「森林セラピー」という言葉をご存知だろうか? 広く知られた「森林浴」という言葉が生まれて30年弱。「森林浴」による健康増進や病気予防などへの効果が医学的に証明されたため、最近では「森林セラピー」という表現が使われるようになっている。森の中へ入り、歩いたり運動をしたりして、リラクゼーション効果を得たり、メンタルヘルスを改善したりする、いわば一歩進んだ「森林浴」が「森林セラピー」であると言える。

「森林セラピー」を実践する場である「森林セラピー基地」は、現在全国に38ヵ所。今年3月末には、それらを紹介するガイドブックも発売された。また、6月には初となる「森林セラピーガイド」と「森林セラピスト」の試験も実施される。2009年は、日本における「森林セラピー元年」となりそうだ。

森林には人を癒すさまざまな効能があり、のんびり歩くだけでも、リフレッシュできる(山形県小国町)

森林セラピーを身近にするガイドブック

発売されたばかりのガイドブック。樹木についてのコラムや実体験レポートなども掲載されている

今年3月28日に出版された『大人の遠足BOOK 森林セラピーガイドブック』(1,500円 JTBパブリッシング)は、森林セラピーと森林セラピー基地について、コンパクトにまとめられたわかりやすいガイドブックだ。森林の癒し効果、生活習慣病に対する効果など、森林セラピーの幅広い効能と、各基地におけるセラピープログラム、宿泊・食事面の特徴などが紹介されているので、森林セラピーの世界がぐっと身近に感じられる。

このガイドブックの編纂に当たったのは、NPO法人 森林セラピーソサエティ。事務局長の河野さんは「ようやくここまで来ることができた」と感慨深そうな一言を漏らす。森林セラピー、またはそれに似たような活動を行う自治体は、以前からいくつか存在していたが、森林セラピー基地の設立などの活動が始まったのは4年前のこと。

「セラピー基地が各地に設置されるようになりましたが、受け入れ施設やサービスなどの面でばらつきがあったことも否定できない状況でした。そのため各セラピー基地の全体的な品質やレベルを均一にすることが必要でした。また、これまでは受け入れ体制のみに目が行って、お客様に対するサービス内容の充実が未整備な面もありました」(河野さん)。

森林セラピー基地を全国的に標準化することで、今回のガイドブック作成も可能になったと河野さんは語った。このガイドブックは、各セラピー基地の特徴がひと目でわかるのが特徴。初心者にはもちろん、リピーターにも欠かせない一冊となるだろう。