花見川団地の見どころは

続いて、大阪から参加した吉永健一さん、辻野憲一さんの二人からなる団地トークユニット・salon de 2DKによる、花見川団地の見どころ紹介が行われた。

"団地トークユニット"のsalon de 2DKとして活動する吉永健一さん(左)と辻野憲一さん

何と言っても、花見川団地は7,000戸以上という規模の大きさが最大の特徴。見渡す限り遠くまで整然と住棟が並んでいる光景には幾何学的な美しさがある。このような広大な敷地の全容を把握するため、団地愛好家が団地を訪れたときは、まず案内板を探すのが定石だという。団地によっては分かりづらい案内板しか用意されていないこともあるが、花見川団地の案内板は、全体の把握をしつつ街区の詳細もつかむことのできる、団地好きから見ても「わかっている」案内板だと評されていた。

見渡す限りどこまでも続く花見川団地の住棟。「トン、トン、トン、と小憎く並んでおります」(吉永さん)

マニアの視点から見ても「わかっている」と評された花見川団地の案内板

また、団地の名物のひとつが「壁画」。住棟の側面に鮮やかな色のペンキで動物などの絵が描かれたものだが、花見川団地にも壁画付きの住棟がいくつもあるので、この絵を探してめぐるのもひとつの楽しみ方だ。一見、壁画付きの住棟はランダムに配置されているように思われるが、子供が多く集まる広場のような場所の近くに多く見られるなど、実はある程度の法則性があるという。また、「昭和40年代にできた、500戸以上の、中層棟がある」団地に行くと、壁画付きの住棟を発見できる可能性が高いという。

無地の側面が続く中、突然現れる壁画。しかし、子供の集まる場所の近くに多いなど一定の傾向があるという

絵柄は動物の絵だけでなく団地によってさまざま。これは大阪・岸和田市の春木団地の例

花見川団地にしかない、石を並べてコンクリートで固めた謎のオブジェ。団地内に点在するが目的は不明

花見川団地内で最も存在感のある建造物が、2本の大きな給水塔だ。六角柱型だが、全高の中間より下のほうに、細くなっている「くびれ」の部分があり、そこから上下へ向かうに従って少しずつ太くなっている。派手さはないが、単純な柱型の給水塔と比べると、造形としての力の入れ具合は明らかに勝る。給水塔が複数ある広い団地では目印になるよう、それぞれを違う色で塗装するといったことも多いそうだが、花見川団地では2本が似たような色・形のため、うっかり違う給水塔を目指して歩いていくと迷ってしまうので注意が必要だ。

この日はイベントに先立って団地の散策会も行われた。花見川観光の目玉は給水塔

このように、マニアの視点で歩くとさまざまな見所のある団地だが、団地に興味を持ったばかりの初心者は、いきなり団地を訪れてみても、どのようなポイントに注目すべきかわからないかもしれない。そんな団地ビギナーのために、吉永さんと辻野さんは地元の関西圏で、ベテランの団地好きが選んだ特に見所のある団地を訪問するイベント「団地ツアー」を行っている。また、大阪市内のバーで定期的に「団地BAR」の営業を行っており、関西の団地愛好家たちが集う、濃厚な語らいの場としてにぎわっているという。いずれも詳細は辻野さんのWebサイトで案内されている。

お2人は関西で「団地ツアー」や「団地BAR」など、団地の良さを伝える活動に取り組んでいる。右下は降雪の翌日。雪が降ったら"美白団地"をぜひ楽しむべきという

散策の途中で突然、ベテラン団地愛好家たちがこぞって地面の撮影を始めた。マンホールのフタにある住宅公団の「住」マークが珍しいタイプなのだという。よく見られるのは右写真のもので、住の文字が団地の住棟の形を模してもいるのが特徴