筆者はこれまで、「せんたく便 保管パック」や、撥水加工のサービスが付いた「せんたく便5パック」などを利用してきた。全国無料宅配クリーニングサービス「せんたく便」は、滋賀県彦根市に本社を持つヨシハラが運営している。

狭い6畳間でひとり暮らしを続ける筆者にとって、「せんたく便」は欠かせない存在に

彦根といえば、いまや「ひこにゃん」が有名だ。しかしまだ一度も降り立ったことがない。全国からクリーニングの衣類が集まる彦根とは、一体どんな街なのだろう? そう思い、ある日ふらっと"日帰り彦根の旅"に出かけた。

筆者はそこで、地元では有名だが、全国的にはまだ知られていない「彦根トリビア」と呼ぶべきネタをいくつか見つけた。

彦根トリビア(1) 長崎だけじゃない! 彦根のB級グルメはちゃんぽん

彦根市は琵琶湖東岸に位置する都市で、人口は11万2,400人(2011年9月現在)。市の代表駅である彦根駅は、東海道新幹線米原駅の1駅隣にあり、京阪神エリアからJR西日本の新快速も直通するなど、交通の便は良い。

透き通ったスープに中太麺、たっぷり野菜の「近江ちゃんぽん」(ドリームフーズ提供)

その彦根市を中心に、滋賀県の"B級グルメ"として注目されるのがちゃんぽん。彦根駅前にも「ちゃんぽん亭総本家」なる店舗があり、「近江ちゃんぽん」が1番人気とのことだった。

「近江ちゃんぽん」は、1963(昭和38)年創業の彦根市内の食堂で出されたのがはじまり。従来のちゃんぽんとは異なり、スープが透き通っているのが特徴で、かつおと昆布から引いただしをベースとしている。麺にはもちもち食感の中太麺を使用。具材には野菜を多く使い、手鍋でぐつぐつ煮込んだ和風の仕上がりに。

そして「近江ちゃんぽん」に欠かせないのが酢。スープに適量の酢(目安はれんげに半分くらい)を加えることで、両方が調和され、よりおいしくなるという。

筆者も実際に食べてみた。まずそのままの状態で麺をすすった後、テーブルに常備された酢をかけて食べる。たしかに酢が入ったほうが、さっぱりした味で程よく酸味もあり、うまい。汗も気にせず一気にスープを飲み干した。

彦根トリビア(2) 近江鉄道は元「近鉄」だった!?

彦根駅にはJR西日本のほか、近江鉄道の電車もやって来る。駅構内には鉄道ミュージアムもあり、同社で活躍した電気機関車が展示されている。また、過去に活躍した電車やレールバスも残っている。

彦根市内を走る近江鉄道の電車

近江鉄道といえば、昔の略称として、「近鉄」と書いて「きんてつ」「おうてつ」と呼ばれたらしい。鉄道ファンの間ではわりとよく知られた話だ。

近江鉄道の電車は、「近江ガチャコン」などの愛称で親しまれる

いまでこそ、「近鉄」は近畿日本鉄道の略称として定着したが、この社名が初めて登場したのは、同社が設立された1944(昭和19)年。一方、近江鉄道の設立は1896(明治29)年で、100年以上の歴史を持つ伝統ある社名だ。近江鉄道を「近鉄」と略すほうが、歴史は古いと思われる。

もっとも、いまでは近江鉄道を「近鉄」と呼ぶ人はあまりいないようだ。地元の人の話では、「近江ガチャコン」をはじめ、「ガチャコン」を付けた愛称で呼ぶのが一般的だそうで、さらに略した「ガチャ」という呼び方もあるらしい。近江鉄道が運営する沿線ガイドのサイト名も「ガチャコンタウン」だ。この「ガチャコン」というのは、電車の走行音に由来するものだという。

近江鉄道は西武鉄道と縁が深く、現在活躍中の電車も西武から譲り受け、改造された車両が中心。オールイエローの車両は西武の通勤電車を思い起こさせるし、「ライオンズカラー」(白地に青・赤・緑の帯)の車両もある。

彦根トリビア(3) 東海道新幹線から「せんたく便」が見える

彦根駅から近江鉄道の電車で、「ガチャコン、ガチャコン」と揺られ10分程度。多賀大社前へ向かう支線が分岐する高宮駅から少し離れた場所に、「せんたく便」を運営するヨシハラの本社と工場がある。「せんたく便」のサイトから注文した衣類は、すべてここに集まってくるとのこと。

本社・工場のすぐそばには東海道新幹線の線路があり、「のぞみ」「ひかり」「こだま」がひっきりなしに通過していく。それを意識してか、本社・工場の新幹線に面した側に、「せんたく便」のロゴも掲出されてあった。

新幹線で彦根市内を通過する際、京都・新大阪方面へ向かう人は右側の車窓、名古屋・東京方面へ向かう人は左側の車窓に注目してほしい。シャツをかたどったマークと「せんたく便」の文字を目にすることができるはずだ。

ヨシハラの本社・工場には「せんたく便」のロゴが

さて、彦根市に来たからには、やはり彦根城と「ひこにゃん」を外すわけにはいかない。訪問当日、「ひこにゃん」は彦根城の天守前広場に登場。"ゆるキャラ"らしい、ほのぼのとしたパフォーマンスを繰り広げていた。

その模様は後日レポートする。