国土交通省は27日、2013年第2四半期(4月1日~7月1日)における主要都市の高度利用地地価動向報告(地価LOOKレポート)を発表した。それによると、全国の商業・住宅地計150地区のうち、前回調査(4月1日時点)に比べて地価が上昇したのは99地区で、全体の約3分の2(66%)に上った。

同調査は、鑑定評価員(不動産鑑定士)が調査対象地区の不動産市場の動向に関する情報を収集、不動産鑑定評価に準じた方法によって地価動向を把握し、その結果を国土交通省が集約したもの。調査時点は1月、4月、7月、10月の1日時点で、今回は2013年7月1日時点のデータとなる。

全国の商業・住宅地計150地区の地価動向を見ると、上昇が99地区(前回80)、横ばいが41地区(同51)、下落が10地区(同19)となり、リーマンショック前の2008年1月1日時点の調査以来、約5年半ぶりに上昇地区が全体の約3分の2を占めた。

同省は前回より上昇地区が増えた理由について、「利便性の高い商業系地区での不動産投資意欲の高まりや、住宅系地区での需要増加等により、三大都市圏や一部の地方圏においても地価が上昇に転じたことによる」と分析している。

総合評価 上昇・横ばい・下落の地区数一覧(全地区)(出典:国土交通省Webサイト)

圏域別に見ると、三大都市圏のうち、東京圏では上昇が45地区(前回38)、横ばいが16地区(同20)、下落が4地区(同7)となり、約3分の2が上昇した。大阪圏では上昇が25地区(同24)、横ばいが14地区(同15)と下落地区がなくなったほか、名古屋圏では全14地区(同7)が上昇に転じた。地方圏でも、上昇が15地区(同11)、横ばいが11地区(同9)、下落が6地区(同12)となり、下落地区が前回の半数に減少した。

用途別に見た場合、住宅系地区では上昇が31地区(前回26)、横ばいが11地区(同15)、下落が2地区(同3)と、上昇が約7割を占めた。特徴的な地区を見ると、名古屋千種地区の池下で2008年1月1日時点の調査以来、約5年半ぶりに上昇に転じたのをはじめ、5地区で上昇に転じた。

商業系地区では、上昇が68地区(前回54)、横ばいが30地区(同36)、下落が8地区(同16)と、上昇が過半数を占めた。特徴的な地区を見ると、東京圏では東京都台東区の上野と中野区の中野駅周辺で、2008年第2四半期の調査開始以来、初めて上昇に転じたほか、5地区で上昇に転じた。大阪圏では、2013年6月に先行オープンした「あべのハルカス」がある大阪市阿倍野区で3~6%の高い伸び率を示した。名古屋圏では、名古屋市中区の栄北など6地区で上昇に転じた。

地方圏では、札幌市中央区の大通公園、岡山市北区の岡山駅周辺、広島市南区の広島駅南の3地区で上昇に転じた。