
2026年4月11日、ドナルド・トランプ米大統領はマイアミにいた。ケージサイドに座り、世界最高峰の総合格闘技団体UFCの試合に見入っていた。その隣にいたのは、彼の長年の友人であり、UFCを巨大スポーツ帝国へと押し上げたデイナ・ホワイト(Dana White)である。
その数カ月後、6月14日(日本時間15日)にUFCは米国建国250周年を記念する大会「Freedom 250」を、ホワイトハウス南庭で開催する。国家権力の象徴である場所に、血と歓声が渦巻くケージが設置される――この異様な光景は、トランプ政権下のアメリカを象徴するスペクタクルでもある。
かつてテレビ局からも敬遠された暴力的なスポーツは、いまや77億ドル規模のメディア契約を結ぶ巨大コンテンツとなった。その中心にいるホワイトは、格闘技をビジネスとして拡張し続けるだけでなく、トランプをはじめとする世界の権力者たちとも深く結びついている。彼は何を作り、何を目指しているのか。『Rolling Stone』が、UFCを国家権力の中枢へと持ち込んだ男の素顔に迫った。
「このスポーツはここまで来られる」と、私はずっと信じていた
―Rolling Stoneがあなたを初めて取り上げたのは2008年でした。その記事ではこう書いています。「この調子でいけば、UFC代表デイナ・ホワイトはいずれ、史上最高のスポーツ・プロモーターとして称えられるかもしれない。ボクシング界のドン・キングを超え、プロレス界のヴィンス・マクマホンすら超える存在として」。ヴィンスは言いたいことがあるかもしれませんが、18年後の今、その大半は現実になりました。自分がここまで来ると想像していましたか?
まずは、ありがとう。私個人と、このスポーツやUFCを切り離して考えるなら、私はずっと、このスポーツは今の場所まで来られると信じていた。かつてこれはペイ・パー・ビューで放送することすら許されなかった。私たちはテレビに出るために1000万ドルを投じた。『ジ・アルティメット・ファイター』を制作し、2005年にSpikeで放送するためだ。最初のメディアライツ契約は3500万ドルだった。そこからSpikeからFoxへ移り、1億ドルになった。FoxからESPNへ移って30億ドル。そしてESPNからパラマウントへ移って77億ドルだ。今や私たちは世界中にいる。今年もまたアゼルバイジャンに行く。長い答えになったけど、このスポーツは今日の場所まで行けると信じていたし、それを実現するのは自分だと、ずっとわかっていた。
―あなたはもともとボクシング畑の人でした。MMAの何に惹かれたのでしょう?
初めて見たのは1993年、最初のUFCがペイ・パー・ビューで放送された時だった。その後は一度、見失っていた。私とフェティータ兄弟――ロレンゾとフランク、ラスベガスのカジノ王で、私の幼なじみでもある――が柔術を始めて、多くのファイターに会うようになるまで、本格的には関わっていなかった。彼らはボクサーとはまったく違っていた。出身地も違うし、背景も違う。そして初めてUFCの大会に行った時、私たちは「もしこれをこうしたら」「あれを変えたら、これは大きくなるぞ」と話し始めた。すべてはそこから始まった。
―あなた自身は、格闘技の何に惹かれたのですか?
子どもの頃、叔父たちがABCの『Wide World of Sports』で試合を見ていた。試合があると家の中にいつも独特の熱気とざわめきがあって、私はそれに夢中になった。私たちはペイトリオッツのファンだったので、大きなアメフトの試合も見ていた。でも、格闘技の試合がある時の感覚とは何もかも違った。私はそれに惚れ込んだんだ。
―格闘技には、ほかの多くの場所では得られないエネルギーがあります。
それはボクシングだけじゃない。ブルース・リーの映画、チャック・ノリスの映画、あらゆる武術もそうだった。いろんなスタイルの格闘技に惹かれていた。Instagramは悪魔だよ。夜ベッドに入って、朝5時までInstagramでストリートファイトの動画を見てしまう。私は単純に、戦いが好きなんだ。
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―このスポーツをアメリカの表舞台に出すのは簡単ではありませんでした。初期の頃、「これはうまくいかないかもしれない」と思った瞬間はありましたか?
格闘技ビジネスは、運営するにも、組織するにも、世界で一番難しいビジネスだ。初期にはそういう瞬間がいくらでもあった。テレビ契約を取ろうとしていた時、ペイ・パー・ビューに戻ろうとしていた時、認可を得るために各コミッションとやり取りしていた時。そしてある日、当時UFCのCEOだったロレンゾ・フェティータから電話があって、「もう続けられない。兄弟でずっと資金を入れ続けている。外に出て、これを売れるかどうか見てきてくれ」と言われた。
その日、私は電話をかけ始めた。彼に折り返して、「たぶん600万、700万、800万ドルくらいにはなる」と伝えた。私たちは3000万ドル以上の赤字を抱えていた。彼は「わかった」と言った。電話を切った翌朝、彼からまた電話がかかってきて、文字通りこう言ったんだ。「クソ食らえだ。続けよう」。ロレンゾは今でもその話をする。「一晩ぐっすり眠るだけで、人間はあそこまで変わるんだな」って。
―長年回し続けてきた大きなルーレットが、ついに当たったと感じた瞬間はいつでしたか?
昨日のことのように覚えている。私たちは『ジ・アルティメット・ファイター』をSpike TVで放送するために1000万ドルを調達した。番組の視聴率は、こう上がっていったんだ。あの頃のケーブルテレビの世界では、それだけ成功した番組があれば、街中に広告が出る。ニューヨークのバスにも、ビルボードにも。でもSpike TVは? 番組を宣伝する動きはゼロだった。シーズンの途中で、ネットワークの社長が解雇された。誰も私の電話に出ない。本当に異常な時期だった。
本来なら「これはすごい、次のシーズンの新契約をまとめよう」となるべきだったのに、何も起きなかった。むしろ真逆だった。そしてUNLVのキャンパスにあるコックス・パビリオンで、フォレスト・グリフィンとステファン・ボナーの決勝戦が行われた。あの会場は、まるで列車が突っ込んできたような音だった。観客は足を踏み鳴らし、「もう1ラウンド」と叫んでいた。私たちは戻って、2人に契約を与えた。
その夜、私ははっきり思った。「Spikeが新契約を結ぼうが結ぶまいが、これはどこかに行き着く」と。その夜、Spikeの連中が私たちを路地に連れ出し、ナプキンの上にテレビ契約の草案を書いた。文字通りナプキンだ。契約の要点のようなものを書き出した。それで終わりだった。そこから私たちは走り出した。
―初期の大会のいくつかは、トランプのカジノで開催されました。彼が政界に進出すると聞いた時、どう思いましたか?
最初に彼から電話が来たのは2015年だった。「聞いてくれ。もしやりたくないなら、それは完全に理解する。でも、共和党全国大会で私のためにスピーチしてくれたら光栄だ」と言われた。周囲の全員が、やるなと言った。理由は2つだ。ひとつは、政治には絶対に近づくべきじゃないということ。もうひとつは、彼は絶対に勝たないということだった。
―でも、あなたは引き受けました。あなたはその瞬間を、彼との個人的な関係においても、彼の政治運動においても、大きな転機だったと話していました。それ以来、かなり親しい友人関係になったわけですね。
ああ、私たちは本当に親しい。

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トランプにとってUFCは、政治を忘れられる場所なんだ
―私は、あなたはトランプに残された数少ない”本当の友人”の一人なのではないかと考えています。彼の権力と地位が大きくなるにつれて、多くの人間関係は取引的なものになっていく。人はお気に入りになったり、外されたりする。そういう世界に彼はいる。でも、あなたとの関係はずっと安定している。
私は彼に何も求めていない。彼から何かを得ようとしているわけじゃない。私たちの関係に取引はない。私たちは友人だ。一緒にいる時は、この部屋にいる誰もが友人と会う時と何も変わらない。友人同士が話すようなことを話すだけだ。
彼が、私には想像もできないようなことに対処している時、少し離れたくなると、UFCの試合に来るんだと思う。会場に来た時と、夜の終わりに帰る時では、明らかに違う。彼にはそれが必要だったんだ。
人間として、何かのファンであることはほとんど必要なことだと思う。バンドでも、ボストン・セルティックスでも、UFCでもいい。一晩だけ外に出て、何かのファンになり、そこに座って楽しむこと以外はどうでもよくなる時間が必要なんだ。
結局のところ、みんな忘れてはいけない。ドナルド・トランプも人間だ。人間である以上、私たちにはそれが必要なんだ。誰にでも”それ”がある。ドナルド・トランプにとって、それがUFCなんだ。
―彼から、実際の政治活動にもっと深く関わってほしいと言われたことはありますか? 「デイナ、今すぐワシントンに来てくれ」と言われたことは?
一度もない。一度も。
―ただ、2024年の選挙サイクルでは変化がありました。あなたは彼のために、ポッドキャストやSNSでのメディア攻勢を組み立てる手助けをしました。自分が築いてきたネットワークやオーディエンスを活用することに、以前よりも抵抗がなくなったように見えました。
みんなそこに注目したがるのはわかる。でも、2001年に私たちが会社を買収し、ニュージャージー州アトランティックシティのトランプ・タージマハルで大会を開催した時、トランプのブランド力は圧倒的だった。一方で、UFCの知名度はまだずっと低かった。そんな時期にもかかわらず、彼はその夜、最初の試合から会場に来て、最後の試合まで残った。この人は私の本当に親しい友人だ。とても長い付き合いなんだ。彼は大統領選に出る前からUFCを観に来ていた。その彼が、今は現職のアメリカ大統領としてUFCの会場に足を運んでいる。主催者として、それを大きく扱うのは当然じゃないか。
―確かに。
それがレーガンでも、オバマでも、ブッシュでも、誰であっても、来るのはアメリカ合衆国大統領だ。何だって過度に政治的に見ようと思えば見られる。でも、私たちの関係はそういうものじゃない。私が党大会や集会で話す時でさえ、政治的なことを話しているのを聞いたことはないはずだ。左だ右だ、ああだこうだという話はしない。私はど真ん中にいる。常識派。それが私だ。
―その関係によって、ファンの一部を遠ざけたと感じたことはありますか?
私は世界中を旅している。リベラル色の強い場所にも行く。ニューヨークにはしょっちゅう来ている。ワシントン州シアトルにも行ったばかりだ。でも、私と大統領の関係を理由に、誰かから否定的なことを言われたり、叫ばれたりしたことは一度もない。世界中どこへ行っても、そういうネガティブなやり取りをしたことはない。正直に言えば、その逆だ。
―ホワイトハウスで行われるイベントは、どのようにして実現したのでしょう?
試合会場にいた時、彼が試合の最中にこっちを見て、「なあ、ホワイトハウスで試合をやるべきだ」と言ったんだ。私は「ええ、ホワイトハウスで試合をやるべきです」と返した。彼ほどホワイトハウスを誇りに思っている人には、なかなか会えないと思う。彼はあの場所を心から愛している。ホワイトハウスはアメリカの家であり、もっと多くの人がホワイトハウスに来て、その場所を体験できるようなことをやるべきだと感じているんだ。
―ホワイトハウスでの試合をめぐるメディアの熱はかなり高まっています。トランプの支持率はかなり低い水準にあり、イランとの戦争も低迷の要因になっている。かつては信頼できる支持者だった人々からも批判が出ています。ジョー・ローガンは、国内情勢を踏まえて試合イベントを進めることの安全性や警備面に疑問を呈していました。あなたにとって、それは懸念材料でしたか?
私はコロナ禍でも試合を続けた。そういうことは一切気にしない。いいか、世界はとても荒っぽい場所だ。悪いことは常に起きている。私はグローバルビジネスを持っている。ロシア人もいるし、ウクライナ人もいる。イスラエル人も、パキスタン人もいる。名前を挙げればきりがない。私のカードには全員がいるんだ。
そして何が起きると思う? これから先もずっと、そういうことは起こり続ける。グローバルビジネスを持っているなら、世界で悪いことが起きるたびに折れたり、屈したり、ひっくり返ったりするわけにはいかない。今年だって、もっといろんなことが起きると断言できる。でも、それを理由に私はビジネスを止めない。ホワイトハウスで試合をする機会があるなら、私たちはやる。
いろいろ起きている今となっては、彼は私にあんなことを言わなければよかったと思っているかもしれない。でも繰り返す。私たちはやる。実現する。すべては動いている。彼が私にそんなことを言ったことはないが、この男は、あなたや私には想像もできないし、想像したくもないようなことに対処しているんだ。私たちはそういう話には踏み込まない。
―何を話すのですか?
政治の話は絶対にしない。それ以外のすべてだ。家族はどうか、最近どうしているか、体調はどうか。この人は眠らない。私もあまり寝るタイプではないが、彼の睡眠の少なさは人間離れしている。特にあの年齢で、どうやっているのか見当もつかない。
―彼の言動について、何か引っかかった瞬間はありますか?
聞いてほしい。ある時点で、彼にTwitterをやめてほしいと思ったことはあった。私はいつも歩き回って彼を擁護している側の人間だ。「あなたはわかっていない」と言いながら。誰にでも挑戦してほしい。どれだけ左寄りでも構わない。私があなたをドナルド・トランプとの1時間のディナーに連れて行ったとしたら、その食事を終えて「私はあの男が嫌いだ」と言って帰るのは不可能だ。不可能なんだ。
―将来的に、民主党の大統領がUFCのイベントに来たいと言った場合、同じような関係を持つことは想像できますか?
ほかの政治家から「イベントに行きたい。あなたと一緒に入場したい」と言われたことはあるが、それは違う。ノーだ。でも、私はアメリカ市民だ。アメリカ合衆国大統領から電話が来て、何かが必要だと言われたら、やるものだと思ってほしい。民主党でも共和党でも関係ない。必ず助ける方法を見つける。
―世界で最も権力のある人物の一人にとって、自分がある種のパワーブローカーになると考えたことはありましたか?
なかった。自分のビジネスを信じる、スポーツを信じる、そういうことはある。でも、まさか……。私はUAEの王族と話す。彼らとはとても親しい。そして、そういう関係はまだまだある。昨年はイギリスの首相とも会った。そんなことが起こるとは思わなかった。
―それはどんな感覚ですか? かつてはアトランティックシティのカジノオーナーと交渉していた人が、今では首相と会っている。
人生には階層があるということを強く意識させられる。人生にはレベルがある。そういう場所に行き、そういう強力で素晴らしい人々と関わるのは、面白いことだ。
―スターに圧倒されたことはありますか?
私が少しでも圧倒されるとしたら、マイケル・ジョーダンだけだと思う。私はジョーダンの大ファンなんだ。
―あなた自身の健康やフィットネスの習慣について聞かせてください。今は何に取り組んでいますか?
今朝ここに来る前に、コールドプランジをした。私は何かに照準を合わせて「これをやる」と決めると、完全にのめり込む。2022年に人生で一番いい体になった。3年間、本気でやった。薬は全部やめた。血圧の薬も、コレステロールの薬も、飲んでいたものはすべてやめた。本当にバキバキになった。全部やったんだ。今は、少しは生活を楽しみながら、それでもやれるという幸せな中間地点を見つけた。
―格闘技についてはどうですか? 今でもサンドバッグを打ったり、リングに戻ったり、誰かと柔術のスパーリングをしたりしますか?
いや、そういうことはしばらくやっていない。この年齢では――7月で57歳になる――太らないようにすること、怪我をしないようにすること。それが今の人生の目標だ。
―奥さまとは12歳の時に出会い、1996年から結婚されています。3人の子どももいるなかで、家族と過ごす時間はどれくらいありますか?
妻は、みんなをひとつにまとめるのが本当にうまい人だ。そこに関しては最高だ。私たちは年に3回、大きな家族旅行をする。彼女が全部仕切っている。「毎晩家に帰って夕食を食べる」みたいな感じではない。どこかへ行く時は10日間行く。私にとってはものすごく長い時間だ。3日目には「なんてことだ」と思う。7日目には「これ以上、肌にローションを塗らなきゃいけないなら……」という気分になる。
―あなたは常に飛行機に乗っています。文化的な摂取はどんな感じですか? 何を聴き、何を読んでいますか?
何も。座っているだけだ。本当に奇妙なんだが、飛行機ではただ座っている。何も聴かない。テレビも見ない。何もしない。ただ座っている。テレビを見るのが好きではないんだ。私を引き込める番組はごくわずかしかない。番組を見始めても、5分で「これはくだらない。入っていけない。何だこれは」と思ってしまう。1話目を見て、引き込まれたら、全部一気見する。『ランドマン(Landman)』と『モブランド(Mobland)』の続きは待ちきれない。
―UFC、そしてあなたのビジネス全体に対するよくある批判のひとつに、ファイターの報酬があります。WNBAは新たな最低年俸として年間およそ27万ドルに合意しました。これは、報道によれば、MMAの中堅選手が稼ぐ額を上回っています。UFCのファイターが最初から生活できる賃金を得られる未来はあると思いますか?
ファイターの報酬は毎年上がっている。そして、私たちが成功し続ける限り、これからも上がり続ける。でもWNBAと比較するのは馬鹿げている。まず、あなたがUFCに入ってきたとして、たとえば3試合契約を結ぶとする。そこで私たちは、その選手がそもそもUFCにふさわしいかを見極めるわけだ。UFCにふさわしいかどうかを見るために、37万ドルを払えというのか?
レガシーなんてどうでもいい。私は今ここで勝ちたい
―20年以上にわたり、あなたはUFCだけでなく、MMAというスポーツ全体の顔であり続けてきました。デイナ・ホワイトの時代が終わったあと、MMAはどうなるのでしょう?
私はこのビジネス全体を動かしている。すべての決定を下し、制作からマッチメイクまで、ありとあらゆることに深く関わっている。私がいなくなれば、かなり違うものになるだろう。それでもエキサイティングで、楽しいものではあるだろうが、違うものになる。
―あとどれくらい続けると思いますか?
わからない。今でも自分の仕事が大好きなんだ。人が人のケツを蹴り飛ばす、考えうるあらゆる方法に私は関わっていく。そして今後10年で、史上最大のコンバットスポーツ企業を作る。もちろん、私たちはすでにそれを成し遂げている。でも、私にはもっと多くのアイデアと計画がある。これからも築き続けるだけだ。これと同じものは、二度と存在しない。
―それがデイナ・ホワイトのレガシーということですね。
レガシーなんてどうでもいい。私には計画があり、アイデアがあり、やりたいことがある。でも、レガシーだとか、そういうことは一切考えない。
―では、目的は何なのでしょう?
私がやりたいことだからだ。
―それが残るかどうかは気にしない?
どうでもいいね。
―レガシーについてのあなたの話し方は、トランプを思わせます。「自分がここにいる時間の中で、できるだけ大きなものを作る」という感覚です。
その通りだ。私にどれだけ本のオファーが来ていると思う? 私は絶対に本は出さない。レガシーなんて、私にとっては何の意味もない。私は今ここにいる。何をするのか。何を作るのか。どこまで大きくするのか。私が立ち去ると決めた日が来たら、それで終わりだ。
―頭の中で「よし、パラマウントとの契約もまとまった。これで長く残るものを作れた」と言う声は聞こえませんか?
まったくない。そんな仕組みではないんだ。私は毎日目を覚まし、何かをしたいと思う。勝ちたい。記録を破りたい。ベッドから出るたびに、次のレベルへ行きたいと思う。そして、どうやって引退するのか、どうやって止まるのか、自分でもわからない。

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