城から脱出した3人の女性が決死の戦いに挑む姿に密着した「サバイバル! 戦火の女たち」(シーズン2/第9話:2010年5月31日放送)の迫力は必見

――現在放送中のシーズン3からは、歴女として知られる女優の杏さんも加わりました。

下田「放送時間が拡大したこともあり、本来番組が持つリズム感を失わずに面白さを保ちつつ、情報性をさらに補足するにはナビゲーター的存在が必要だと思い、杏さんにお願いしました」

――ところで、番組内で沢嶋が使用する「特殊な交渉術」の詳しい中身を教えていただけませんでしょうか?

中尾「それだけは僕も絶対に言えないんです。話すと命を狙われてしまいますので(笑)」

――お二人にとって思い出深いエピソードを挙げて下さい。

下田「私はシーズン1の『沸騰!闘茶バブル』ですね。自分が昔、バブル経済をテーマにした番組を作ったこともあり、ぜひ一度やってみたかったテーマでした。それから昨年末に放送したスペシャルプログラムの『滅亡パニック! 彗星大接近』。人々がパニックに陥り、間違った情報が流布していく様子は図らずも現在の日本の状況とリンクしていて、今見ると考えさせられます」

中尾「演出という部分でいうと、僕はシーズン2の『サバイバル! 戦火の女たち』です。アクションシーンをどうやって撮影しようかと考えたら楽しくて楽しくて、前の日から眠れませんでした(笑)」

下田「ちなみに、シーズン2の『速報セヨ! 旗振り通信』は、英語版を作って海外のコンクールに出品したところ、おかげさまで今年4月にヒューゴ・テレビ賞の奨励賞を受賞しました。番組の独自性が世界的に評価されたのはとても嬉しいですね」

明治時代、ハレー彗星の接近に慌てふためく人々の姿を追った「滅亡パニック! 彗星大接近」(スペシャル:2010年12月28日放送)

――番組を1話分作るのには、どれくらいの時間がかかるのでしょうか?

下田「どのテーマにするか決めることに一番時間がかかります。なにしろ事実がベースなので、キチンと時代考証を確認してからストーリー作りを進めないといけませんから」

中尾「それに、撮影中にアドリブで出て来た言葉も昔の言い方に直さないといけないので、わざわざ撮影を中断して時代考証の先生に電話をかけて確認することもありますね」

下田「なるべく時間の許す限りギリギリまで追究するようにしてまいますが、『すごくリアルで面白い』と言う方と『そこまでこだわらなくても』と言う方に分かれます(笑)」

「速報セヨ! 旗振り通信」(シーズン2/第3話:2010年4月12日放送)。旗振りに命をかけた通信員たちに襲いかかるピンチとは?

――お二人がこの番組で最も伝えたいこと、描きたいことは何でしょうか?

下田「やっぱり『今』があるのは『過去』があるからですよね。昔の日本人が頑張ったから今の日本があるわけで、突然変異でこうなったわけでは決してない。歴史を調べれば調べるほど、日本人の持つ真面目さ、器用さ、工夫や知恵が地続きで今の日本を支えているんだという、その思いは強くなります。特に日本はこれまでにさまざまな震災を乗り越えてきたわけですし、そんな日本人の底力みたいなものをぜひ感じていただけると嬉しいです」

中尾「僕が書くキャラクター全員に共通しているのが『強さ』なんです。身も蓋もない言い方かもしれませんが、人間、やっぱり強くないと生きていけないと思うんですよ。その意味でも『ネバー・ギブアップ』『タフであれ』『生きろ』、この3つは『タイムスクープハンター』に出て来る人物たちに共通するフレーズです」

下田「また、『こんなことがあったのか!』という歴史的事実を新たに発見する面白さは、歴史上の有名人ばかりを扱うドラマなどではなかなか味わえないと思います」

中尾「この番組をやって気づいたんですけど、自分は歴史のことを何も知らなかったんですよね。何年に何が起こったっていうことは確かに学校で習いましたけど、その時、庶民たちがどういう気持ちでどういう生活を送っていたのかは授業ではなかなか取り上げない。ですから僕自身、この番組を通じてとても勉強になります」……続きを読む