俳優の松田龍平と石井裕也監督が13日、東京・銀座のアップルストアで、映画『舟を編む』の公開記念トークショーを行った。

映画『舟を編む』の公開記念トークショーを行った松田龍平

映画『舟を編む』は、『まほろ駅前多田便利軒』で第135回直木賞を受賞した三浦しをんの同名小説(光文社刊)を石井監督が映画化した作品。出版社・玄武書房の営業部で変わり者扱いされていた馬締(松田)は、辞書編集部に異動になる。読書好きで言葉に対する天才的なセンスを持つ馬締は、監修の松本(加藤剛)、ベテラン編集者・荒木(小林薫)、お調子者の編集者(オダギリジョー)らと共に、完成までに15年はかかる新しい辞書"大渡海"の編纂に没頭。そんなある日、香具矢(宮崎あおい)に出会い一目惚れをするが、不器用な彼は言葉で想いを伝えることが出来ないでいた――というストーリーで、映画は4月13日から全国公開予定。

主演の松田は、同作について「人とのコミュニケーションが苦手な男が辞書を作っていくのが面白い。辞書を作りながら彼も変わっていく」と語り、原作がある作品を初めて手掛けた石井監督は「自分の世界観には限りがあるので、原作が持つ世界観を取り入れることは面白かった」と満足げ。松田は同い年の石井監督とのタッグに「石井さんはやりたいことがしっかりしてるから、馬締のイメージを擦り合わせる作業が楽しかったけど大変だった」と振り返り、「撮影前から一緒にご飯を食べたりする珍しい現場だった。石井さんは、僕有利で話が終わっても、後で『やっぱり俺の方が正しい』って言ってくるんです。『まだ、その事考えてたの!?』って思ったけど、こういうのは初めてで楽しかった」と刺激を受けた様子だった。

松田が演じた馬締は、言葉の知識は豊富だが言葉を使って喋るのが苦手という役どころ。松田は「彼の熱が言葉として出ない分、一生懸命さが滲み出るように演じた」と話し、一目惚れをするヒロイン・宮崎の話題になると「自分から発さない人なので、話しかけないとずっと無言。でも、話すと変な球を投げても返してくれる良い人(笑)。一目惚れをするにあたって説得力のあるステキな方でした」と笑顔を見せた。また、撮影では苦労もあったようで「(猫の)トラさんが全く動かなくて……。体に鮭のニオイを付けて誘導してました」とエピソードを披露して観客の笑いを誘っていた。