昨年秋に本格的な国際空港として生まれ変わった羽田空港。新しい国際線旅客ターミナルへは世界各国から航空会社が乗り入れているが、長距離便も相次いで就航している。そんな中でも羽田 - ロサンゼルス直行便を最新鋭機ボーイング777型機で就航したデルタ航空は、同社が誇る最新のビジネスクラス「ビジネスエリート」を設置している。今回は、この新しいビジネスクラスの乗り心地をレポートしてみたい。

デルタ航空の羽田 - ロサンゼルス線はボーイング社の新鋭機777(トリプルセブン)で運航。写真提供: デルタ航空

「ビジネスエリート」のキャビン全体。誰に遠慮することなく思い思いに過ごせる快適さがある。写真提供: デルタ航空

ストレスのない空港サービス

専用カウンター「スカイ・プライオリティ」でチェックイン。スタッフがフレンドリーかつスムーズに対応してくれた

今回体験したのは、ロサンゼルス国際空港発の帰国便。デルタ航空はWEB機能を早くから充実させており、チェックインは搭乗の24時間前からオンラインで可能だ。空港では専用フロア「スカイ・プライオリティ」で航空券を発券して荷物を預け、スムーズに搭乗手続きを終えた。さらに、セキュリティチェックでも優先ラインを設けてあり、ほとんど待つことなく空港ラウンジ「スカイクラブ」に入ることができた。

「スカイクラブ」は、モダンで明るくクリーンな印象のラウンジ。また、スペースが広いだけでなく、空港の眺めを楽しめるエリア、談笑しやすいエリア、仕事に集中できるエリア、静かに眠れるエリア、さらにはシャワー設備もあるなど複数のエリアを好みの応じて使い分けができ、そういう意味でも快適さが増すラウンジだった。最初に仕事をし、その後冷えた白ワインを飲みながらリラックスし、軽く仮眠をとる。そうこうしているうちに、ボーディングタイムが近づいてきた。まったくストレスなく過ごせ、短く感じる数時間だった。

ロサンゼルス国際空港ターミナル5にある空港ラウンジ「デルタ スカイクラブ」。リニューアルしたばかりで、広い上に開放感のある設計とデザイン。ワインやドラフトビールの種類が多くドリンクも充実。写真提供: デルタ航空

機内に自分だけの"空間"

搭乗ゲートに着いてしばらくすると、定刻通りにボーディングが始まった。優先搭乗サービスでいち早く機内に入ると、インテリアを見てすぐに機内にあるゆとりを感じた。乗客に与えられるのは、座席というよりも"空間"、あるいは"スペース"と言った方が正確な表現になるだろう。

写真左は「ビジネスエリート」の座席。完全に独立したシートだと分かるだろう。上はアメニティキット、フルサイズの枕、羽毛の掛け布団。掛け布団が軽くて暖かく、眠りをより快適にしてくれた。写真提供: デルタ航空

パーテーションで仕切られた空間にシートとオットマンが設置されているが、その間にゆったりとしたスペースを確保。頭上の荷物収納スペースは、座席数が少ないため、ほとんど1人に1つのスペースがあるイメージだ。

座席配列は横に1 - 2 - 1ということになるが、すべての座席が通路に面しているため、2列の席も隣に人がいると意識することはまずない。ほぼ"個室"である。

ボタン1つで簡単にリクライニング。ヘッドレスト、フットレスト、レッグレスト、ランバー(腰の)サポートと細部まで調整でき、自分にベストフィットする"シート"をつくり出せる

TVモニターとテーブルは座席横のパーテーションから取り出すため、ひじ掛けに収納されているタイプよりもスムーズでストレスがない

ぐっすり眠れるベッドと親しみのもてる客室乗務員

180度リクライニングしてフラットベッドになったシート。全長201cm。完全に足を伸ばして眠れる

ウェルカムドリンクで喉を潤すとやがて離陸。ディナーの後、オンデマンドのエンタテインメントシステムで映画と音楽を楽しむと、やがて就寝の時間になった。シートをフルにリクライニングすると水平なベッドになる。「ライフラット」と呼ばれる少し傾いたものではなく、正真正銘のフラットベッドである。ライフラットの場合、寝ているうちに足元に向かって少しずつずれ落ちてしまい、途中で目が覚めることも多いが、今回は羽田到着前の食事の時間までぐっすりと眠ることができた。約半日のフライトがあっという間だったのは言うまでもない。

機内の快適さをさらに増してくれたのが、客室乗務員たちだ。デルタ航空のスタッフはアメリカ的なフレンドリーさを持って乗客と接し、客人をもてなすのが上手だという伝統がある。例えば、「このワインがおいしいね」とこちらがいえば、「遠慮せずにどんどん飲んでね」と次々とグラスに注いでくれる。あまり飲むと酔ってしまって困るのだが、乗務員たちのそのもてなしの心が嬉しい。一方で、食事のサーブやこちらの要望に応えるときなどはきちんと洗練されたサービスをする。そうしたデルタ航空のホスピタリティは変わらず健在だった。

エンターテインメント・システムはオンデマンドで画面もかなり大きい。映画は約200本もあり、デルタ航空はグラミー賞ORのオフィシャルエアラインでもあるため音楽番組のラインナップが豊富で、人気のアメリカのテレビ番組も充実

TVモニターやテーブルを所定の場所にしまい、新聞や雑誌をラックに入れると広々としたスペースに。小物を置くスペースも多く収納しやすい。オットマンがあるのも楽