下田大樹 |
――番組では徹底した時代考証による正確な言葉使いや服装だけでなく、出演されている役者さんたちもまげを結うため実際に髪の毛を剃るなど、並々ならぬリアリティへのこだわりが感じられます。
下田「よくある再現ドラマ風にだけはしたくなかったので、最初からそこにはこだわりました。ですから、一番最初に完成した映像を見た時は、死体がリアルすぎて『これは放送して大丈夫だろうか?』とショックを受けたのを覚えてます(笑)※モザイク処理して放送」
中尾「フェイクドキュメンタリーですから、僕の中では最初からカツラなんてありえなかったです。ほかにも芝居的な間合いやセリフもコンセプトから外れてしまうので、役者さんには『これは映画でもドラマでもなくドキュメンタリーなんです』と何百回も説明しています」
――カメラワークも臨場感にあふれていて、現場の緊張がダイレクトに伝わってきます。
中尾「カメラマンにはあえて何も伝えず『とりあえず撮ってみて下さい』と指示することもあります。何が起こるか知らない分、カメラを向けるのが遅れたりもするんですが、そこが逆にリアリティを生む。また、役者によってはわざと相手と被るタイミングでセリフを言わせたりもします。そういう作業は確かに手間も時間もかかりますが、その分、めちゃくちゃ楽しいですね」
――そもそも未来からジャーナリストが取材にやって来るというコンセプトは最初からあったのですか?
中尾「はい。『時代劇にビデオジャーナリストがいる』という設定から逆算すると、タイムワープしかないだろうと(笑)」
――番組ではほかにも「フィジカル・バージョン・アップ・システム」や「アブソリュート・タイム」といった、遊び心あふれるスタイリッシュな用語がとても印象的です。
中尾「オープニングのナレーションや沢嶋の決めゼリフに関しては、僕が小学校の時に毎週楽しみに見ていた数々のテレビ番組のテイストを意識して楽しみながら考えました」
――沢嶋を演じる要潤さんについてはいかがですか?
中尾「何度か仕事をご一緒したことがありますが、時代劇の持つ泥臭さと対極にいるのは要さんしかいないだろうと(笑)。要さん自身も現場でアイデアを出して突然インタビューを始めたり、カメラを渡して一人で撮影してもらったりと、楽しみながら参加してくれてます。時代劇部分がリアリティを追究している以上、フィクションの方もリアル感を出さないといけないので、そこは真摯に、チープにならないように細心の注意を払っています」……続きを読む