『半沢直樹』快進撃の理由は、「なぜ『半沢直樹』は『ミタ』を超えたのか?」に書いたが、私が今クールの最優秀作品に挙げたいのは、脚本・演出・演技の力が見事に一体化した『Woman』。

誰の身にも起こりえる不幸を静かに淡々と、しかし、鋭く深く……。練りに練られたセリフの応酬と、名優たちの熱演で見事に描き切った。一方の『半沢直樹』は、エンタメ性を極限まで追求した演出こそ出色であり、俳優の演技でも互角だが、脚本そのものはスタンダード。冷静に考えてみると、半沢の敵役たちは分かりやすい弱点を抱えていた。 両作品とも素晴らしいことに変わりはないが、ここでは「何度も見ても発見がありそう」「難しいテーマに挑んだ」『Woman』を支持したい。

また、月曜20時というチャレンジが難しい枠でさまざまなトライが見られた『名もなき毒』、医療モノ特有のリアリティに爽快感を加えた『DOCTORS2』も、続編が期待される良作だった。

一方、ウラ最優秀作品は、『ショムニ2013』。キャスト一新、「恋愛第一主義」OLの継続など、演出の全てが裏目に。上司にたんかを切る主人公の姿は『半沢直樹』と同じだが、こちらは正義も悪も小物ぶりを感じた。

また、『なるようになるさ』は、悪い意味で話題になった浅野温子の演技以上に、登場人物のキャラ設定が古く、予定調和の結末にガッカリ。設定の古さは『SUMMER NUDE』も同様。海の家での恋愛、元恋人への強烈な未練、歯の浮くようなセリフなど、90年代の恋愛ドラマそのものだった。

【最優秀作品】『Woman』 次点-『半沢直樹』『名もなき毒』
【最優秀演出】『半沢直樹』 次点-『DOCTORS2』
【最優秀脚本】『Woman』 次点-なし
【最優秀主演男優】堺雅人(『半沢直樹』) 次点-沢村一樹(『DOCTORS2』)
【最優秀主演女優】満島ひかり(『Woman』) 次点-なし
【最優秀助演男優】滝藤賢一(『半沢直樹』) 次点-國村隼(『スターマン』)
【最優秀助演女優】田中裕子(『Woman』) 次点-江口のりこ(『名もなき毒』)

ちなみに、【ウラ最優秀作品】は、『ショムニ2013』 次点-『なるようになるさ。』『SUMMER NUDE』